笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

納品したらお金がもらえるということのすばらしさ。

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新年あけましておめでとうございます。

とある事情・・・というか他の事をやらねばならないためにブログ更新をストップしているのですが(といいつつ書いた方がはかどったりして、とか思い始めている)、まあ、2019年ですしね。いや2019年かどうかは関係ない。年明けましたしね。挨拶がてら書いておきましょうと。

こんな記事に出会って。

qolony.net

ちょうど2年前にWeb制作会社から事業会社にうつった自分としては、大変共感する部分が多いと同時に、会社によってはこれでは厳しいかなぁと思ったりもしました。

なので、制作会社から事業会社に来たWebディレクターはこんなことやったり考えたりしてるよってのを書いてみます。

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。



 

便利使いされて終わるんじゃね?という懸念

うん、まあ、この一言で終わりっちゃ終わりw。他に言うことがない、とここで締めても良いのですがだったらTwitterで良いので・・・。

件の記事に事業会社におけるWebディレクターのお仕事が書いてありました。

  • マーケティングなどの集客の施策を考えながら制作ディレクションを進める
  • 社内のシステムの導入や改修などのプロジェクトに入ることもある
  • 複数のサイトの運用を並行して担当することもある
  • メインは運用業務で、リニューアルなどのプロジェクトは少ない

あるあるあるある・・・w

そして心構え?としてうまいやり方が以下だと書いてありました。

  • 献身的に話を聞き入れている人
  • 人の提案にポジティブに反応している人
  • 積極的なサポートを自発的にできる人
  • 人の悪い点を離さず、仕事の課題にフォーカスできる人

そうですねぇ。
まったくその通り。
ただ、上記のような人はたぶん制作会社にいても重宝されると思いますけどね。

で、こういう姿勢があると多くの人に頼りにされるのでたくさんお仕事が舞い込んできたりします。ま、そりゃね、頼りになりますからね。事業会社内でWebやITに詳しい人って多くないでしょうし(何の事業やってるのかによるけど)。

しかし、これが問題を生む。

いったい誰がそれを評価するんだという問題を。

 

"専門家を評価する専門家不在"問題

「社内のシステムの導入や改修などのプロジェクトに入ることもある」と前述の引用ですが、僕も実際こういうの多いですね。自身が担当するWebサイトと新たに連携するシステムが別部署で立ち上がることになり、その導入メンバーに入れられたり。いや、それはまだ良い方で自分のチームとは直接関係ないプロジェクトにもお呼ばれしたり。

制作会社のWebディレクターだったので当然HTML/CSSは自分でもある程度は書けるし、Photoshopやillustratorも最低限ぐらいは使えるんですが、そういうのより重宝されるのはあれですね、データベースとかインフラまわりとか、そういう方が重宝される

極端な話Webサイトは動けばいいしデザインとかUIとかは素人でもなんとなく判断できると思われてるんでしょうね。一方でシステムまわりはもうほんと何を言ってるのかチンプンカンプンだ~とよく聞きます。

というか、僕はWebディレクターとしては中途半端というか、何でも屋的なところがあって。

UX専門の人でもないし、プロジェクトマネジメントが超強いわけでもないし、そのかわりWebマーケティング~UX、UI設計、デザイン、HTML/CSSぐらいまでは自分で手を動かせるし、Webシステム系の案件もまぁまぁやってたのでざっくりした機能仕様書書いたり、非機能要件の話をしてみたり、DB設計の話をしてみたり~と、割と幅広い方だと思います。

そんなわけで自身が担当している部分でも外部パートナーに出会うと100人中100人「え?!これtoksatoさん一人で担当してるんですか?!?!?!」とそれはもう絶滅動物でも見つけたかのようなレベルで驚かれてしまいます。ワタシ ゼツメツシテナイヨ。

こうなると「やたら知識やスキルのある人」という認定をされて頼りにはされるものの、しかしこれを評価できる人がいないんですよ。いやそりゃ、一般の人にはわかんないですよね。下手すると「Webディレクターっていうのはみんなそういう人」だと思われる可能性が高い。

 

だが、事業会社はそれでいい

いいかどうかは僕が決めることではないけど(笑)

事業会社に来て常々感じているんですけど、ほんと"つくることは手段でしかない"。

すごーく割り切った言い方をしてしまえば、企業というのはお金を儲けるために存在しているわけですよ*1。すると、基本的には社長だろうが部長だろうが現場だろうが、その儲ける=経営にどうやって貢献するかということが問われるわけで、それぞれはただの役割分担でしかないともいえる。

事業会社における「経営に貢献」とは、その事業の成功(成果を出すこと)にどれだけ貢献したかになるわけで、Webサイトだろうが社内システムだろうがすべては手段に過ぎない。つくることを軽視して良いわけではないけど、大事なのはつくったあとそれがどれだけの売り上げや利益を生み出すかであって、作った時点では損失*2でしかない

だから、僕も含め元制作会社Webディレクターが事業会社に来たところで「WebやITのことが超わかる」なんてそう簡単に評価されなくて当然で、それをいかに事業の成果に結びつけるかが大事。だから、組織の中で偉くなればなるほど「ただのIT屋」だと便利使いされて終わるんじゃないかな、と僕は思っています。

 

納品したらお金がもらえる事業のすばらしさ

さて、事業会社事業会社と、まるで制作会社が事業を営んでいないような書き方に終始してきましたがw、いや、そんなことはないですよね。Web制作会社なら立派に「Web制作事業」を営んでいるわけで。

ただ、両社で大きく違うのはやはり「納品物ベースの商売」ってところで。制作会社っていうのは基本的に納品すればお金がもらえるわけですよ。対応が悪かったり納品物が粗悪だったりすると次のお仕事がもらえないとかはあるだろうけど、それでもとりあえず期日までに要求通りのものをきちんと納品すれば約束通りのお金がもらえる。これって本来すばらしいことだなぁと、よく思います。

事業会社の場合はそうじゃないんですよ。どんなにがんばっても「成果なんて時の運」という側面は否めず、評価もそれに大きく左右される。

だから事業会社の方ががんばってる、と言いたいわけじゃなくて。やはり良いものを創る人というのは、あまり成果に追われるような心理状況で仕事をすべきじゃないと思うし。そして受託の場合は客商売という面が強いのも否めず、その面でつらいことはあるだろうし。

たとえばECサイトを新規に立ち上げる際、請け負った制作会社はまずつくって公開することに心血を注ぐでしょうし、良いECサイトをつくることに集中するでしょう。一方で発注側の事業会社(の担当者)はもちろん無事公開することも大事だけど、次の瞬間にはもう「どれだけ売り上げられるか」ということに戦々恐々とする日々が待ってます。いやー結構な金額かけて鳴かず飛ばずだった日にゃあもう、生きた心地しないだろうなw

どっちが良い悪いという話ではなくて、「どっちにも一長一短あるよね」という当たり前の話であり、そして「つくること(専門的スキル)を評価されたい人は制作会社にいた方が良いよ」って話です

 

「事業会社でWebマーケティングやりたいから」で転職しない方がいいよ

一番言いたいのはね、実はこれだったりする。

なんでかっていうと専門的なスキルや知識は軽視されてめっちゃ数字求められるから(笑)

いや、ちょっと誤解のある表現なので訂正しておくと、スキルや知識を著しく軽視されるわけじゃないです。だが、やはり本線はそこではなくて「それを使っていかに成果をだしてくれるのか」を見られるわけです。

よく「Webは手段に過ぎません」というWeb制作会社さんいますけど(っていうか僕も言ってた)、そうはいってもWebつくったり活用コンサルをしている時点でビジネス的にはWebから離れられんわけですよ。
そこへくると事業会社というのはガチで「Webは手段に過ぎません」なのでかなり自由です。しかしそれは同時に「自分で選択して成果を出せ」と言われているのと同じで、Webを選択して何かを創ったことなんて評価してくれない。

その代わり、自分のつくったもので成果が出るととてもうれしくて(受託時代の比ではないです)、成果を出すこの辺のコミット感というのは事業会社側の醍醐味でもあり辛いところだろうと思います。

その覚悟があるなら「事業会社でWebマーケティングやりたいから」で転職しても良いと思うけど、そうじゃないなら制作会社にいた方が良いと思いますよ~、と。

 

「成果を出す」という意識。それが勉強になるので僕は今も楽しいです今年もがんばります。

前述のとおり、割と幅広なんでも屋な僕の知識やスキルはそんなに強く評価されてないんですが、それが評価されたいなら制作会社に残ってるわけで、そんなにつらいと思ってません。

一方で、いまの会社にいる「デキる人たち」の凄まじさを目の当たりにして、来てよかったなぁと今も思います。とにかく「なにがなんでも成果を出す」という意識の強さたるや、大迫半端ないです。大迫関係ないけど。

大袈裟だけど、自分の生き死にがかかっているからでしょうね。理屈で考えたら諦めそうなものを、諦めないw。無論、だからって無理強いしたってコトはうまく進まないわけでやり方を考えなきゃいけないんだけど、とにかく他に手はないか、もっと早く効率よくやる方法は無いか、常に考えてます。ときには、それ無茶じゃね?という方法も・・・(笑)

この辺は、制作会社とは一線を画すものがあると思います。まちがいなく受託側の方が緩い。それは前述のとおりビジネスモデルの違いで、制作会社というのは納品することが売り上げに繋がるわけで、つくったものが売り上げを生むかどうかは二の次だというのは否めないから。*3

というか、僕自身がそれを今の場所に来て痛いほど思い知らされました。だから「ああ、あのときクライアントはこう思ってたんだろうな。悪いことしたな・・・」と思うことがいーっぱいあります(それがわかるだけでも良い経験ですよね)。

そういう意味では「制作会社にいるとクライアントそれぞれのビジネスがあるので、様々なビジネスを体験できる」と、メリットが語られたりしますが、半分はそのとおりで半分は間違いだと思う。結局、そのビジネスに自分の生き死にが直結しないわけだから。*4

 

というわけで、制作会社のディレクターも大変だろうけど、こっちはこっちできつい部分あるよっていう話と、「納品したらお金がもらえるビジネスって結構良いよ」っていう話でした。とくに後者の方、実際にそこにいる人たちはあんまり気づいてないんじゃないかな?って思ったんですよね。それ、めっちゃくちゃ幸せなことよ?と。それを理解して仕事するのと、しないで仕事するのではだいぶ違うんじゃないかなと思って。

 

あとがき

ちなみに、ここでは組織側のあり方やダメダメパターンっていうのは度外視して書きました。

当然のように「つくること(専門スキル)を評価する事業会社」もあると思います。Webが事業そのものになっているベンチャー企業なんてそうでしょうね。

また、あまりに評価をしなさ過ぎてみすみす優秀な人を逃しまくってる企業や、そもそも募集の時点でスーパーマン求めすぎ企業もあると思いますが、それも言及対象からは外してます。

*1:もっとちゃんと言うならそれだけじゃないけど今は話の本筋から外れるのでこのままいきます

*2:本来は投資

*3:文字通り「一番ではない」。決して全く意識してないという意味ではないです

*4:いや、本当に直結してるのなんて経営者だけだけど