こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。
先日行ったオンラインセミナーのアフターエントリですが、
- セミナー受講してなくても何ら関係なく読めます。
- 受講してると、受講した内容がさらに役に立ちます。
というエントリです。
※以下、「プロジェクト」と言ったり「案件」と言ったりしますが、文中の語感として良い感じの方を選んでるのみで、同じものを指していると思ってください。
さて。炎上案件というのはどうしてこうも僕の周りにやってくるのでしょうか。悲しい。炎上する前に来て欲しい。といいつつ、最近はそうでもないですけどね。炎上してから来るのではなく、最初から炎上している案件が多いです。なんそれ!©️ZAZY
自慢じゃないですが、僕は炎上したプロジェクトに入って上手くいかなかったことは一度もないです。いや、もしかしたら一度くらいはあったかもしれないが、覚えてないぐらいには「基本的にはそれなりの(望ましい)結末を迎えることができた」とは言える。
ただまあ、炎上案件って簡単っちゃ簡単なんですよ。後から入るのは。
いや、スキル的には大変難しい。高度なディレクションスキルが必要。だが、クライアントも含めた全メンバーの期待値が地の底まで下がっているので、あとはもう上がるしかないし、こっちにも過度な期待はしないんですよ(期待の低さがやりづらさになることもあるけど)。要するに、基礎的なことをきちんと、愚直に、方向を間違わずやり続ければいずれある程度までは回復するんですやね。
今日は、数々の炎上プロジェクトに「ちわーす!(ニコニコ」と舐めた入り方をしてその割にはなんとかしてきた僕が大切にしている、「炎上プロジェクトに入るときの心構え」であります。
そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。
■目次
3つありますのよ〜。
1.問題を特定する
まあ、これは王道ですね。いや、じつはこれが一番難しい。ディレクションとかプロジェクトマネジメントの体系的な知識がインストールされてないと、問題の特定すら難しい。
それは考えてみれば当然のことで、
「こういうところであれしてないからそうなった」
という物事(起きている事象)の因果関係が見えてないとそれが特定できないし、それが見えるようになるのは、教科書として「プロジェクトの成り立ちや構成要素」が頭に入ってないと見えない。たとえばそれは、料理人がちょっと味見をすれば、素材や工程が見えるのと同じように。
ただ「王道」と書いたけどこれすらできないディレクターがいたりする。
炎上しているからには原因があるはずで、それが複数だろうが複雑に絡み合っていようが、とにかくその原因を取り除かない限り改善することは絶対にない。
「どうも、つくる料理が揃いも揃って塩味が濃くなるな?」と思ってたら、よくよく調べたら実はそのご家庭のお子さんがいたずらして、食塩を入れてたりして。そりゃ、そのお子さんを止めないと改善するはずがない。
しかし、ダメダメディレクターには、炎上しているにも関わらず、納期に間に合わない、リリース日がずるずるのびている!となると「エンジニアの追加だ!」となる人がいる。割とたくさんいる。前段の料理の話で言えば、水を追加しまくる。塩が濃いいからな!っつって。何回追加しても無駄なんですけどね。お子がまたどっかで食塩追加しちゃうので。
こういうディレクターやマネージャーはマジで炎上を解決する才覚が1ミリもないのでさっさと見限りましょう〜。(っていうか、そういう人は平常時のディレクションもダメダメなんだけどね)
2.解決を欲張らない
まるで夢みたいな未来を語り出す人がいる。
おそらく炎上プロジェクトにアサインされて「よっしゃ!俺が解決したるぞ!!!」とテンション上がっちゃってるんでしょうけど。
「いまは炎上してますけど!本来はもっとできるはずです!こうして、こうなって、しばらくしたらこんな素晴らしい状態にしましょう!」
とか言っちゃう。
いやいや、いま炎上してるんだって。
いま、ボロ船で航海中なんすわ。大海原を。
そんなね、この状態からね、これから豪華客船に!なんと!船内にはラウンジ、カジノ、ショーまであります!ぜひ楽しい航海を!とかね。バカかと。現実を見なさいと。ルフィだってそんなことは言わない。いや、言うかも。あいつは言う。じゃあ言うことにしよう。
でもルフィはきっと、ナミに「もうわかったから!今は無理なの!この仲間を捨てたいの?!いつかそんな航海になるために、いまはこの船で行くんでしょ?!」って怒られたら、
ルフィ「わかった。この仲間でいつか行けるならおれはそれがいいんだ」
とか言いそうですけどね。
あのですね、炎上してる時点でもう"ほぼ"失敗してるんですよ。まだ完全な結果は出てないので諦める必要はないけれども、とにかく大幅にうまくいってないのは事実で。そしてそれは一朝一夕では絶対に解決しない。そんな簡単なら、こんなことにはなってないから。
炎上の解決はですね、とにかくできることを着実に。問題を特定して、そこにディレクションスキル、ドキュメントを投下して、少しずつ少しずつ、どこまでいっても現実を直視して、進めるべきなんです。だって、現状がほぼ敗色濃厚なわけですから。ちょっとしたことで崩れかねないし、またすぐに敗戦の方向に流れてしまうかもしれない。過度な期待をしてはダメなんですよ。
そもそも、「炎上している」という現実を直視できない奴に、解決できるわけないでしょ?
そういうことなんですよ。
3.人にやさしく
これまでの2つはできる人たくさんいるんだけど、実はこの3つめができてない人が多い。なので、ディレクターや炎上プロジェクトに入るすべてのひとは、差別化をはかるならこれができると良いと思う。
炎上プロジェクトにいるメンバーは、例外なくほぼ全ての人が疲弊しています。それはクライアントですらも。炎上したい人はいないし、好き好んでメンバーに文句を言いたい人もいない。
だから、やさしくしよう?な?
っていう話ではあるんだけど、それだけじゃないんですわ。
これ、セミナーの質疑応答でこの話(炎上案件に入るときに気を付けていること)をして、とても評判が良かったのだけども。そして「じんときました!」と言われたりなんだり。
僕に、その気持ちがあるのは事実です。辛い局面にあるメンバーの笑顔を取り戻したい。その気持ちはある。
しかし、この心構えを持っている最大の理由はそれではないのです。
最大の理由はとても簡単で単純なんよ。
「プロジェクトにそれが必要だから」
ただそれだけ。
結局、炎上したプロジェクトを解決し、回復するには(メンバーを全とっかえしない限り)そこにいるメンバーが元気になってくれないと、絶対に解決しない。
そりゃそうだ、だってどんなに問題を特定したところで、自動車すべてのパーツが動作しないんじゃ、また動き出すことはできないんだから。
それに、炎上の改善を図るなら自分自身も人一倍信頼してもらわないと、どんな指示だってテキトーにしか聞いてくれない。
欠点をむやみに指摘したり、炎上の原因を人に紐づけるなんて最低で・・・。そもそもがギスギスして仲が悪くなり、ともすれば軽い人間不信になっているかもしれないメンバーに、欠点を突いていたら余計に信頼を失うだけで。
仮に原因になっている(能力or態度が足りない)メンバーがいたとして、それはもうその人をどうするかの判断になるだけ。その人がいたら無理ならメンバーから外れてもらうしかないし、なんとかなるならば元気になって、まずいところを改善してもらうしかない。そして、できないのはその人のせいじゃなく、できると思ってアサインした人が悪いのだから。(本人がやたらとできるアピールをしてなければw)
だからやっぱり、まずはドライに、どこまでも「プロジェクトの炎上を解決し、成功させるためにどうすべきか」の1点だけに向かって判断をすべきだし、その結果として「人にやさしく」だと思っています。
もちろん、僕自身の心もそこ(メンバーの笑顔を取り戻したい)にあることも、自分自身で自覚した上でです。
自覚した上で
- 「この感情とどう向き合うべきか」
- 「それを全開にした方がプロジェクトのためになるなら、出す」
- 「今は封印した方がいいなら、心を鬼にして押し込める」
だと思うわけですよ。
まとめ
まとめっつうほどのものもないけど、一応3つならべておきますやね。
炎上プロジェクトに入るときの心構え3か条。
- 問題を特定する
- 解決を欲張らない
- 人にやさしく
です。
ちなみに、この3つ以前の自分のモチベーションの持ち方ってのがあります。
「ああ、また炎上プロジェクトか。まーた仲間が増えちゃうなぁ〜よっしゃよっしゃ」
です。
ま、これは人それぞれですね。
皆さんそれぞれでモチベーションを見つけると良いと思いますのん。
ではでは。
セミナー受講者の皆さんへ
セミナー本編よりこの話題(僕の回答)の方が評判が良い気がしますw
セミナー講師としてはとても複雑な心境です(笑)
セミナーを受講していただいた皆さんなら、炎上解決に必要な手法のいくつか、いや少なくとも7つはw、もう持ってると思います。
セミナーで扱った7つのことやそれにまつわるドキュメントを駆使することで、炎上となってる原因の多くは解決できると思います。
でも、一番大事なのは、僕はやっぱり「心意気」だと思っています。
この回答をしたときに、とくに「3.人にやさしく」についてちゃんと答えられなかったなと思って、このエントリを書きました。
- 基本はとにかく感情に流されず「目的」に向かって「正しい判断を貫く」こと
- それがあったうえで、メンバーを救おうとする心意気を持つこと
が、大事じゃないかなと思います。
結局、ディレクションなんてみんなが笑顔でいるための手法でしかないと思いますしね。