笑顔を創りたいWeb屋の日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。情報デザインやWebの勉強をしています。

受託の人たちは内部と比較してる時点で三流ですよね。

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やーっと、みやしたんくが交換日記の続きを書いてくれました。

miyashitank.hatenablog.jp

最終的に何の問いかけもないこれはもはや、交換日記ですらないのではないかというふうに思いますがそれは置いておきましょうそうしましょう。いや、もともと前回もないんだけどw

みやしたんくの言う「マーケティングが得意なWeb制作会社は営業以外も会社の価値を理解すべき」というのは言うなれば「営業」の話で、いま事業会社のなかのひとになった自分としては、それはもう「あるある話」があるわけです。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

優秀な人、だいたいすぐにいなくなる問題

僕は半年前まで受託Webディレクターで、いまは事業会社の「なかのひと」です。つまり、発注側にまわったわけですが、まあ、本当によく思うことがありますね。

だいたいはじめの営業フェーズではとても優秀な人を出してくるんですよね、パートナー(候補)というものはw。

それでいざ契約してみると違う人が出てくる。その人がまたいろんな意味で「よくわかってない人」だったりしてとんちんかんな対応をされて「こんなはずじゃなかったのに・・・」となりますね(笑)

 

受注側の営業としてはよくわかるんですけどね。とにかくお仕事欲しいから優秀なやつを前面に出して、できるかぎり「この会社やるな」と思わせたい。出される人材の方も会社のエースや切り込み隊長として出て行くので悪い気分はせず、良いパフォーマンスをクライアント(候補)の前で発揮しますね。なので、ここでは良い循環がまわります。・・・なんて、なんで出される方の気持ちがわかるんだよといえば、僕がその立場だったからですね(笑)

 

ダイの大冒険でも「敵の戦力を測るために最初から最大技をぶつてみるのは極めて合理的で正しい戦略だ」みたいなことをたしかバランのオッサンが言ってたんですが(うる覚え)、たしかにこれは受注側の戦略としては正しいと思います。それで受注できないなら(会社として)それまでの器だったんだろうし、ある意味での「全力」でぶつかるわけだから相手の力量もわかる。

 

だがしかし、これはほとんどその先に不幸しか待ってないやり方ですね。しょっぱなに最強必殺技ぶちかましておいて、前述の通りそのあとはだいたい続かないから。「おおおお!こいつ!やるな!!!これは戦える!」と思って発注するんですが、そのあとは続かずに果物ナイフでエイッ、ヤーッ!みたいな攻撃力に落ち込んでしまう。発注側は契約前に見た最強必殺技にときめいて発注しているので、それはそれは落胆しますね。

 

これを問題視し、是正しようぜというのが"みやしたんく"のエントリですね。全員、自社の売り物を理解しようぜ、という話。

 

まあでも、無理でしょうね。

受託企業というのはこの辺に構造的欠陥を抱えているので。

 

 

そもそもなんでそんなもん理解しなきゃいけないの?という疑問

いや、僕がそう思ってるわけではないです(笑)僕はそう思ってるわけじゃないけど、たとえば「なんで営業じゃない自分がそんなこと覚えなきゃいけないの?」と言われた時にどう答えるかっていう話です。

 

これはまあ、無理でしょうね。

答えられないと思います。いや、就業規則なりスローガンにコミットさせるなりで縛ることはできると思いますよ。

だが、人はそんなもんでは動かない。

所詮はただの雇用契約ですから。コーダーやデザイナーに「会社のウリはマーケティングだから、マーケティングのことを理解しよう!」と言ったところで、彼らにはデザインやコーディングなど日々の主業務があるわけです。「なにそれ?美味しいの?」はある意味当然の反応だと思うんですよね。だって、覚えたところで給料あがるんですか?そんなことするよりコーディングスピード1.5倍にした方が給料あがるんじゃないですか?と思うでしょうし、そしたらそっちに目が行くのは当然のことだろうし。

 

 

「なぜ選ばれているのか」を考えるのは経営者と営業さんの仕事です

コーダーやデザイナーさんが考えることではないです。
だって、そういう職業なんだから。もちろん、自分のデザインやコーディングした成果物を買ってもらった人に喜んでもらう必要はあるでしょうけど、基本的にそれは「クオリティ」やそれに付随する「対応力」で測られるものであって、マーケティング力(ってなんだろ?)やその知識ではないですよね。

「あなたのコーディングはマーケティング力に溢れていますね!」なんていう人、見たことが無いw。デザインはあるかもしれないけど、工程的にここで言われるデザイナーという人は分業におけるそれなので、その手前の工程には絡んでないはずです。つまりデザイナーも言われてないし、言われたとしてもその対象になるのはディレクターでしょう。

「自社の強みはマーケティング力」と言われたところで、それで選ばれるのは会社であり、選ばれることが成果になるのは営業さんなんですよ。だって、デザイナーもコーダーもその場には同席していないですから。彼らがクライアントの前に出ることがあるとすればそれは受注したあと、しかもしばらく期間が経ってからであって、そこで求められるのは技術なりデザインスキルであって、マーケティング力ではないです。

そういう観点からいけば、デザイナーやコーダーに「マーケティングのことを知ろうぜ!うちのウリだからな!」と言ったところで彼らの主業務ではない以上、「営業の仕事を肩代わりさせられてる」と思われる可能性の方が高いはずです。

物理的に「クライアントに選ばれる」のは営業さんの仕事で、デザイナーやコーダーの仕事ではないのにそれを覚えろというのは、よくよく考えてみればおかしな話なのです。「自社が選ばれているのはそれなんだから、ちゃんと覚えろ」というならば、選ばれることが成果になり、それが査定にも反映され、そうなるとみんな営業さんになりますね(実際そういう会社もあるけど。そしてそういうところは優秀なエンジニアがいなくなるけど)。

そう、だから、これは分業というスタイルの弊害なんです。構造的欠陥と言ってもいい。各々が各々の持つ領域に特化する以上、それぞれが他の領域に弱くなるのは当たり前。経営者や営業さんのように「自社の売り物を理解して知識を高めること」が自身の成果に直結する人間が、そうではない人たちに「自社の人間なんだからおまいらも理解すべき!」というのは、実はだいぶ横暴な話なんですよね(じゃあお前らももっとデザインやコーディングのことを学べ、と言われても仕方ない)。

 

「経営者目線を持て」という矛盾

矛盾と言うか、おかしいですよね。

だって、経営者じゃないもん(笑)

経営者目線を持つのは経営者やマネジメントの仕事で、一現場担当や職人にそれを持てというのは、基本的には経営者の怠慢だと思います。経営者目線を持って経営者的な成果を出したって、儲かるのは経営者ですから。

「自社の強みを理解しろ」というのもほぼこれと同義ですね。
デザイナーやコーダーというのは基本的にはその職人的スキルで選ばれているはずなのに、もう一段上の「会社として選ばれている理由を理解して価値を捉えろ」というのは、ある意味では経営者や営業さんの怠慢です。それを理解して価値を伝えるのはおまえさんたちの仕事で、デザイナーさんは質の高いデザインをできる限り早く仕上げるのが仕事ですから。

これを防ぐ一つの方法として、(たとえばマーケティング力が強みの会社なら)マーケティングの知識やスキルを、スキルマップやスキルセットで定義してデザイナーさんやコーダーさんにそれを提供する、というものがありますね。つまりこういうことです。

「コーディング以外に、マーケティングも習得すれば査定でプラスするよ」

これである程度は上達が見込めますが、まあ、微々たるものでしょうね。とくにマーケティングとかいう目に見えない良くわからんもんを、人に言われたから知識として身に着けることにどれほどの意味があるのか疑問ですし、そんなスタンスで学んだマーケティングスキルなどほとんど使えないでしょうし。

そして、コーダーのそれは営業成績や経営に直結しないスキルである以上(するんだったらそれ営業やってる人だし)、そのスキルを習得したところで査定でのプラスなんてスズメの涙程度にならざるを得ず、そんなもんに意欲を持ってトライしろというのは無理ですよね。むりむり。まあむりむり(しつこい)。

受託制作会社のデザイナーやコーダーさんというのは、デザインとかコーディングをやってりゃそれでいいもんなはずで、そういう構造になってるんだからしょうがないんですよ。

 

「自社の強みを理解しなくて良い」という話でもない

いや、そういう話なんですけども(笑)

分業制で働いている以上それ以外の領域に弱くなるのは当然のことだし、「発注先として選ばれること」は営業さんの仕事なんだから、そこに疎くなるのも自然な摂理です。

でも、これはあくまで組織側から見た話。

本当にこのマインドで仕事をしている人は受託にいるとそのうち食いっぱぐれることになると思うので、気を付けた方がいい。

普通の会社組織というとこういう組織構成になりますね。

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まあまあ、大企業ならもっと細かいと思いますが、おおざっぱに。

受託制作会社は大半がそう大きくないので、だいたいこうなると思います。

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今回のエントリに出てきている人たち(対象)は「現場担当者」ですね。

この組織構成というのは、人が生きている以上、人材が流れていくものなのでつまりこうなりますね。

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これはまあ、誰でもすぐ思いつくこと。「わかってるぜそんなの」という声が聞こえてきますね。ブログ書いてるだけだから聞こえてないけど。ただ、本当はこうじゃないんですよ。こんな生易しいもんじゃない。本来はこうです。

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Web業界、とくに受託系は人材の参入障壁が著しく低いです。正直言って、気合と根性さえあって仕事を選ばなければその職種につくこと自体はそう難しくないです。仕事がいっぱいあるから。

フリーランスを含めれば星の数ほど同業者がいて、さらに異業種から「手に職をつけるべし」というスローガンのもと、たくさんの人がスクールなど通ってこの業界に入ってきています。

自社がいくら積極的に若手や新卒を採用しなかったとしても、実はそこには見えない、その裏には大量な「ライバル」が毎年、今日もそこかしこで生まれている、それがWeb業界っちゅうもんです。

 

流動性の高い人材市場で最も大切なこと

さらにタチの悪いことに、この業界は技術の進歩が速い上に人材の流動性が異常に高い。みんな平気で転職するし、受け入れる側もそれが当たり前だと思って採用活動をしています。

それは裏を返せば、いつでも外から実力者がやってきて自分の社内ポジションをおびやかされるかもしれない、ということです。日進月歩で進むこのインターネットの世界であれば、学ぶことも多いわけですがそれは逆に言えばそれだけ学ぶ伸びしろが誰にもあるということで、超簡単に外から即戦力が取れる業界でもあるわけですね。天井が無いのだから、一生懸命学んだ奴がけっこうそこかしこにいて、そいつを雇えば簡単に戦力アップするわけだから。

また、転職経験がある人はわかると思いますが、Web業界においてはよほどの大企業やネームバリューのある企業在籍経験がない限り、まずみられるのは在籍した名前じゃないですね。もちろん「大企業と伍して仕事をしていた」ということはじゅうぶんなバリューになりますが、必ずその次に「そこで何をやったか」「具体的にどんなスキルを持っているか」を問われます。

事業会社側だとその辺があいまいで在籍していた企業のネームバリューにかなり左右されるんですが、Webの世界と言うのはそれよりスキルと実績の方が見られると思います。逆に言えば、小さな会社でWebをやっていても、そこでスキルを身に着け、ちゃんとした成果物があれば受託の制作会社なら評価してくれます。コードや成果物をみればだいたいのクオリティはわかりますから。※逆に「大企業相手にやっていた」と言っても、成果物がてんで大したことない人と言うのは結構いて、割と簡単に落とされますね。

 

 

つまり。

 

Web業界の人が見るべきは社内のヒエラルキーや同僚ではなく、もっと広い世界、人材市場全体にライバルがいると思わなきゃいけないんですよ。

どこの企業に在籍していたかなんて関係ない。

そこで何をして、どんなスキルを身に着け、なにをアウトプットしたか。

これを常に意識しないと、いずれすぐに食えなくなっていくと思います。そういう意味では、評価がフラットになったわけでとてもインターネット的だなとも思いますね。

 

社内での位置関係や組織の不条理など気にしている場合ではない

そんなクソくだらないもんを気にしている場合ではないんですね。だって、今日、いまこの瞬間もライバルが増えていってるんです。

どんどん新規参入して来たり、同じクラスのライバルは日進月歩のこの世界で学び続けている。いつ、自分よりできるやつが自分より若くて安い給料で入ってくるかわからない

「それは自分の仕事じゃない」「俺はコーダーだ」「私はデザイナーだ」なんて言ってる時点で、とてもとても視野の狭い人たちなんですよ。

自分たちがいかに進歩の速い人材市場に身を置いているかわかってない。

そんな悠長なことを言っていたらすぐに歳を取って、すぐに置いてかれてしまうのに。それはもう、間違いなく三流ですよね。二流ですらない。

 

明日食えなくなるかもしれない、明日給料が下がるきっかけが生まれるかもしれない。

そう思ったら、できることはたくさんあるはずです。

 

会社なんて利用するもの

所詮、ただの雇用契約ですから。

もちろん、会社だって経営者やマネジメント層がいて、そこに人格だってある。だから、社員がピンチになれば助けてくれる会社はたくさんあると思う。けれども、では会社が倒産のピンチになったときすべての従業員を助けてくれるか。そんなわけないですね。もしそうなら、それはそれで経営者失格だと思います。

結局、お互いが利用する/される関係であることに変わりはないし、すべての土台はそこだと思います(それがすべて、ということじゃなく)。

 

たとえばその会社がマーケティングに強いのなら。

それは、逆に言えば「他の会社よりマーケティングに関する知見がたくさんある」ということですよね。

なぜ、それを学ぼうとしないのか。

そりゃね、エンジニアなら技術力、デザイナーならセンスなど、各々に特化して学びたいことはあると思う。それを学びたいのも良くわかる。しかし、今いる会社が「マーケティングに強い」なら、それを学ばない手は無いですよね。そこに、目の前に、他社がうらやむような知見があるんだから。逆に、その会社に無いデザイン力を伸ばしたいというのは無い物ねだりの典型で、だったら初めからそういう会社に行きなはれや、と言う話でしかない。

 

実際、僕は自分の天分でも、それまでの守備範囲とも全く違う案件を前職でいくつもやらせてもらいました。具体的に言えばシステム開発系だったり、ツールベンダーとの詳細な技術仕様のディレクションだったり、インフラまわりだったり。はっきり言って、まーったくわからなかったw まあでもやるしかないな、これを学べば僕は成長できるかなと思ってトライしたわけですが。

 

いま、事業会社の中の人になった僕を支えている中心スキルはそのときに学んだものです。悲しいかな、UXとかIAなんてぜーんぜん役に立たないw(いや、それはそれで重宝されてるんですけどね)。

 

受託の人たちは内部と比較してる時点で三流ですよね

と、思うわけです。

せっかく進歩の速い、刺激的な世界で勝負できているというのに

「これは営業さんの仕事だから」

と、自社の強みである部分を理解して身に着けようとしない人なんて、たぶんインターネットの世界、向いてないと思うんですよね。

だから、みやしたんくの書いていることはとても良いことだと思います。思うけど、でも、それを組織側からアプローチするのって難しいし、最初にやることじゃないよな、と思います。

 

やるとしたら、危機感を与える方が先でしょうね。

「やばい!周りがどんどん進化してるのに置いて行かれる!」という危機感を持ってもらうのが先で、じゃあどうやって生き残っていくかというマインドになったときはじめて、「そういえばウチの強みって何だっけ?」になるのかなと。

 

というわけで、これをご覧の三流じゃないWeb屋さんのみなさま、ぜひお仕事したいですというそういうことを書いて締めてみようかと思います。

 

ちなみにぼくはどうなんだというと、僕は事業会社の人としてまぎれもない三流です。

 

とてもかなしいです。