笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

「未経験からフリーランスWebデザイナーで月数十万円」とかアホも休み休み言いましょうね。

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こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

今日はマジでクソ長いので覚悟してください(誰に言ってるんだ)

 

なんかここ最近?

「完全未経験でもフリーランスWebデザイナーになって月に数十万円稼げるようになります!スクールはこちら」

みたいなんが、めっちゃ増えたように見えて。

 

ちょっとね、ワイ、これでもWebのプロやから。

もう17年目とかやから。

ちょっと、苦言を呈す的なそういうやつ書いとこうかなと。

 

ほんとはね、できる限りやわらかく、一方的な完全否定にならないように気を使って書くつもりだったんだけどね。

もうめんどくさくなった。

今日は思いっきりディスっちゃうので、すまん。

先に謝っておくのよ、うん。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 

■目次

 



 

そのまえに自己紹介

ええ、Webディレクターなんですけども。

ただ、その紆余曲折ぶりは他者の追随を許さない・・・は言い過ぎだけど、まあバラエティに富んでおります。

基本的にはWeb制作会社出身なんだけど、在籍経験の会社規模でいうと従業員1万人、数千人、数百人、数十人、数人、ぜんぶある。

また、ネームバリュー的にもいわゆる「大手」から「無名の超弱小」や「出版業界(でのWeb制作)」など様々なところにおりまーした。

そして今は事業会社におりますのよ。つまり発注側ね。

対応範囲も、営業やディレクションはもちろん、デザイン、HTML/CSS、javascript少々、なんならCMSの組み込みまでやってました。「CMSの組み込み」は未経験の人にはわからんだろうけど、ま、この記事を読むぶんには「( ´_ゝ`)フーン」って思っておけば良いです。

制作会社にも事業会社にもいた経験があると書いたけど、受注額でも発注額でも、数万円から、数十万、数千万、数億円まであります。

あと、2年足らずだけど、専門学校の先生の経験もあるまする。

何が言いたいかというと、その辺に転がってる「Webデザイナー歴10年!フリーランスで仕事している私が教えます」な人より、僕の方がよっぽどWeb制作業界のこと理解してるでしょうねっていう話です。(ついでに教育の話もできますお)

はい、では本題にまいりましょう。

月に数十万円ってさ

まあまあ大変ですよ。フリーランスで安定的にそれを得ようと思ったら。

いや、そんなことはいい。

完全未経験の人は、おそらく「受託して何かをオーダメイドして納品する」というビジネスそのものをやったことがないだろうから、その辺の相場がわからないのは仕方ない。

だが。

ワテクシはね、その思考回路が理解できんのです。

いまからね、ワイ、お花摘みに行ってきますのん。

おトイレ?

いいえ、ちがいますよ。

頭に花が咲いている人のお花を摘みにいきますのん。

うん、はい、だからこれから辛辣なことを書きます。

見たくない人はブラウザをそっ閉じしましょう。

「自分に都合の悪いことは傷つくし腹が立つから見たくない」っていう人は、どうぞ閉じちゃってください。どうせその程度の人に言っても伝わらないんで。

「いや、それでも私はWebデザイナーになりたい!」っていう人に向けて書くので。そういう人だけ読んでくれれば良いですよ。

 

えー、さて。
いま巷で流行っている「未経験からフリーランスWebデザイナーで月数十万円」のスクールの受講料をね、いくらですか?いくらなんでしょう。まあ、50万円としてみましょうか。

彼らスクールが言ってることはね、紹介ページ(LP)にたっぷり書いてあるんですけども。

長くてぜんぶ読んでられんので、まあまとめるとこういうことですやね

「50万円払えば、毎月数十万円もらえるようになります!」

うん。
意味がわからない。
いやあの、ちょっと考えてみてほしいんだけども。

あのー、50万円ね、一発ドーンと払えば、そのあと毎月数十万円もらえるようになるんですよ。

50万円をね、持ってる人、世の中に何人いると思います?

知らんけど、50万円持ってる人って世の中たくさんいるし。さらに会社としてなら50万円なんてパッと出せる会社、星の数ほどあるんですよ。さすがに、貯金(内部留保とか言いますけどね)が50万円きってる会社の方が、経営あぶないんでね。

で、一回50万円払えば毎月数十万円ですよ。

そんな簡単に儲かる話があるなら、世の中の50万円持ってる人、すぐそこに投資すると思うんですけどね。だって、リターンがもうわかってるんだもん。たった50万円で、そのあと毎月数十万円ですよ。めっちゃ払うわ。

そんなもん大企業、ボンボン入ってくるわ。
50万円と言わず、1億円ぐらい払うよね。そんで200人ぐらい「たった一人で月に数十万円稼げる人」をつくって、そのうち20%ぐらいマージンもらえば良いですね。仮に50万円稼げる人だとしたら、これで大企業側は月間2,000万円の利益になりますねー。ウハウハ。5ヶ月でモト取れて、あとはもう毎月2,000万円がチャリンチャリンのウハウハ。

あのね、そんなわけないですよね。

だって200人もいて、その人にどうやってWebデザインの仕事持ってくるの?っていうね。いや、スクールで言ってるのはね「未経験の方でも仕事受注できるように教えます!」ゆーてるんで、まあ大丈夫だと思うんですけどね。

矛盾してますね。

だってさ、そうね、じゃあそのスクールで受注の方法(=営業手法)まで教えてくれるとして。でも、そのレクチャーを受けた人が日本に5,000万人いたらどうなるんでしょうね。計算上、だいたい2〜3人に一人はWebデザイナーになりますね。

うむ。
同じ営業手法でアプローチしてくるWebデザイナーがいたら、たぶんその5,000万人から選別されますね。だから、もしこれからそのスクールの手法がどんどん広まったら、じゃあ、そのスクールが教えてくれる営業手法も安泰じゃないですね。

うん。てことは、え?なに?

「私は、まだそのWebデザイナーの営業手法が広まる前に、それに出会えたラッキーな人なんだと思います」

あー、なるほど。
まだ広まってないから、いま先行投資してそのスキルを得ることで、安定した利益を得られる立場になると。なるほど。たしかに運が良いですね。

そういうのをね、「先行者利益」っていうんですよ。

ええ。文字通り、時代に先行してその業界にジョインすることで、利益を総取りするみたいな話ですね。

えっ

あれ?

インターネットってそんな最近はじまった仕組みだったっけ?

えーと、孫正義さん率いるソフトバンクが、Yahoo! BBを開始したのが2001年9月ですって。

あれなー、すごかったんよー、あれが始まる前、ワイの通ってる学校の先生が「いずれ、ネットで映画が見られるようになる」とか言い出して、あーこいつ、頭沸いてんなー、もうボケたかな?とか思ってたんやけど、ごめんだお。20年越しで謝るお。

そうやねー、たった20年ですって。まだまだ短いねぇ。

ちなみに、「日本のWeb制作の始祖」っていうと、1993年にナントカロープっちゅうWeb制作会社が設立されてるんやけどね。そんでこれワイが言うの微妙なんやけどね!

まあ、そこからするともうすぐ30年ですって
えっと、なんでしたっけ?

先行者利益?

約30年経ったいま、「ほーむぺーじ」をつくるのにまず一番手に認識される「Webデザイン」に先行者利益なんてあるんですかねぇ。どうでしょうねぇ。あるかもしれませんねぇ(棒)( ´_ゝ`)フーン

 

いやまあ、あったとしましょう。

まだ、多くの人は見つけてない儲かるキラキラスキルがそこにあり、50万円払うとそれが得られると。そうしましょう。それでいこう。

はて、完全未経験者であるド素人なあなたは、よくそんな「本当は大企業の社長が見つけたら1億円ぐらい軽く投資しちゃう」ような超絶レア情報見つけられましたね。

運が良かった?

なるほど。たしかにさっきもそう言ってた。

はて、ワイね、ネット上で見てると、だいたいこの手の人って「めっちゃ辛い毎日」「働けど働けどお金が貯まらない」「人生を変えたい」って人が多い気がするの。

あれ・・・?

運が良いのでは・・・?

あれれ?運、悪くない?

運が良いのに、なんでそんな辛い日々を送っているの?

それ、たぶんあなたのせいじゃないよ。育った環境とか、新卒で入った会社がクソだったとか、運が悪いんだと思う。ワイそう思う。

 

あのね、このあとWebのプロとしてしっかり書くつもりなんだけど、

「おっ、すっごく良い情報がある!これ、きっと私(とあとごくわずかな人)しか見てない!私にはこれなんだわ!いまのうちや!」

っていうその思考の癖を、まず捨てましょう

その思考の人、Webの仕事とすこぶる相性が悪いから。

「わ!すごい!きっとこれいい!このひとはきっとすごいひと!」って鵜呑みにするの、ダメ。ちゃんと冷静に考えるべき。

 

冷静に考えてみましょう。あなた、選ばれる根拠は?

順を追って考えてみましょうか。

仮に、スクールで教えてくれるその営業手法で、月に数十万円の受注ができるとして。

え、ほんと?

あのね、まず、金を払う側の立場になってみましょうよ。

まあたとえば、デザイン費だけで10万円としましょうか。月に5件の受注がもらえれば50万円ですねぇ。おぅ〜たった5件やぁ〜(いま、制作会社の営業さんブチギレていいところです)。

では、10万円払って、デザインをお願いしますと。

はい、あなた10万円持ってます、いま。

「スクールで学びました、過去の実績はゼロです」っていう人に、10万円払うやつ、どこの世界にいるの?

ね。「Webデザイン」とか横文字で、未知の世界で〜って思ってるからわからなくなるんよ。

え?

「個人の財布から10万円出すのと、企業が10万円出すのは違う」だって?

そんなことはない。

いや、そのとおりなんだけどね。
たしかに会社規模なら10万円は「うーむ、最悪、失敗してもいいかな」っていう金額ではある(会社規模によるけど)。

では、企業の10万円を個人のお財布規模にしてみましょうか。

仮に「企業の10万円=個人のお財布の1,000円」としましょう。「うーむ、最悪失敗してもいいかな」という金額ね。

はい。
では、たとえば1,000円でマッサージを受けるとします。

「スクールで学びました。いままでお客さんに施術したことは一度もありません」

そんな人に1,000円払ってマッサージお願いする人、いる?

下手すると、ただただ痛い30分を強いられるかもしれんよ?

スクール側はね、すぐ「Webデザイナーが不足しています!(だから、未経験でも受注できます)」って言うんだわ。受注できるかはともかく、人手が不足しているのは事実です。それはワイも認める。

でも、だったら「プロ集団としてWebデザインをやっている会社」になぜあなたは採用されないん?人手が足りない!未経験でも誰でもできる!え、だったら、一番に候補に上がるのは本来、Web制作会社よね?なんでそこにすぐ受からないの?誰でもできるのに。

 

誰でもできないから、ですね。

どんなやつでもサクッと学習できるなら、Web制作会社がバンバン採用するでしょ、そら。人足りないんだから。

そもそも

「(その職種の)人が足りない」

「だから素人でもすぐ受注できる」

はぜんぜん繋がってない話で、冷静に考えればわかるはずで。

だってそうでしょ?

「すごい身体が疲れてるのに、マッサージ師がいない!」

 ↓

「よし、実務未経験の人でいいや!最悪、疲れが増すかもだけど!」

 

ならんならん(笑)

 

ね、Webデザイナーとて、企業(発注側)から選ばれる側なんですよ。
当たり前でしょ?自分たちの貴重なお金使って、それがたかだか10万円だって企業としてはドブに捨てるつもりはないわけで。

そのなかで、未経験のあなた、どうやって選ばれるんですかね?ネット上には歴戦の勇者たるフリーランスデザイナーも、ゴリゴリの制作会社もいる中で?実務未経験で?Webに関わるビジネスも知らず?選んでもらえる?

えっと、なんで?

企業の広報担当の知り合いもいないのに?

ネット上で見つけてもらうのかしら。

で、なに?ポートフォリオサイトの一番上に「philosophy」とか書いちゃうの?

どういう指導を受けたか知らんけど、きっとあれかな?

「数多いるWeb制作者のなかで、あなたに発注してもらうために、あなたが大事にしていることを短文でまとめましょう」って言われたのかな?

なるほどねー

でも、僕も発注者だからよくわかるんだけどね

 

そんなもん聞いてねぇよ ぷっぷのぷー(ひどい)

 

ごめんね。

ワイ、ちょっと酷い言い方すぎると思う。謝る。

でもね、じゃあ、実務未経験のマッサージ師がいたとして。

その人の営業サイトがあるとして、一番上に「私がマッサージするにおいて大切にしていること」とか読みたい?うるせぇよ、そんなことより、未経験なりに何がどれくらいできるのか、いくらなのか、未経験だけどこういうことを約束するよとか、そういうことを書けよ。おまえのポエムなんか興味ねぇよっつうのね。

あのー、

ごめんお

やっぱりあやまるお

みんながんばってほしいんだお

 

でもね、これ、実は、企業が通ってきた道なんだわ。

 

企業はねー

 

あの企業ちゃんっていう子はねー、

 

もう、すぐ載せたがるんだわー!

 

企業理念ってやつをなー!

 

誰も興味ねぇっつうのなー!

 

いや、あってもいい。
むしろあるべき。コーポレートサイトには企業理念を載せるべき。
でも、それはいきなり出会い頭のトップページじゃない

無名な企業こそ、まずちゃんと自分たちができることを明示し、「ふーん、こういうことができる会社なんやねー。で?どういう理念で活動してるの?」って思ってもらった時に、はじめて企業理念のリンクを差し出すのが、正しいユーザビリティなわけ。

アナタガタは、同じことをしてるの。

いきなり、聞いてもねぇphilosophy出しちゃってるの。

まだフィーも発生してねぇのに。(言いたかっただけ)

でも、それがわからないでしょ?

それはあなたが、まごうことなき「Webの素人」だからです。

 

Webのプロが、ガチで教えてあげましょう

ここまで「それ、冷静に考えたらおかしいでしょ?」っていうことを書いてきた。

ほぼ、スカッとジャパン的な低俗な内容だったと思う。

ワイ、謝る。ごめん。

でも本当は、Webデザイナーを目指すみんな、ハッピーになってほしいと思ってるん。

だからここからは、Web制作業界のプロ17年目として、いかに危険なことをしようとしているか、そしてどうしたらいいかと具体的に説明していくんよ。

まず、1つ質問をしてみましょうか。

うん。この質問、ちょっと難しいと思う。

 

質問1:「クライアントにPSDを提供してはいけない」って意味わかりますか?

ははーんて思った人、いると思う。

その人に言いたい。

おまいのこと、ワイ、好き。

今後もワイおよびこのブログと仲良くしてほしい。(そしてシェアしてほしい)

言いたいことあるだろうけど、ニマニマしてビール片手にここから先も読んでほしい。

 

さて。

実はこれ、未経験者に限らずWeb制作会社でも意味がわかってない会社は多い。

すげー雑なこと言うけど、toksato調べにおいてはこれの意味がわかってる会社は、レベルが高い。(だから単価も高い=たぶん、社員の給料も高い)

「PSD」とはPhotoshopデータのことです。

Photoshopとは、Webデザインも含め、バナーやあれやこれやをデザインするツールですね。PSDとは「その編集ができるデータ」。

未経験の人にはなかなかわかりづらいと思うけど、Photoshopのデータそのものである「PSD」とは、絵を動かしたり、削除したり、薄くしたりができる元のもので、JPGなどはそのPhotoshopから書き出した「一枚の写真(つまり中身を動かしたりはできない)」だと思ってもらえれば。

さて、優秀な制作会社は、なぜ「PSD」をクライアントに提供しないのでしょうか?
ね。お金払ってるクライアントなのに。彼らのオーダーメイドで作ってるデザインで、他の案件に使えるわけもないのに。彼らの指示でつくってるんだから、その指示のもと作ったPSDだって渡すべきなのに。
実は、発注者たるクライアントすら「え?なんでですか?(は?うちがお金払ってる、うちの持ち物でしょ?)」って言いますね。それぐらい、まだWeb制作業界でも浸透してない話だったりする。

 それはね、Web制作会社が売ってるのはあくまで「依頼されて作った画像」であって、「その作り方のすべて」ではないからです。

レストランで言えば、あくまでお客さんに提供するのは「できあがった料理」で。「レシピもください」って言ったらおかしいでしょ?

そう、PSDには、その制作会社が培ってきたデザインスキルがてんこもりなんですよ。だから、Web制作会社は無償でPSDを渡したりはしないのですよ。

これ、たぶんスクールじゃ教えてくれないと思いますよ(っていうか講師によっては「クライアントに著作権があるから、渡すべき」とか言ってるかも)。

 

質問2:「うっすい見積書だこと・・・」って意味わかりますか?

 本当に紙の厚さが薄いわけではないですよ(笑)

っていうか、そういう意味ではどんな見積書も薄い。(そりゃ印刷したら紙だしね)

ただ、僕は自分で工数設計して見積もり叩いてきたし、発注側として数万円も数千万円も見積書見てきたので。

そうすっとね、見積書みるだけで、だいたいその会社の実力がわかっちゃうんだわ。

あのねー、実力のない会社やフリーランス(のレベルの低い人)はね、見積書がうっすいんだわー、ほんとうっすい。

見積書ってね「こういうことを、おいくらでやりますよ」っていう約束なんですわ。っていうことはね、つまりこれをテキトーに書くと大変なことになるんですよ。

「この券で、おばあちゃんの肩たたきをします!」

っていう、かわいい約束をしたとして。
はて、その肩たたきは何分してくれるの?あと、必ず孫ちゃんがきてくれるの?他の人が来たりしないよね?大嫌いな嫁が来たりしないよね?そしてそれは何時でもいいの?おばあちゃん、だいたい夕方に肩がこるんだけど、孫ちゃんはいつもその時間お友達と遊んでる時間じゃない?だいじょうぶ?

おばあちゃんと孫ならこんなグダグタのままでもいい。

そこには愛がある。

愛の力は過信するとだいたい消滅するけど、でも様々な問題を解決してくれる。

でもお仕事に愛はないし、お仕事を愛がある前提で組み立ててはいけない。

見積書に「◯◯デザイン」と一行で終わらせたらダメなんよ。

  • そのデザインとは、どこからどこまでなのか。
  • 複数パターン出す想定なのか。
  • 出し戻し(修正)は何回の想定なのか。
  • クライアント都合で長期化した時はどうするのか
  • PSDは提供前提なのか

こういうことを見積書のなかにきちんと書かないといけない。

っていうと、「そういうこともスクールで教えてもらえばいい」っていうんだけどね。

これ、制作会社によって違うから。

おそらく、本気で数多あるWeb制作会社の見積書にある制約事項を並べたら1万行では済まないと思う。それ、全暗記する?w そして全暗記したところで、ケースによって適切に出し入れできないと全く意味がないんですけど、できます?

 

「Web制作」っていうビジネスには、これだけ難しくややこしいことがあるんですよ。っていうかこの2つの質問なんてほんと微々たる一部で、もっともっともっとあります。
PSDを提供前提とするかどうかも含め、ほぼすべては"決めの問題"っていうやつなんですけど、それだけ「主体的にこちらから確認して合意をとって決めていかなきゃいけないこと」があるわけです。

こんなのね、(最初から)一人では無理ですよ。

Web制作会社は、それを営業(≒プロデューサー)、広告担当、ディレクター、デザイナー、コーダー、エンジニア、テスターなどなど複数の職能を集めたプロ集団になることでカバーしてるんですわね。(あと、その会社が持つワークフローや知見)

「未経験からフリーランスWebデザイナーで月数十万円」なあなたは、これをたった一人でカバーしようとしてるわけですね。

どれだけ恐ろしいことをしようとしてるか、わかります?

未経験のあなたはきっと

「ページのデザインできました!ご確認お願いします!」 

の何がクソか、わからないでしょ・・・?
(できないデザイナーやディレクターほどこういう稚拙な打診をする)

 

Web制作会社に入りましょう

優秀なWeb制作会社ほど

「ページのデザインできました!ご確認お願いします!」 

なんて言わないし、ちゃんと見積書をつくってくるし(超デキる会社だと説明するミーティングを開くほど)、PSDはタダでは渡しません。

なぜか。

 

彼らは、「いま自分たちが何を売っているのか」を突き詰めて考えているんですよ。

 

要するに、見積書をきちんと整理し、分厚く書いて、制約条件もびっしり書くのも「我々は、ここまでのサービスを提供します」ということを明確にするために書いているわけです。そしてそれは、そもそもとして「我々が何を価値として売っているのか」を考えているからできるんですよ。

 

「ページのデザインできました!ご確認お願いします!」 

の何がダメなのか。

デザインの"何を"確認してほしいのかわからんのですよ。

たとえ1ページのWebデザインだって、全体の色味や雰囲気を確認してほしいのか、その中のキービジュアルについて確認してほしいのか、それらを含めた全部(つまり1ピクセルのレベルで)確認してほしいのか、それをはっきりしないといけない。

でも、できないんですね。

それは、「いま自分たちが何を作ってるのか」がわかってないから。

「Webデザイン」というなかで、どの部分をつくっているのかを、自分ですらわからないままやってるおバカさんだから、そうなるんですよ。そして、プロであるはずの自分たちがわからないなら、そりゃ素人であるクライアントがわかるはずもないですね。

そうして

  • 「なんとなくデザインにOKもらって」
  • 「なんとなくコーディングまで進めて」
  • 「ちょっとここのデザイン違うと思うんだけど」byクライアント

なんてことになるわけです。
合意を取ったつもりが、クライアントに対して「この部分をいま確認したいです」を伝えてないので、ほぼなんの合意も取ってないのと同じになる

・母ちゃん「おにぎり一個つくってみたけど、これでいいわね?」

・息子「え・・・うん」

・息子(いいって、形?なかの具?塩加減?個数?なんの話?)

というやりとりと全く同じ。

ね、こうやって聞いてるとアホかと思うでしょ。

でも、未熟なフリーランスさんとか、5流制作会社とかこんなんばっかですねw

でね、これはさっきも書いた通り「じゃあ全パターン覚えればいい」んじゃないんですよ。その制作会社の立ち位置によって違うし、そのプロジェクトごとに適切に判断しないといけない。それが「オーダーメイドのお仕事」なんですわ。

優秀な制作会社は、それがコンサル系だろうが制作系だろうが、必ずこの文化があります。社内で必ず「今のこれ、なんのためにやるんだっけ?」って突き詰める文化があり、仮に下っ端の人ができなくても、必ず上の人がそれを突き詰めます。なぜなら、そうしないと、クライアントの希望と夢と横暴が膨らんで、自分たちが破綻するからです

 

これはね、まるで受発注の契約の話をしてるようだけど、それだけじゃないんです。Webデザイン、いや、Webの仕事には必ず付いてまわる話なんよ。

 

そもそもWebってそういう超絶素敵なもんなんよ!

Yahoo! BBがはじまって20年。
現代では、映画も観れるようになって。
さすがに、Webがタップやクリックを基本として動作しているものだというのは、ド素人でもわかってるとおもんますがね。

つまりそういうことなんですよ(なにが)

Webはね、「閲覧している人の意思を持った行動ありき」というメディアなのです。

たとえば、TVCMは観ている人の意思は関係ない。いや、そのTVCMをみたことによって腹を立てられたらアウトなので、ユーザーの意思を無視して良いということではないのだけど。でも、ユーザーの意思に関係なく流れる

Webはそうじゃないんですよ。

基本的には(ハイパー)リンクのつながりで、どんなボタンだろうがテキストだろうが、ユーザーが自分で、意思を持って「これをクリックしたい」と思って、次の画面やアクションに移るメディアなのですよ。

つまり逆に言えば、ユーザーの意思に寄り添わないと話にならんメディアなのです。

企業サイトだってLPだって、ユーザーにテキストや画像を見てもらって、次の画面に遷移してもらわないと意味がないのです。

それはだから、作る側からすれば、「どうやってクリックしてもらうか」であり、その手前には「ユーザーはどんな気持ちになれば、クリックするのか」を考えることであり、「ユーザーはこのページにどんな気持ちで訪れるのか」を考えることなのですよ。

 

それはね、全てに共通することがあるとするとね。

「このボタンは、このテキストは、このデザインは、なんのためにあるのか」

を常に問い続けることなんですよ。

 

だから、Web制作の仕事において優秀な会社ほど、それができるわけです。

そして知見がたまっていって、それがワークフローに入ってたり、見積書の厚さになったり、デザインの確認依頼を明確にすることになるわけですね。

 

いま、未経験者のあなたが挑もうとしているのは、そういう素敵な世界なんです。

たとえばインテリアデザインのような「部屋に置くと可愛い!」という、買った人が満足したら終わりっていうものではない。(それはそれでとっても難しくて素敵なデザインですけどね)

あなたがつくろうとしてるのは、間違いなく、誰かがスマホやPCで観て、気に入ったら「クリック」っていう行動をしてくれる、そういうものをつくろうとしてるんですよ。

「部屋に置いて可愛い」じゃなくて、その人が、自分の貴重な時間を使って「じゃあ、次を見てみよう」とか「この会社に問い合わせてみよう」と思うような、誰かを動かせる、そういうものをつくる仕事なんです。

僕が、なぜいまもWebの仕事をしているのか、それも書いておきましょうか。

「たとえば、自分がつくったECサイトがあって。そのサイトが、もしかしたら仕事に忙しいOLさんの、ひとときの寛ぎの時間をつくれるかもしれない。忙しくて、なかなか買い物にもいけないOLさんが、夜な夜なPCを開いてワクワクしながら好きな服を探したり、可愛い雑貨を見つけたり、買い物を楽しむ瞬間を創れるかもしれない。そうやって、"やっぱり明日も仕事がんばろう"って思える、そんなタイミングをつくれるかもしれない」

僕らがつくろうとしてるのは、そういう場所なんですよ。

自分が一生懸命考えて作ったものが、顔も知らない誰かの笑顔を創れるかもしれないんです。

すっっごく、素敵な仕事なのです。

そして何よりすごいのは、店舗のような「明らかに不満を持ってる」とか「こうしてほしい」っていう一部のお客様だけじゃなくて、すべてのお客さんがどこをクリックしたか、どこで不満を持っていなくなったか、お客さんの声なき声を、ぜんぶ聴けるのがWebなんですよ。

つまり、あなたがつくったデザインに対して、すべてのお客さんが、自分の行動でわざわざ教えてくれるんですよ。見ましたよ、クリックしましたよ、お買い上げしましたよって。逆もそうですよ。ここは気に入りませんでした、だからクリックしませんでした、ここでよくわからなくなったので離脱しました、ぜんぶ教えてくれます。

こんなメディア、あります?

ないない、ないですよ。

スーパーマーケットの店舗でこれやろうと思ったら、至難の業です。

お客さんが入店してきて、どの商品を手にとって、手放して、どこで止まって、どこでカゴに入れて、どこでお買い物をやめたのか。そんなの取ろうとしたら大変すぎる。

でも、Webはこれができるメディアなんですよ。

だから、「なぜ、いまそれをするのか」「いま、どこの何にアプローチしようとしてるのか」を明確にしなきゃいけないんです。いろんな行動の数字が取れるから、このユーザーの、この行動の、この部分に対して改善アプローチをする、という話なので。

それゆえに、いま僕はこんな暑苦しい長文を書いてます。

はっきりいって、「未経験からフリーランスWebデザイナーで月数十万円」を疑いもせず突き進む人は、Webの仕事に向いてないです。少なくとも儲かる人にならないのは、間違い無いです。

だって、ユーザーが誰で、その企業がどういう強みがあって、ユーザーには何を伝えなきゃいけなくて、だからこういうデザインになって、だからこういう画面構成になって、だからこういうボタン配置になって・・・っていう仕事ですから。

顔すらよく知らない人が言っている「儲かる!」なんて話を鵜呑みにしているような人には、無理なんですよ

 

じゃあどうしたらええねんっていうね

とにかく、安月給でもいいからまず制作会社に入りましょ、って話をしてますね。

それです。

いや、事実を正確に表現すると、未経験からフリーランスになることを否定はしませんよ。なかには、それでうまくできる人もいます。でもそれ、それでうまくやって毎月安定した収入がある人になるの、すんげー難しい。どう考えても制作会社に入るより難しいw

そして、未経験から制作会社アルバイトを経て、ご立派になった人を僕は実際に何人も見てきました

ゲームショップ従業員などを転々としながら手に職がなかった人が、ちゃんとした制作会社に入って努力を重ねたおかげで、いまは安定した大きなWeb制作会社にいたり。
元売れない芸人(食っていけないレベル)だったアルバイトさんが、同じくWeb制作会社に入って研鑽を積んだあと、いまは超大手人材系企業の制作部隊にいるとか。

彼らがなぜそうなれたかというと、1つは間違いなくその制作会社の「お作法」がハイレベルだったからです。ちゃんと、「何のためにそれをするのか」「いま自分たちは何を売っているのか」を常に整理する癖をつける会社だったから。その高度なお作法を持って、次の会社に行けたわけですよ。

でも彼らだって、もともとはただの未経験アルバイトだったわけで。

でも彼らは何十万円も払ってスクールに行ったりしてないです。事前に独学や職業訓練校で勉強してきた人はいるけど、それとてぶっちゃけほとんど使えてませんでしたね。

事前に勉強してきた人には多少のアドバンテージはあるんですけど、それはレベルでいうと「カタコトだけど同じ言語で話せる」程度ですね。それだけでもすごく大変なことなんですけど、スクールや訓練校で教えてる内容なんてそんなもんです。そして、「カタコトだけど話せる」程度で翻訳家にも小説家にもなれないでしょう?プロはそのレベルなんですよ。

じゃあ彼らが何をやったかっていうと、単純ですよ。
「人の話をとにかく聞いて」「謙虚に学んで」「とにもかくにも一生懸命、安月給でも働いた」だけです。その結果、少しずつ成長していって、できることが増えて、アルバイトから契約社員になり、任される案件が増え、正社員になり、お給料が増えていっただけですね。

そんな単純じゃないだろって言われたら、ごめんなさい、そのとおりです。

じゃあ、彼らは単純じゃない何をしたのかというと。

「入社する前に、それができることを、面接などで証明した」

です。

元々の素養も経験もあるだろうけど、とにかく採用する側に「きっとこいつは一生懸命学んで、人の話を謙虚に聞いて、うまく仕事をしていける」と思わせたから、採用されたんですね。

何でそんなことが言えるかっていうと、僕もその採用フローに関わってたからw。

 

だからね、50万円のスクールが無駄だとは言わないです。

ぶっちゃけ7〜8割はAmazonで本を買えば学べる内容だらけだと思います。でもまあ、本を読んで独学で勉強するってすんげー大変ですからね。それを、自分に半強制できるスクールには、それはそれで価値はあるのだと思います。

「50万円をかけるのか・・・?」と今でも思ってますし、そのコストパフォーマンスにやはり疑いの目を捨てられない僕ですが、しかし、とにかく無駄にならないことは事実です。タクシーでたった300メートル進もうが、それで数百円払うのか?という思いがあろうが、300メートル進んだことは無駄にはならないのと同じように。

ただ、スクールなんてものは現場の人間から言わせれば「たかが300メートル」です。はっきりいって大して使えるものではないです。

とあるスクールのLPにこんな「よくあるご質問」が書いてあったんですけどね。

Q:「1日1〜2時間しか学ぶ時間が取れそうにないのですが、大丈夫でしょうか?」

アホかと。

いや、スクールはこれをOK出します。

受講してもらって儲けたいから。

でもね、仮に安月給でも制作会社に入ったら、少なく見積もっても1日8時間、ずーっっっとその仕事をするんですよ。

いいですか?

1ヶ月のうち土日が休みだとしても、実働20日間あります。

1日8時間、月〜金でちゃんと勤めると、つまり160時間になるんですよ。

1日1時間しか学ばない人は、1ヶ月で30時間ですね。

2ヶ月になったら、制作会社勤務の人は320時間、1日1時間のスクール生はたった60時間です。しかも、その学んだ内容は現場とイコールのレベルではないという。

 

それぐらい違うんです。

だからスクールなんてやめろってことではなくて。

その1ヶ月30時間でも、タクシーにおける300メートルでもいい。

それを使って、どうやって「私はこれからも学んでいける、いつか御社の戦力になる」ということを表現していくか、そういうアウトプットをどうやってつくっていくかなんですよ。

いや、だからいいんですよ?

「それを使って、どうやって、私は(フリーランスとして)10万円をもらえるプロであることを表現していくか」

っていうのでもね。

ただ、どう考えてもこっちの方が難しいでしょ?w(それでもやりたいなら止めないですけどね)

どっちにしろ、同じなんですよね。

でも、それなら僕は難度やその後のことも含め、なんとかしてWeb制作会社に入る方が、未経験のあなたには良い選択だと思いますね。

そもそもだから、大金を出そうが出すまいが「何かを学んでそれをやってれば安泰」と思ってる時点で、無理ですよ。儲からないです。それ、Webに全く向いてない思考だから。悪いこと言わないからやめた方がいい。

でも、変わればいいんです。

今これを読んで、「あ!まちがってた!アタイ鵜呑みにしてた!」と思うなら、今から思考を変えればいいんです。これだけ情報に溢れた社会ですから。考えようと思ったらいくらでもそのネタは転がってますし。

そもそも、いまの生活が厳しくて、Webデザインに目をつけたんでしょう?

手に職をつけて、これから新しい業界にその専門家としてデビューをしようというのだから。先に挙げた彼らのように、必死になりましょ。そしたら、たぶんなんだってできますよ。必死になってできないほど、Web制作は難しくないからw

 

最後に、教えてあげましょうあなたの適性を

実は、この記事自体が、「未経験のあなたがWeb業界に向いているか」の適性検査になってます。

まず、未経験で難しい内容もあっただろうに、こんなクソ長い駄文を最後まで読めた時点でそれなりに向いているのではないかと思います。

ただもう1つ、決定的な分岐点があります。

 

あのー、

 

「もうすでにしていた」でもいいです。

 

「これを読んだらやろうと思っていた」でもいいです。

 

 

 

「CMS」ってググってみたかい?

 

こういうとき、わからない単語がでてきたのに、それを「へぇ、なんだろ?」って調べない人は、Web業界で儲かる人には、絶対になれないです

ワイ、こう書いた。

「CMSの組み込み」は未経験の人にはわからんだろうけど、ま、この記事を読むぶんには「( ´_ゝ`)フーン」って思っておけば良いです。

うむ。

だから調べたなかったんだよな?

まちがってないな。

 

でも、こうも言っただろ?

 

「顔すらよく知らない人が言っている話を鵜呑みにしているような人には、無理だ」っつって。