笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

クライアントヒアリングを成功させるコツ。

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もうコツなんてないなんて言わないよ絶対に©︎槇原敬之

 

こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

 

クライアントヒアリングじゃなくてもいいんですけどね、上司から要件を引き出すでも良いし、なんなら「雑談力」と言い換えても良い。言い換えちゃダメだけど。ちがうから(どっち)。 

ただ、ぼくは10年以上Web制作会社でWebディレクターとして勤務し、いまは事業会社(=発注側)にきて6年目になる。社内外の人を相手にWebディレクターとしてヒアリングをしてきて、コツみたいなもんはあるわけです。

他方で、「このひと、へったくそやなー」って思う人もいる。そういう人は、聞き方がわかってない・・・んじゃなく、そもそもヒアリングというものの捉え方がまちがっている。と思う。

 

ということで、今日は「相手からどうやったら欲しい情報を引き出せるのか」のお話。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 

■目次

 



 

というか難しく考えすぎなのである

いや、実際ヒアリングって難しいのは事実なんですけどね。

でも、理屈はそう難しいことじゃないと思っている。

どんなことでもそうだが「なぜ」「どうして」「どうしたら」を考えれば良い。

すごくマイナスことを言う同僚がいたとして、彼はなぜそんな発言をするのか。どうして周囲がげんなりすることを言いたがるのか。どうしたら、そんな発言をしなくなるのか。きっと、彼には彼なりに理由があるはず。その理由が真っ当かどうかはべつとして。

クライアントはなぜ話してくれないのか。

どうしたら重要なこと、Web制作に必要なことを話してくれるのか。

と考えるから難しくなる。

 

仲の良い友達に、核心に迫る話をしてもらうにはどうしたらいい?

 

うむ。

これでもちょっと難しい。

 

発想が逆なんですよ。

聞きたいことを話させるんじゃない。

相手がたくさん話さずにはいられなくなるにはどうしたらいいか、を考えるんですよ。

聞きたいことを答えさせるんじゃない。

相手が"話したくなる"話をする。

 

なので、もっと簡単に言うとこれ。

 

親友が、饒舌に話してくれるテーマや相槌の仕方は?

 

逆に聞きたい。

これに答えられない人いる?

答えられなかったとして、それ、親友じゃないと思いますよw

 

クルマ好き、アイドル好き、サッカー好き、それぞれいくらでもあるでしょう。

アイドル好きの親友に、饒舌に語ってもらう方法、そんな難しくないでしょ?

難しいのは、同時に自分もそれを楽しむことであって、相手に楽しくお話ししてもらうこと自体は難しくないはず。

 

「ねぇねぇ、最近のアイドル事情ってどうなんよ?」

 

この一言があるだけでも、割と喋ってくれるんじゃないでしょうか。

たしかに、ここから展開を広げるのはそれほど簡単じゃない。簡単じゃないけど、やり方はいくつか思いつくでしょ?

こういう話をしだして、こうきたらじゃあこの部分を聞いてみよう、ああきたらこっちの話を聞いてみよう、というぐらいの計画は立てられるはずで。そりゃ親友だし。

クライアントや仕事相手は親友ではないけど、でも共通のテーマはあるわけですよ。

 

クライアントのビジネスをWebで発展させるというテーマが。

 

おーるあばうと100ページ!!!

さて、とはいえ共通のテーマがあるからってそれだけで話が盛り上がるわけではないですね。

そんなときはどうするか。

僕は、よくAll Aboutさんのお世話になってました。

たとえば、マンションブランドのサイトを担当するとなった時は、マンションの購入やその界隈の事情についてAll Aboutを貪るように読みました。ちゃんと読んで自分の知識にするために印刷してたんだけど、冗談じゃなく本当にA4で100ページなんか軽く超えてましたねぇ。

最近のマンション事情ってどうなんだ、どういう買い方があるんだ、どういう選び方があるんだ、ということを調べていけばおのずとクライアント企業だけじゃなく競合他社のことも出てくるわけです。さらに、お金のかけ方、ため方なども調べていけば、ターゲットユーザーがどう言う気持ちなのかわかるし、モデルルームの見方を調べていけば各社がどういうアプローチをしているのかもわかる。

 

しかし、真面目なディレクターほどここで勘違いをする。

 

これはね、受験勉強ではないのですよ

クイズ王を目指してるわけでもない。

どうしても、真面目なWebディレクターほどクライアントにために!クライアントの業界を知る必要がある!と知識を溜め込んでいくようなことをする

 

そうじゃないんよ。

たとえば親友に、アイドル事情を饒舌に話してもらうとして。

知識を詰め込めばうまく聞き出せる?

違いますよね。

 

ワクワクして、興味を持って。

「あいつ、こういうこと知ってるのかな」

「これ、あいつに聞いたらなんて答えるのかな」

「ここよくわっかんねえな。あいつに聞いたら教えてくれるかな」

とならないと、相手が楽しく話してくれないでしょう?

 

なにより、そういう目線がないと話の本質に辿り着かないんですよ。

ただただ知識を詰め込んだって、質問の仕方がわからないし、そんなのはすぐ相手にバレる。ああ、こいつ、興味を持って聞いてるんじゃないんだな。のべつまくなしに詰め込んだだけなんだと。

ねえこれはどうなの?でもさ、そんなことしたらこうなるじゃん、ちがうの?えっそうなんだ、ってことはこういうアプローチしてるってこと?でもお金高いじゃん?どうしてるの?

って聞くから、相手は「おおお、こいつ良いところついてくるやんけ」「本当に興味あるんやな」「俺の知識をもっと役に立ててやろう!」となるわけで。

実際に、僕はクライアントヒアリングをする時はいつもそうしてました。

え!そうなん!えー、マンションってそうなんやー。ええええ?なにこのモデルルームのアプローチ!すごくね?え、どうなんやろ。クライアントに聞いてみよ。なんか知ってるはず。

そういう興味を持って、たとえばマンション事情について構造的に捉え、こうだったらこう、これって普通じゃなくない?という興味を持っていれば、クライアントの返答一つにも本気で「へぇー!そうなのか!」と思える。だってさ、「えっ、これすごいことなんじゃないの?」と思ってたら、仮にそうじゃなくても思うでしょ。

クライアント「あー、toksatoさん、それ嘘っぱちなんですよ」

って言われるんだから。

 

えー!!!!!!

マジかよ!!!!!!!!!!

ってなる。

そしてそんな顔をして、そんなリアクションをすれば、相手は「おっ?」と思う。だって、それに興味を持って「普通はこうだよな?」という捉え方をしてなければ、そんなリアクションにはならないんだから。相手がプロであればあるほど、気づくわけですよ。そりゃ、相手は何人も素人の相手してるんだから

 

ちなみに僕はこれで、「toksatoさん!これも、読んでみてよ!ウチの顧客アンケート!」と、500枚ぐらいの紙の束をドサッと置かれたことがある(笑)でも、それくらい「コイツにいろいろ教えたい」「ウチの話を聞いて欲しい」と思ってもらえたってことですやね。

 

 

どうやってワクワクするか

クライアント(や相手)に興味を持つってね、誰でも言うんですよw

じゃあどうやって興味を持つか。

それはね、勝負はクライアントワーク以前から始まってると僕は思っている。

クライアントがどうとか、Web制作がどうとかじゃない。

 

 

森羅万象、すべてを面白がれるか

 

これなんよ。

仕事だから、クライアントワークだから、じゃない。

世間のアレやコレやを、ふーん、へぇ〜、あそういうことなん?と面白がれるか。その延長線上に、All About100ページがあり、その先にクライアントヒアリングの成功がある。

具体的にどうするのかというと、僕は「仮説を持つこと」「それを照らし合わせること」だと思っている。

 

これは、本当にあった話。

僕のお父上はですねぇ、そのむかし(というか現役時代)、大手化粧品会社に勤めていたのであります。

名前出しちゃうけど、カネボウ化粧品。

ま、もうとっくに定年退職しているし、べつに重要機密事項を話すわけでもなし、良いでしょう(なにが)。

化粧品というのは当然、人の肌に塗ったくるものであるので("塗ったくる"て)、肌荒れなんぞしてはならんわけですね。基本的には。化粧品に限らず肌に塗ったくるものは、パッケージなどに「自身の肌でまずはテストしてみてください」みたいなことが書いてありますね。

あれはまあ、購入した方向けなのでありますが、製品開発時にもそれがあるんですよ(今は知らんけど)。俗に言う"パッチテスト"というやつですね。当時、社員およびその家族がパッチテストに協力することがあり、そうするとお礼をもらえたわけです。会社から。つまりカネボウさんから。

そのお礼というのが「カネボウグループの商品、このなかから好きなの選んでや」っていうシステムだった。返礼品。当時のカネボウさんというのは、さまざまな子会社を持っており、カネボウフーズなる会社もあったのでありんす。つまり食品の会社。

カネボウフーズというとあんまり知名度ないかも知れんが、ホームラン軒というカップ麺を売っていた。他にもカップ麺はたくさんあった。「とろみがうまみの!広東白湯麺」とか。

っていうことを知らない人も多数でしょうが、さすがにこの名前は知っているでしょう。

 

「ねるねるねるね」

 

知育菓子というジャンルらしいが、要するにあの水を加えてこねたりなんだりするとよくわからない化学薬品っぽいお菓子ができるというあれの、ハシリ。あれのあれといえばもう元祖はねるねるねるねでしょう。

だがね、その「パッチテストの返礼品」が我が家に届いた記憶は何度もあれども、「ねるねるねるね」が我が家に届いた記憶が一つもない。おかしいでしょう?だって、ねるねるねるねですよ。子供だったら絶対に欲しい。

と思って、二歳下の妹に聞いてみた。

 

「いや、リストの中に"ねるねるねるね"はなかったよ」

 

えーーーー

うそつけーーーー

おまいーーーーー

そんなわけあるかいな。

ホームラン軒よりよっぽど知名度があって、当時テレビCMもバンバンやっていた。おそらくカネボウフーズのなかではぶっちぎりNo.1の知名度を誇っていたのではないかと、思う。

そんな「ねるねるねるね」が、返礼品リストの中にない、というのは考えにくい。そりゃだって大人気で、せっかくカネボウグループの商品がまとまってもらえるというのに(カップ麺だと2ダースとかもらえた)、カネボウフーズの4番バッターがスタメン表にないなどというのは、おかしな話である。

 

妹「うーん、たしかにそう言われてみるとそうだねぇ。でも、なかったと思うんよね〜」

 

んなあほなー

いもうとよー

それは忘れてるだけやでー

と思ったが、ふと立ち止まってみた。

 

 

たとえば、もし、本当にリストのなかに「ねるねるねるね」が無かったとして。

 

 

どんなパターンなら、リストにその名がないことがある?

 

 

仮説を考えてみるわけです。

返礼品だろうがなんだろうが、実在するカネボウグループの商品の話。

製造に問題があるとは思えない。

となると、この流れになる。

発注 → 受注 → 梱包 → 発送 → 配達 → 受け取り

この流れの、どこかに、何かがあるから、リストに含まれていない。

さらにいうと、大人気商品であるのだから、本来ならリストに含まれていなければならないはずで、つまり含まれていないのではなく「含めることができない」と考えた方が良さげ。

さて、上記のフローのどこに、どんな問題があると、リストに含められないか。

まさか、名前がへんてこだからリストに入れられない、なんてことはないだろうし。

 

「発注」に問題があるとは思えない。だってそれは他の商品だって一緒だから。

「受注」も同じ。

「梱包」かな?とも思うが、カップ麺がそうであるようにあれらは工場や倉庫から送られてくる。1ダース=ケースで届くということは、そういうことで。そもそも段ボールなどで既に梱包されている。今さら梱包が大変ということもないはずで。

「発送」「配送」も同様で、カップ麺1ダースの方がむしろでデカいし、そもそも倉庫から送られてくる時点で発送の仕組みも、配送ルートも既に持っている。

 

・・・・と思った時に、違和感を持った点がある。

そうか、あれは、つまり「業務用」のものが(社員の)一般家庭に送られているわけだ。

そこで、ハッとしたわけですよ。

あ!もしかして!!!!そういうことでは?!?!?!

 

www.e-okashi.shop

 

業務用ということは、最低でも120個あるんですって。

 

 

そりゃそんなにいらねぇわ

 

一般家庭に120個も"ねるねるねるね"あったら、食べ切れんよ。

毎日1個食べても4ヶ月かかる。始まったドラマが終わってもまだあるんですって。そんなに食えねぇ。いらねぇ。新しいドラマが始まってしまう(それはええがな)

また、お値段が2万円近くかかってしまう。カップ麺1ダース発注しても、ええとこ3,000円ですわ。価格が違いすぎる

そんなに食えねぇわ、たけぇわ、だから返礼品のリストに入れなかったのかな?と。

 

ええー、おもろ!!って思ったんよ

 

「たしかに、120個もいらねぇわなwwwww」

 

と。

いろんなことに興味を持つって、僕はこういうことだと思うんよ。

世間のさまざまなことを観察し、「普通はこうだよな」という「仕組みや構造の普遍的なもの」を脳内に描き、そうじゃなかったときの違和感を見つけ、どうしてその違和感が発生しているのか、仮説を立ててみて、検証してみる。

本当に正しい答えが見つかるかどうかは重要じゃなくて

興味を持って物事を捉える。

 

 

クライアントのヒアリングも、親友に饒舌に話してもらうのも、同じではないかと。

興味を持って、そのものと向き合い、面白がって仕組みを学んで、そして師匠に訪ねるかのように相手に問うて、相槌を打ち、リアクションをする。

 

っていうかそもそもさ

そもそもね、間違いだと思うんですよ。

最初に書いたこと。

「自分が欲しい情報があるから相手にそれを聞く」

ってのが。

 

だって、ディレクターなりデザイナーなり、いつもそれで困ってるでしょ?

クライアントが、自分が欲しいものを一方的にしか言わないから。

欲しいものがあるからって、「はい、これが欲しいです」だけしか言わない。それに必要なたくさんの話、経緯や意図、背景を言わない。

同じじゃないですか。

相手にしゃべってもらわなきゃいけないのに、自分が聞きたいことしか聞こうとしない。

そんなのしゃべってくれるわけないですよね。

デザイナーが、意図や背景も伝えずに素晴らしいデザインをあげてくれないのと同じように。

 

相手にたくさんしゃべってもらうために、相手の仕事に興味を持つ。

そのためには、森羅万象、いろんなことを"面白がる"のが重要だとおもんます。

 

ねるねるねるね、おもしろかったしな!(そういう話ではない)