こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。
僕はいま大きな事業会社にいて、そこでWeb制作チームのマネージャーをやっているんですけども。元は(というか本職は)Webディレクターであり、最近、久しぶりに現場におりて自分でWebディレクターをやっておりまする。
とある自社サービス(ブランド)の公式サイトリニューアルを受け持ち、そのWebサイト戦略的なものをやっているのだけど、まあ、これがほんと、偉そうにやっているw
いや、偉そうというのは結果であって、要するに
「toksatoさんの言うことを聞くべき!言う通りにしよう!」
ぐらいの流れを作っております。
我ながら悪徳宗教みたいなこと言ってる。
もちろん悪徳宗教のようなことはしないし、きちんと自社のため、そこにいる担当の利益になることを考えて、Web戦略設計をしておるのでありますのよ。
ただ、どうあろうが、これはひとつの「理想的な関係」なんだろうと思うんよね。
「依頼者(クライアント)がプロとしてこちらの話を聞いて、尊重してくれる」
という。
でも、もう何度かこのプロジェクトのミーティングをしていますが、僕はほとんどWebの話をしてない。
そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。
■目次
「クライアント様の想いをデザインで表現します!」はわかってない
このフレーズね、わかってないなぁと思うんですよ。
最近の「未経験からフリーランスのWebデザイナーに!いまは月商◯◯万円!」な人のツイートによく出てきますけども。
いや、こういうスタンスでWeb制作する人を否定するつもりはない。そういう仕事があっても良いし、それを求めてる人もいる。だからいい。
しかし、それはWebサイトとして本来目指すべきものではないんですよ。
ぶっちゃけしまうが、Webサイトに経営者の想いなんてクソどうでもいい。
いや、まったく不要だとは言いません。しかし、経営者の想いを表現することも手段の一つに過ぎないはずで。というか、「クライアント様の想いをデザインで表現します!」が本質だと思ってる人は、コンビニでおにぎりを手に取った時にも経営者の想いを大全面に書いて欲しいのだろうか。
Webサイトはユーザーの問題解決のためにあるのであって、何がしかの目的を持ち、おそらく多くの場合は「何かが知りたくて」企業サイトやLPに来訪するわけで。
その「何かが知りたい」の流れに「経営者の想いを知りたい」があるのなら、そのときにそのコンテンツを提示すれば良いわけで、経営者の想いを表現するのはやっぱり手段に過ぎない。
というか、興味もない(その多くはオッサンであろう)経営者の暑苦しいメッセージとか、大概はどうでもいいでしょ。
まず、何ができるのか、それは他社とは何が違うのか、おいくらなのか。そしてそれは信用できるのか。まずはそれであり、なおいえばそれすらも「ユーザーや企業による」でしょうね。値段と商品名があれば売れるならそれでいい。
まず大事なのはそっちなんですよ。
経営者(≒依頼者)は経営のためにWebサイトを欲している
当たり前のことなんですけどね。
- 経営のためにWebサイトを欲している人
だから、
- 「どんなWebサイトが欲しいですか?!」とその人に問う
一見すると自然な流れ。
いや、というか、別にこれでも良い。
こういう仕事をするのが悪なわけではないんよ。
しかし、これこそが本質だと思い込んだまま仕事をしているから、いつまで経っても御用聞きの域を出られず、相手の言いなりにしかなれない。
「欲しいものを相手に言わせてそれをつくる」しか、してないから。
なお言うと、「なんかインターネットとかパソコンに詳しいやつがITかなんかのことをやってくれる」としか思われてないから、そうなる。
経営者は経営のためにWebサイトを欲し、依頼担当者はそれを代理で発注してるに過ぎないのですよ。つまり本当に欲しいのはWebサイトではなく、売り上げや利益。正確に言えば「経営に貢献する何か」。
それを「Webの素人」である依頼者に、必要な物や要件を決めさせてるんですよ。そりゃ、御用聞きのままでもしょうがない。っていうか実際に御用聞きなのだから。
最初からWebの話をするな
本来、クライアント(依頼者)が求めているのは「経営に貢献すること」であり、つまり「ビジネス」なんですよ。Webがどう、そのビジネスと関わり、どこで誰に接し、どう活躍するのか。Webでありながら、これはそもそもビジネスの話で。
であれば、クライアントとビジネスの話をすれば良い。
しかし、それができない。
なぜか。
最初から「どんなWebサイトがお好みですか?」と聞いてるから。
もしくは「想いをデザインで表現します!(だからサイトで表現したい想いを教えてください)」と言ってるから。
そこから入れば、当然クライアント側も「そうそう、俺が欲しいWebサイトをつくってくれる奴」になり、そのまま「希望を言う側」と「受ける側」の構図になる。たとえば理不尽な修正量がきて断っても「お金払ってるのに希望を聞いてくれない業者」と思われる。
クライアントが本当に求めているのは経営への貢献であり、それはつまりビジネスの話で、だから、ビジネスの話から入るべきなんですよ。
いきなりWebの話をするな。
徹底的にビジネスの話をすべき。
なぜ、いま、Webサイトを求めたのか。それは何をしたかったからなのか。競合がどこで、自社がどこにいて、消費者は誰で、どういう環境に置かれていて、その会社はその人に何を価値(と感じてもらえる体験)として提供できるのか。
まずはその話が先であり、その提供できる体験に基づいて、ではそれをユーザーにどのチャネル、どのデバイスで、いつ、どんな表現で伝える必要があるのか、が出てくる。そしてその中の一つに「経営者の想い」がある。
LPだって公式サイトだってそこは同じで。
依頼者が「経営者の想いをこう載せたい」と言い出したら、「トップページにそんなものは要りません」と否定してあげるのが「Webのプロ」のすべきことのはずで。
そのためにはまず、最初のヒアリングの時点でビジネス観点の話から入り、「ん・・・・こいつはホームページじゃなくてビジネスの話をしにきたのか?」と思わせる必要がある。
しかし、こう言うと多くの人が勘違いする。
「競合他社はどこですか」と聞けばいい
と思っている。
どこの世界に、今日あったばかりの知らん奴に対等にビジネスの話をしようと思う人がいるのか。
そのために、クライアントのサービス、業界を研究するんですよね。
それをまとめたのがこのエントリなんだけども。
相手に「ああ、こいつはパソコンとかインターネットのことじゃなく、本気でビジネスの話をしにきたんだ」と思わせる必要がある。そのためには、対等とは言わないまでも、相手が「おっ、こいつ話ができるな?」と思わせるだけの知識と話術が必要で。
「クライアント様の想いをデザインで表現します!」って言ってるようなレベルでは無理なんですよね。
まとめ
これを読んでいる聡明な方におかれましては(謎)
気づいてると思います。
これはべつに、この方法だけじゃない。
たとえば、とてつもなく幅広い(スキルの)守備範囲を持つことで、クライアントと対等になれることもあるし、グチャグチャになりがちなプロジェクトをクライアント社内に入り込んで交通整理できるだけでも重宝される。
アリテイに言えば「付加価値」ですね。それがあればいい。
しかし、Webのプロとしての王道は、基本的にはやはり「Webについてのビジネスをプロとして圧倒的な知識で語れる」だと思うんですよね。
少なくとも、その本質がわかってない「クライアント様の想いをデザインで表現します!」なデザイナーはぜんぜんダメで。
※何度も書くけど、「御用聞きに徹する仕事」を否定してるわけじゃないですよ。
僕もこれから社内でこれを実践しなきゃいけず、さらにそれを部下さんたちに見せて、依頼者も部下さんも圧倒しなきゃいけないと言う強烈なプレッシャーにさらされておりますw
が、Webのプロとして、楽しんで、圧倒的な姿を見せていこう。
それがきっと、この仕事の地位向上につながる。
追記(告知忘れてた)
ガッツリ忘れてました。
また名村さんの「Webディレクションやってますラジオ」に出ます。
↓のフォームにてご質問も受け付けされているようなので、この機会に聞きたいこと(というよりtoksatoに名村さんを介して恥ずかしめたい喋らせたいこと)あればお気軽に送ってくださいまし。
好きなホルモンの部位以外は何でも答えるので*1、是非待っております。
*1:名村さんのラジオでそんなくだらないことを聞いてはいけない