こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。
プロジェクト炎上のあるあるとして「コミュニケーションが足りなかった」というのがある。多々ある。
さらに詳しく聞いてみると、言ったことが反映されていなかった、意図が伝わっていなかった、情報の連携がしっかりできていなかったと言い、解決策を「コミュニケーションをもっと密にする」として終結する。
残念ながら、このような話はほぼ間違いなく次も失敗するんだなぁ・・・。なぜなら、問題の原因がわかっていないから。
だから、
そういうときは、
こういうことをやるべきだし、
こういうことはやっちゃいかんのだよ、
と若手に伝えたい。
伝えようと思った。
ネット上になんか記事があるやろと思った。
なかった。
まじか。
他力本願ダメか。
というわけで、自分の備忘録的にも書いておこうと思います。
いいか?プロジェクトのコミュニケーションはスーパー戦隊を見習うのだ!(謎)
そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。
■目次
- 頻繁にコミュニケーションを取ればなんでも解決するわけではない
- なぜ、戦隊ヒーローはみな一様に腕時計もどきに話しかけるのか
- 最大の問題はタイムロスではなく、情報の錯綜
- コミュニケーションルールを定義しよう
- ざっくり4つのシーンで定義するといいかも
- 具体的には・・・?
- 最後に:これは「怠け」ではない
- おまけ:Podcastラジオにゲスト出演してまいりました。
頻繁にコミュニケーションを取ればなんでも解決するわけではない
メールで修正指示が来たと思ったら次の日には別の人から口頭で指示をもらい、また次の日には電話で修正指示が来たら、修正漏れが起きない方がおかしい。
こんなのは起きて当たり前なんだけど、これを深く考えずに「コミュニケーション不足」としていては解決するはずがない。どれが最新の情報かわからなくなっているのに、頻度を増やしたって根本的な解決にはならない。むしろ、情報が増えて事態が悪化することだって考えられるわけで。
なぜ、戦隊ヒーローはみな一様に腕時計もどきに話しかけるのか
スーパー戦隊シリーズ、というすべての日本男児が通ってきたのではないかと思う人気シリーズがありますやね。
あのシリーズに出てくるヒーローはなぜかみんな腕時計みたいな専用の通信機で連絡を取り合ってますね。って、最近はどうか知りませんが・・・と思って調べたら最近はスマホ型の連絡デバイスがあるらしい。時代は進んでいるのか、進んでいないのかw
(僕らの世代では)大抵は総司令のようなオジサンが出てきてレッドに指令を出したり、あれに呼びかけて大型ロボを呼んだりしていましたねぇ。
僕は、あれには実は意味があると思っていて。*1
だってあるときは携帯電話、あるときはメール、あるときは伝書鳩だったら困りもので。複数の連絡手段は持っているのだろうけど、おそらく緊急時の連絡手段は決まっていて、きっとあの腕時計チックなものなんでしょう。そうでないと、緊急にもかかわらずレッドが司令に反応しなかったりしますから。
要するに、連絡手段を絞らないとスムーズに対応ができないし、それが積み重なればそりゃプロジェクトも破綻するのですよ。
最大の問題はタイムロスではなく、情報の錯綜
スーパー戦隊のような「緊急時」だと問題はタイムロスになるんですが、それは緊急時だからそうなるだけで、本当の問題は「情報の錯綜」。
つまり「どこの何の情報が正しいのか」がわからなくなる。緊急時に関わらず、あるときは腕時計チックな専用機に連絡が入り、別の時はメールで全員に連絡が入ったりすると、専用機の指示に従って行動をしていたら、実は最新の指示はメールで来ていた、なんてことが起きてしまう・・・。
仕事もこれと同じで、メールで修正指示が来たと思ったら次の日には別の人から口頭で指示をもらい、また次の日には電話で修正指示が来たら、修正漏れが起きない方がおかしい(2回目)
前述の通り、この問題はコミュニケーションを密にしたからと言って解決するわけではないですね。
コミュニケーションルールを定義しよう
スーパー戦隊の専用機のように「こういうときは、この連絡手段を使うべし」を決めれば良いのですよ。「緊急時の指示は専用機で」「通常の業務連絡はメールで」「雑談程度のものや議論はチャットで」といったように。
修正漏れについても「修正指示は常にメールで」としたり、さらに件名を固定すればかなり防げるようになるはず。少なくとも最後に確認するときの労力はかなり下がります。そう、大事なのは頻度も含めたコミュニケーション方法をきちんと定めることなんですよ。頻度だけあげればいいってもんじゃ無い。
仕事をしていれば、緊急で連絡を取らなければならなかったり、議論をしながら決めなければならないシーンが出てくる。その逆に、すぐに決める必要はなくとも、履歴として形に残しておかなければならないこともありますね。
お金の話や日時の話など、人が間違いやすかったり忘れやすいものはメールや文書などきちんと履歴を残しておかないと後で揉めます。他方で、問題が発生してすぐに相談をしなければならないのに悠長にメールをしている場合ではないこともある。
このように様々なシーンがあるわけだけど、その都度個々人の判断に任せているから収拾がつかなくなるんですよ。
初めから「基本のやり取りはメールで」「電話は緊急時および議論をしたいときのみ」「費用の話は営業さんに」「日々の細かい話はチャットに」「決定事項は必ず○○の資料に」と決めておけばいいんです。スーパー戦隊だって、司令官は基本的にレッドに指示を出しているはずで。
ざっくり4つのシーンで定義するといいかも
これはあくまで・・・というか超雑にw、定義のパターンを挙げてみたというやーつです。
ま、何かの参考までに。
【1.検討するとき】
・向いている方法:会議での議論
どんな内容にするか、どういう方針にするか決定するためには様々なことを検討しなければなりませんね。このとき、複数のメンバーが関わるのにメールを使っていたんじゃ議論がなかなか進まない。
会議は議事録というドキュメントで内容の履歴を残すこともできますが、一言一句記すのは現実的ではないし、やはり会議というものは「履歴を形に残す」には向いていません。しかし、検討するときに大事なのは履歴より「複数のメンバーが集まって知恵を出し合うこと」ですからね。
【2.決定したとき】
・向いている方法:ドキュメントデータの共有
検討して決定したことは、データなどの形に残しましょうぞ。なぜならみんな忘れるから。
決定したことに沿って作業を進めていくというのに、その決定した内容を忘れてしまうというのは大変危険なことですねぇ。このとき大事なのはリアルタイム性ではなく「いつ見ても同じ場所に同じ内容のものがある」ということ。そのためにはきちんと資料にまとめ、全員に「決定事項を共有します」と送るべきです。
これの最も簡単な手段はメールで送付することですが、ビジネスの現場では毎日大量のメールが流れているので、埋もれる危険も相応に高いです。最近はGoogleドライブなどオンライン共有スペースもあると思うので、そこにフォルダをつくって共有すると良いと思んます。こうすれば、いつ、だれが、どこから見たって「最新の決定内容はこれだ」とわかるようになる、でありますね。
【3.実施するとき】
・向いている方法:メールやプロジェクト管理ツールによる連絡
決定したことを実施するときに発生するのは、作業着手の依頼であったり実施したものの確認。このとき、口頭で伝えるのも悪くないですが、よほど簡単な内容でない限りすべて覚えきるのは至難の業です(依頼された方も、なんならした方も忘れる)。また、その場にいるメンバーしか見ることができません。
実施するタイミングで重要なのは、タスク管理に近しいものです。誰が、誰にどんな内容をどんな納期で出したのか、いま誰が作業をしているのか、などなど履歴を管理するには、「送った」「受け取った」という流れが明確でなおかつ履歴が残るツールが向いていますね。(というか、backlogなどのプロジェクト管理ツールはむしろこのためのものですね)
【4.緊急時】
・向いている方法:電話による連絡
これは番外編に近い話。
1〜3のどのシーンでも、どうしても緊急な対応が必要なときがあります。トラブル発生時や、いますぐ対応しないと機会を逸するときなどです。パンフレット印刷直前に誤植が見つかったというのに、いつ読んでもらえるかわからないメールで指示を送るなんておかしい。はたまた、すぐに担当者と議論をした方が良いのに一週間後の会議を待っていては意味がありませんねぇ。
その点、電話はすぐに相手が捕まってコミュニケーションが取れるので優れています。「これは急がないと」というときは率先して電話を選択しましょう。ただ、電話の内容は残らないので、そのあと決まった内容をメールで送っておくのが得策ですやね。
具体的には・・・?
さて、これを具体的にするとこんな感じかなと。
- デザインや内容の検討:毎週火曜11時〜の定例会議にて(出席者:Aさん、Bさん、Cさん、Dさん)
- 決定事項の共有:Googleドライブの●●フォルダにアップし、専用メーリングリストにてURL共有
- タスク依頼:メールのtoに担当者、CCにメーリングリスト、件名に【○○】をつけて依頼
- その他諸連絡:メーリングリストにて行う
- 各種問い合わせ先:プロジェクト全体-Aさん、デザインや内容修正-Bさん、予算調整-Cさん
- 緊急連絡先:プロジェクト担当○○ aaa@example.com 090-1234-xxxx ※電話の場合は決定事項をメールで追送
これを、プロジェクトの最初に決めるのですよ。
こうやって決めれば、情報が錯綜することを(かなりの部分で)防げるはず。
ちなみに「これに従わない人はどうするのか」という質問を良く受けるのですが、それはそれで問題ありません。いや、問題はあるのだけど、大事なのは基本ルールを定めることで。そうすれば多くの人は守ってくれますし、逆にこれが絶対になる必要もありません。ときには会議でタスクを貰うこともあるでしょう。柔軟に対応するのは大前提で、しかしその前にまず混乱を避けるために基本ルールを設けましょうということで。
※あと、ルールに従わない人の依頼は後回しにする、というテクニックもあるw
また、一つの資料をつくる程度でここまで必要なの・・・?という声も聞こえてきそうだけど、たしかにここまで細かいものは必要ありませんねぇ(笑)。
でも、そういうときでも「修正指示についてはこの件名のメールで送ってくれると助かります」とか「最新のデータは常にここに置いておきます」と、自ら簡易ルールを示すだけでもだいぶ変わるはずですよね。
最後に:これは「怠け」ではない
非常に多ーーーーーーーーーーーくのクリエイターやディレクターが、「依頼者の連絡手段を絞ったり、依頼タイミングを制限させるのは、自分たちが怠けることである」と捉えていて。
言い方を変えると「自分達が楽をするためにお願いをするようで、言いづらい」と。
そういう人はですね、そもそも自分の仕事は何なのか、を改めて考えましょう。
これはね、「プロジェクトを安全に進めるための手法」なんですよ。怠けるとか楽をするとかそんな低次元なものではないのです。
プロジェクトを引き受け、安心して一緒に進めてもらい、最後にちゃんとした成果物を相手に渡すため、に必要だからやるわけで。
依頼者がそれでも嫌がり「忙しいから思いついたタイミングで自由に連絡や依頼をしたい」というなら、それはそれで良いのです。
「承知しました。では、そのぶんだけ確認や整理の時間が増えるので、お見積りと納期に反映しておきますね」
と言えばいいだけの話で。*2
そうしたいならそうすればいいし、別にそれは悪いことでも無い。
ただ、
「大事なプロジェクトの予算を、そんなくだらないことに使って良いのですか?」
という話と、
「ばら撒かれた依頼(連絡)を受け取る、なんてただの"作業"が、自分の価値になっていいの?」
ということは、改めて考えた方が良いと思いますね。
おまけ:Podcastラジオにゲスト出演してまいりました。
名村さんの「Webディレクションやってますラジオ」にゲスト出演していろいろディレクションや「企画」についてお話ししてきました。
全4回のうちすでに3回まで配信されております〜(2023/10/12現在)
1回目の配信はこちら。
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