笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

クライアントがアホだと思っているみなさんへ。

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こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

デブのくせにマヨネーズが嫌いです。キユーピーさんすみません。

そして「おまえのことは嫌いじゃないけど、おまえの親友があまりに嫌いなのでおまえとも距離置かせてもらうね・・・」っていう理由でツナも避ける人生です。

さて、いまに限らず、よく見かけるんですよ。

「クライアントがアホすぎる」

みたいな話。
もっと具体的な話をすると

「相場がまるでわかってない上に買い叩いてくる」

「自分じゃできないくせに、"簡単でしょ?"とか言ってくる」

「”おまかせで”って言ったのに、つくったら修正だらけ」

「明らかに徹夜しないと間に合わない納期を設定してくる(しかも自分はきっちり土日休む)」

「素材は来ないのに、納期はゆずらない」

「"なんかイケてないんだよね"とかまるで具体性がないダメ出ししてくる」

とか。

なんつーか、こういう文句言うクリエイターってさ、

 

ほんとその通りだよね。

 

あのねぇ、ワテクシね、元Web制作会社の人間でそのあと事業会社(つまり発注側)に来てもう4年になるんだけど、もうね、ほんと思うの。

 

アホな発注者ばっかかいな。

 

ってね。もうね、うん、思う。

そんなコミュニケーションとったら、制作会社や代理店に嫌われるに決まってんじゃん。なんで自分の都合で自分が言いたいことしか言わないわけ?バカなの?相手にも選ぶ権利があるんだよ?ってね。それはそれはもう同じ発注者に言ってあげたい。*1

 

でもね、たとえばWeb制作会社のディレクターやデザイナーがそんなことばっかり言ってたって何も変わらないよ?お客さんバカにしてどうするの?

そんなことしたって現状は何も変わらないじゃん。

それこそ、どうしたら変わるかを考えるのが仕事でしょ?

 

っていうことをね、

言いたいわけじゃないんだわ(なんなんだ)

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 

■目次

 



 

クライアントっつうのは基本アホなのよ

だって、素人だから。

「それはWebや制作についての素人であって、商取引(ビジネス)の素人じゃダメでしょ」

「いくらなんでも相手(クリエイター)に配慮のないコミュニケーションをする時点で人としてどうかしてるでしょ」

みたいなね、反論はね、ある。わかる。

だが、それとて二つのタイプがあるわけですよ。

  • Web制作やデザインの素人すぎて相場がまったくわからないだけ
  • 相手の仕事に対して敬意がないただのおバカさん

いる。どっちもいる。後者は本当にダメだけど、それであっても敬意の持ち方がわからないという発注者もたくさんいるんよ

「サクッとできるでしょ」 

みたいな発言ね、イラっとするね

僕も制作会社時代はまあまあイラっとしてた(ぜったい表に出さないけど)。

でもさ、あのさ、Web制作してるみんな、実はわかってるでしょ?

サクッとできる制作もあるじゃん?w

いや、あるからって、それがどのくらいの規模なのかもわからずに、特殊能力をもったデザイナーさんやエンジニアさんに軽々しく言ってはならん。でも、「サクッと」に適切なのがどのくらいの規模かも素人にはわからんのですよ

で、実際、サクッとできちゃうというツールもある。そのツールでつくったもの、本職のデザイナーがつくったものとクオリティがまったく違うんだけど、そもそも素人にはその違いがわからない。というかわかる人だったら、たぶん発注もうまいですよ。わかってるんだから。

ここまでくると、だいたい何が言いたいかわかるでしょ?

「ははーん、大半のクライアントとはそういうものなんだから、そうじゃないクライアントと付き合えるようがんばれよって話だな」っていうね。

 

違うんだけどね。(読んでる人たぶん怒っていい)

 

"わかってる"クライアントって?

まあ、いないことはないんですよ。

それ、どういうクライアントだと思う?

すごく端的にいうとね

 

ワッシのことだわ。

言い切った。

自分のこと「良い発注者だ」って言い切った。

こわい。

もうここでブログやめたい。

どうしよう、大きな態度で出すぎて、マジでこのまま削除してしまおうか迷ってる。

 

でもワイがんばる。

みんなハッピーになってほしいからがんばる。

あともしかしたらガッキーが読んでくれてるかもしれないからがんばる。

 

いやあの、僕が「良い発注者」かどうかはともかく「わかってる発注者」ってのは間違い無いと思うんですよ。そりゃWeb制作のこと、だいぶわかりますよ。だってもともとそっち側にいたんだから。

でもね、Web制作会社とか広告代理店のおまいさんたちにはちょっと考えてみてほしいの。

 

僕みたいなやつがクライアントで、ラッキーだと思う?

あのね、たとえば画面構成案としてワイヤーフレームを出すとするじゃないですか。

でもね僕ね、こんな記事かいてた人なんですよ。

toksato.hatenablog.com

数千ページね、書いてきたの。

さらにね、その人(僕)が事業会社にきて「自分ごと」として、もはや命かけて自社サイトのUI設計とかしてきてるのよ。CVR下がったらマジでがっつり給料下がる可能性もあるぜっていうね。うおー死にたい。やだ死にたくない。W杯優勝するまで死なない。

 

あのさ、制作会社さんがワイヤーフレームをつくって出してくるじゃないですか。

ぶっちゃけね、だいたいその人のレベルとかわかっちゃうんですよ。

あー、この設計意図かー、でもそれなー、あっさいなーみたいな。

あー、この資料作成レベルかー、このひとたぶん、こういうところに気が配れないなー、みたいな。

もうほんと性格悪い。嫁いびりする姑ぐらい性格悪い。

もっときっついのはさ

「先日のヒアリングや各種資料をもとに、御社の強みをこのように解釈し、このページ最上部のビジュアルで訴求します」

とかね、制作会社さんは言うわけですよ。

おそらく、普通のクライアントさんは「なるほど!」「弊社の強みをよくご理解されてますね!」とか言うの。

でも僕みたいな性格の悪いクライアントはね、こう言っちゃうんですよ。

「弊社の強みとしてその解釈は間違いではないですが、なぜこのページの最上部で弊社の強みを訴える必要があるんですか?訴えるなということではないんですよ。なぜ、ユーザがどうだから、ここで弊社の強みを伝えるんでしょう?ユーザーはそれを求めてるんでしょうか?」

いやほんっとに性格悪いw

でもね、優秀っぽいディレクターさんはこう反論したりする。

「たしかに、根拠としては少し薄いかもしれません。ただ、今回は競合他社調査やユーザー調査にそれほど費用や時間をかけない、というお見積もり前提でございますので、このへんは多少、仮説ベースで進めさせていただいてます」

ふむ。なかなかやるやんけ、とワイ思う。

さらに、同席している同僚や上司は「うん、そうだなぁ」みたいな空気を出す

でもごめんね、元Web制作会社ディレクターのワイ、そんな詭弁でだまったりしないんだわw

「いえ、根拠の信ぴょう性の話をしているんじゃないんですよ。ぶっちゃけそれが御社の思い込みでも良いんです。どういうユーザーが、どういう心理で、どういうニーズを持ってこのページにくると考えてるのか。その考えがあり、そのユーザーが"この会社の強みを知りたい"と思っているから"自社の強みを入り口にする"んですよね?その仮説の話をしてるんですよ。根拠の信ぴょう性の話ではありません。御社の仮説の組み立てについて聞いてるんです」

うん、もうね、(当時)自分で言ってて、自分が辛くなったw

もちろんワイヤーフレームだけじゃないですよ。

プロジェクト全体の進め方もそうだし、ワテクシ、割とディレクターとしても広く浅くタイプなので、Webマーケティング全般の話をしたり、一方でAWSのあれやこれやの話をしたり、CDNの話をしたり、いろいろありんす。

Webディレクター数年程度の人だと、ここまで幅広い人いないでしょうね(僕はもう歴15年なので)。仮にワイヤーフレームがばっちりだとしても、そこからシステム側のことを考慮した話とか、実装の話とかになると「うう・・・」となるディレクターさん多いです。

ディレクションだけじゃなく、もうね、Web制作会社や代理店がどういう理屈で動いてるのかもわかってるので(工数計算とかアサインの都合とかね)、だから見積書みればだいたい何を考えてるのかもわかるし、対応の手抜きなんぞだいたいバレてますw

いやでしょ、こんなクライアントw

ね、変に知識がなければそんなツッコミ受けないし、自分の専門外の話でもふわっとしたコミュニケーションで逃げたりできるんよ。「そちらは、システム担当になるので、あとでご連絡します」って言っても、知識のないクライアント担当者なら不思議にも思わないし「そういうもんなんだなー」で終わる。

けど僕みたいなんがいると「あー、そうですか。わかりましたー。じゃあ(御社内での連携なくて良いので)僕から改めて整理してシステム担当さんに聞きますわ」とか言わざるを得ず、ディレクターさんのプライドを傷つけてしまったりする・・・。(いや、そんなことしないですけどね)

 

「知識はないけど理解があるクライアント」という矛盾

となると、こういうクライアント担当者が理想じゃないですか。

いや、実はほんとに理想なんよね。

知識はないけど、配慮や敬意を持ってクリエイターに発注してくれるひと。

 

んなもんいねーわ、とは言わん。

が、あまりに希少生物なんよ。

なんでかっていうと、その人はつまりこんな人になる。

  • Web制作やデザインの素人すぎて相場がまったくわからないだけ(再掲載)
  • そして、それでもちゃんと敬意を持って接することができる人

これがなぜ希少生物なのか。

「人間としてできた人が少ない」ってことではないんよ。世の中、優しくて良い人だっていっぱいいますから。

そうじゃなくて「ちゃんと敬意を持って接することができる人」って、どう考えても相手のことを知ろうとするでしょ?

 

うん、すると、どうなる?

 

いずれ「知識豊富な担当者」に成長しちゃうのよ(しかも割と早いスピードで)

 

つまり、

・Web制作やデザインの素人すぎて相場がまったくわからないだけ(再掲載)

・そして、それでもちゃんと敬意を持って接することができる人

って、「生まれたての"才能ある赤ちゃん担当者"を探す」と言ってるようなもんで、そもそもめっちゃ難しいんよ。相手もまだまだアンテナが低いので、出会うことすら難しい。

 

アホなクライアントだってさ

それはそれで、良いところあるよ?って話がしたいわけです。

「理解はあるけど知識はなくて、わかんないからなんでも任せてくれてウンウン言ってくれるクライアント担当者」

なんて、論理的にもまず存在しない。

・・・ってことはないんだけど、そのなんか「気の優しいおっちゃん的クライアント」は、それはそれでね、クリエイターの価値はわかってないんですよ。だって知識がないから*2。だから査定や評価ができない。

つまり、やさしいかわりに、あなたがどれだけすごいことをしてるのかもわかってくれないんよ。だからそう簡単に単価もあがらないし、あがったとしてもただの優しさであってあなたの本当の価値を認めてるわけではない(おじいちゃんのお小遣いみたいなもんだ)

ちょうど、僕の話がわかりやすい。
僕、最初の事業会社は人材ビジネス(といっても求人媒体ではない)の会社だったんよ。そこでWebマーケティングとかそういうのやってたんだけども、人材の紹介とか派遣とかまあそんなんが事業の中心なので、Webはそれを助ける一つのチャネルでしかない。つまり、Web事業としてはそんなに大きくなく、Web業界経験者もぜんぜん多くない。

すると、僕がやってることはぶっちゃけ社内の誰もよくわかってないんよ。

「なんかよくわかんないけど、toksatoさんに任せておけばOK」っていう。

それが良いとか悪いとかではなく、ただ、誰も僕の仕事をちゃんと評価はできんのです。

一方で、いまは巨大な自社ECを持つ会社におりまする。
同僚や上司に「わかってる人」がたくさんいるんですよ。だから、僕の仕事もちゃんと評価できる人たちがたくさんいる。「toksatoさんはこういうことができていいね」「こういう超難解案件はtoksatoさんだよね」と言ってもらえる。

良い話?

いやいや、こうなるとまったく手が抜けないし、ちょっとした失敗もすぐバレるw

こわいよー!!!!!!!!

 

それでも"わかってる"クライアント担当者と仕事がしたければ

簡単よね。

ベラボーにデキる担当者と、伍して戦える実力をつければいい。

そうそう

つまり

 

ワイとガチでやり合えるようになればええのよ

 

うん、やめよう

もうこれやめよう

マジでごめん

偉そうにもほどがある

ガッキーかお母さんのどっちかに怒られる(たぶんお母さん)

もう大きく出るのやめたいのに、わかりやすいからっていうだけで書いちゃった

ね、ただのヒールよ、プロレスのね、演じてるのよ

本当に悪者なわけじゃないの(泣)

 

まあ、僕はもう制作の現場から離れて4年も経つので、制作のトレンドからは絶対に遅れてるのですよ。でもそのかわり、事業会社側で様々なツールを導入して運用したりしてきたわけですお。MA、SFA、CRM、Web接客、チャットボット、A/Bテストツール、CDN、レコメンド、EFOなどなどなど・・・。

そういう人に制作会社の人が変に「Webの全体戦略を練ります!」とかいうと余裕で負けるので、制作のプロとして戦えるかっちゅう話になるわけですやね

あります、ありますよ、そういう制作会社さんも
僕なんかの身分では発注できないけど某東京のWeb制作会社・ホームページ制作会社さんとか、某サービス考える的不動産専門の制作会社さんとか、すごいんだろうな〜とおもんます。(あと某アニメ・ゲームなどのエンタメ系Web制作&運用会社さんも、良い会社なんだろうなーと思う)*3

でも、たぶんそういうとこ採用ハードルも相応に高いでしょうし、入っても(きちんと教育してくれるだろうけど)かなりちゃんとしたビジネススキルを求められるだろうなとおもんますよ。

それがダメっつうことではなく、そこ目指します?それはそれでだいぶ茨の道よ?ガツガツした成長意欲求められると思うよ?その覚悟ある?ってことが言いたいのです。

なので、高みを目指しても良いし、現状維持でも良いし。そしてアホなクライアントもそれはそれで、悪くない世界だと思いますよ、と。理解あるクライアントとの仕事、良いなーと思うだろうけど、それはそれで隣の芝生青い案件よ?って話ですやね。

今日はそんなところです(謎)

 

 

いいわけ(読まなくてOK)

もう言いたいことはぜんぶ書いたので、ここから先は読まなくて良いですw

「"わかってる"クライアントって?」の項で書いた、クライアント側として僕の話ね。さすがに本当にはやらんです。代理店とか制作会社の方々にマウンティングしても何も良いことはないですから

そりゃね、知識やスキルは持ってるので仕事内容みればレベルはわかっちゃうんですけど、べつに最高のクオリティだけがすべてではないし、価格なりにお仕事してくれるパートナー企業さんはすべて大事にしたいと思ってますし。

なおいえば、発注側に来て本当に思います。
僕ら発注者がやるべきは買い叩くとかマウンティングではなく(そんなの愚の骨頂)、いかに、僕らの仕事がやりがいがあるか、意義があるか、モチベーション高く持ってもらえるかが大事で。そういう風に思ってもらえるようなアプローチこそ、僕ら発注者の最も重要な仕事だと思っています。

「この会社からまた発注が欲しい」

「この人とまた仕事がしたい」

そう思ってもらうことこそが、僕の仕事だと思ってます。がんばります。

 

P.S.

ちなみに自慢ですがw

「toksatoさんがいるから、御社の仕事受けてました」

って、何回か言われたことあるよ!
僕もがんばってるんだから、みんなもがんばろう!(なんだそれw)

 

*1:ということについては、この記事で書いたので発注者側の話はこれ読むといい。

*2:わかろうとする人は前述の通りすぐ成長しちゃう

*3:迷惑かけたくないからリンクは張らないw