笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

こんなときだからこそWeb業界のキャリアの話をしようぞ。

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こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

今日はマジでWeb業界のキャリアというか、志の話を書いちゃう。Web業界やWebディレクターって大変だなと思ってる人こそ読んでほしい。

というわけで、こんな状況ですが、みなさんおげんきですか。
いやはや、お仕事も大変よね。在宅勤務になったり、仕事が減っちゃったり、不安になる人もさぞ多いのだろうと思う。かくいう僕も、職を失うほどではないものの転職してすぐに在宅勤務になってしまったので超難しい状況に追い込まれております(ま、そんなこと言いながら超元気なんだけど)。

久しぶりになんか書こうと思いつつ、コロナ関連の話はしたいと思わないし(専門家でもないし)、かといってWebやネットの最新ニュースに対してツッコミ入れるようなのも書く気しないし。

と、思って、こんなときだからこそWeb業界のキャリアの話を、昔話も混じえながら書いていこうかなと。できれば、同じWebの道を進む同志やこれから進もうとしている若者に元気を少しでも渡せたらと思う、そんな候(謎)

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。



 

おもいっきり昔話をするよ。

ワイ、割と早めのWeb業界参戦者だから。

2005年2月(2004年度)からです。

おいまじか、もう15年経ってるじゃねえか。

太るはずだぜ歳をとるはずだぜ。

Web業界(とくに制作系)のスタートってだいたい2000年前後に起業した会社が多いんよね。このあたりに起業して現存する制作会社とかネット系代理店とかを起業した人(やその周りの人たち)がWeb業界の第1集団だと思っている(マラソンで言うところのね)。ちなみにここには1993年創業の企業も含むつもりなんだけど、これはわかる人だけわかってください。わからない人は「へー、そうなんだ」とだけ思ってくれればいいのよ。僕がこれ言うの結構微妙だからいいのもうつっこまないで(謎)

で、前述の通り僕は2004年度からなので第2集団ぐらいだと思ってますお。

まじか。

どおりで太るはずだぜ歳をとるはずだぜ。

当時はWeb制作のワークフローなんてまだまだまだまだ整備される前で、技術的にもテーブルレイアウト大全盛。spacer.gifを知っているか?知っていたらキミはもうオッサンおばさんだ!ドモホルンリンクルを片手に寄る年波をサーフィンしていこうず!(オッサンはダメかもしらんが、代わりにモロッコヨーグルで対抗しよう)

CSSも登場していたけど「ちょっと怖いよね・・・導入は慎重且つ計画的にね!」なんて時代だった。マジで社内で「CSSレイアウトのメリット」なんちゅー勉強会が開かれていたわけで。

当然、お客さんもWebとどう向き合ったら良いかわからなくて、だから発注の仕方もわからない。印刷物の延長線上にあるもの、という程度なのでビジュアルしか見ない文化だったり、一方で印刷物と違って公開後までも修正できちゃうので延々と修正が続いてしまったり。他方、Web制作会社側も印刷物のついでだったり、納品ありきのビジネス色が強くて(つまり"運用"という発想が弱い)、御用聞きになってしまったり。

だから結構しんどかった。
そもそも「クライアントと対等になろう」という発想が無いので、断るということを知らない。いや、ぜんぶがぜんぶそう言う会社じゃ無いと思いますよ?でも今に比べたら圧倒的に少ない。クライアントも断られるということに慣れてない。とくに日本の商習慣は「お客様は神様」というのが強いので、WebとかITのやつが断ると「やっぱりあいつらは変だ」みたいな見方もされるわけなんよねぇ・・・。

 

ただね、これが良かった、という話をするよ。

ワークフローもまだ確立しきる前だったので分業が始まっていたとはいえ職域も曖昧だし、クライアントの要望も定まりきらないので必然的にやらなきゃいけないことも増える。

若い人は「どういうこと?」と思うだろうけど、たとえば(和食の)定食屋に行ったらどういう注文をすればいいかはだいだいわかるでしょう?食券なのかカウンター越しに注文なのかってのはあるにしても、「定食ってなに?まず何を注文したらいいの?」とは思わない。
けれどもたとえばこれがジンバブエ料理だったらどうなるか。少なくとも僕は「えーと・・・どういう風に何を注文したら良いのだろう?」となる。当時のWeb制作の発注ってまだそんな状態だったんよ(といっても2000年前後に比べたらよっぽど進んでたと思うけど)。何から決めたらいいかわからないし、どうやってオーダーすれば良いのかもわからない。

スッカスカの会社パンフレット渡されて「これで会社のWebサイトつくって」なんてたくさんあったけど、たぶんこれでもまだ良い方。「いっぱい商品の問い合わせくるサイトつくって」みたいなこと言いながら、商品やサービスの情報が全く集まらないということも多々あったなぁ・・・。

なぜなら、そもそもそういう情報を社内で集めなければならない、という発想が担当者に無いから。なんとなくインターネットってすごくて、イケてるWeb制作会社に頼めばイケてるWebサイトができちゃう!ぐらいにしか意識がないので。

そうすると、コンテンツをつくるために元ネタとなる情報が必要であることとか(というかそもそも「コンテンツ」という言葉が通じない)、そうなると各部署を巻き込んでプロジェクトを進めなければならない、ということを伝えるところからスタートしないといけなかったりとか。

 

ただね、これが良かった(2回目)。

ワークフローや職域、発注範囲があやふやだということはそれだけ対応しなければならないことが増える。いまだったらどう考えても不要な資料作成とか、いざとなればディレクターがHTMLをバリバリ書いたり、デザインに手を出さなきゃいけないこともある。

要するに、Web制作のワークフローのなかで、自分がやらざるを得ない=自分が経験できる職域が(いやが応にも)広くなる。

 

これから参入してくる世代はちょっとかわいそうだよねって話をするよ。

いま、Web制作ってかなり分業が進んでいて。

「HTMLがほとんど書けないデザイナー」というのもまあまあ存在する(まあまあね。まあまあ)。

僕はWebディレクターだけど、adobeソフトのあれやこれや使ってデザインしたことも、それを使ってHTMLもCSSもゼロから書いたことがありんす。そうなんでありんす(ちなみに新卒から3年は印刷会社にいたのでDTPソフトも経験ありんす)。

なんでそんな経験があるかと言うと、Webディレクターでありながら他に誰もいない環境でWeb制作を請け負っていたことがあるから。要するに自分でやるしかなかった。だからやったわけでございまして。(ちなみにCMSの組み込みまでやってた)

いま、10人規模の会社でもなかなかWeb制作の1〜10まで一人でやらせてくれる会社なんて少ないでしょう。とくにその会社が優秀であればあるほど。そりゃ、優秀な会社ほどクオリティを意識するので、素人に毛の生えたレベルに任せられるはずがない。

僕は、やらざるを得なかったからもうしょうがなくやってたんだけど(と言いながらデザインもコーディングもそれなりに楽しかったけどね)、いまそういう環境がどんどん減っている。いや「いま」って書いたけどぶっちゃけもう7〜8年ぐらい前からそうなんじゃなかろうか。

いくら、Webクリエイター(ディレクター含む)として「たくさんのことを経験したいです!」とか手をあげても、なかなかそれを任せられる状況にないわけですよ。やる気あるのに。僕なんかそんなにやる気なくても、やらざる得なかっただけでやってたのに。とくに、Webディレクターなんか「求められるスキルが多すぎる!」とか言われてるのに、その一方でそのスキルを仕事で学ぼうと思うと「おう、ちょっとリスク高いから待ってくれや」みたいな状態なわけですやね。なんて理不尽なんだ(笑)

 

昔は良かったと言いたいわけでもなければ〜という話をするよ。

こういう話をするとそう受け取られてしまうし、そう受け取られても仕方ない。

一方で、「いまおまいさんたち若手が分業の結果、限られた職域で食えてるのは我々が道をつくってきたからだぞ」と言いたいわけでもない。ないのよ。

ただ、実際に先人たちがワークフローも何もないところで踏ん張ってきたおかげで今があるのは間違いなくて、そんなものは僕だって(その恩恵を受けていることに)変わりはない。僕よりまえ、第1集団の先輩たちががんばって切り開いた道の上に僕はのって、僕もその先に続く道を広げてきたという自負もある。うん、たぶん、勝手に背負いすぎ。

いやほら、たぶん僕はインターネット老人会なるものの会員なんだろうけど、あれってべつに入会した記憶もないのに自動的に入ってるじゃないですか。そういうことですよ(何が)。

僕らは僕らで大変だったし、おそらくそれを遥かに超えるレベルで第1集団の先輩方は大変だったろうし、僕より後に、いま、Web業界に参入する人もこのとおり大変だろうし。

ただ、間違いなく言えるのは第1集団の彼らからスタートしたWeb業界というものが今も廃れず、むしろ分業が進み、ビジネスモデルや求められる領域がそれでも拡がっていくというのは、それだけ発展している、未来のある職業であるということであって。

僕は、Web業界に入って少しした頃、思ったことがあって。

「たとえば、自分がつくったECサイトがあって。そのサイトが、もしかしたら仕事に忙しいOLさんの、ひとときの寛ぎの時間をつくれるかもしれない。忙しくて、なかなか買い物にもいけないOLさんが、夜な夜なPCを開いて好きな服を探したり、可愛い雑貨を見つけたり、買い物を楽しむ瞬間を創れるかもしれない。そうできたらうれしい」

図らずも、いま僕は大手アパレル系企業のEC部門にいて、これが実現できる場所にいるわけだけども。

ちなみに、このブログのタイトル「笑顔を創りたい〜」の根源は、これです。

インターネットってすごいじゃないですか。

いま、こういう状況でも在宅勤務ができてるって、インターネットがあり、そこに技術やアイディアを投資してきた人たちがいるおかげでもあり。(って、在宅勤務に向かない職業の人を否定してるわけじゃないよ。絶対に)

毎日毎日発展していくので追いつくのが大変なんだけども、それは同時に、笑顔を創れる領域がどんどん増えているということと同義なわけで。

分業が進んで、なかなか幅広いキャリアを作りづらい状況になっている世代には申し訳ないなと思いつつも、それは逆に言えばそれだけ世の中に「仕事」として認められ、さらにこれからも認められ続けていく(であろう)業界なわけで。

デザイナーにしてもコーダーにしてもマーケターにしても。

こんな状況下で不安なこともたくさんあるし、キャリアも心配になるだろうけど、でもこんなときだからこそインターネットを仕事にしていることは、とても素晴らしいことなんだ、と思ってもらえたらなと、オッサンは思うわけです。ほら、そっちの方が楽しいじゃん(笑)

 

もちろん、僕と同世代のオッサンおばさんもね。

もちろん、先駆者である先輩方もね。

 

世界中の、顔も見えない誰かの、笑顔を創っていこう。

って、実は僕自身に言ってるんだけどね。