笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

それは、デザイン以前の問題だ。

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こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

事業会社側に来ると心が汚れる、そんなことを思っている時期もありました。

うそです。

ただ、受託制作から発注側に来て、その内幕をこれでもかというほど見せつけられる毎日を過ごし、早4年が経ちました。

ワテクシ気づきました。

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絵心がないということを

 

ちがうちがう。

それは生まれた時から気づいていた。

だから、デザイナーさんのことは総じて尊敬している。

 

じゃあなにを?つってな。

それはね、

デザイナーを魔法使いかなにかだと勘違いしている人を。

いや、これは「見つけた」が正しいか。

気づいたのは、その根源。

つまり、理由。

「なぜ、デザイナーを魔法使いのように扱ってしまうのか」

それを見つけたんよ。

 

それはね、こういうことなん。

「そもそも、物事の構造化ができない」

だから、適切にデザイナーに発注ができない。

つまり、デザインがどうだこうだという以前の問題だったわけです。

 

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 

■目次

 



 

「物事の構造化」とは

それはつまり、要素の親・子・孫。

それはたとえば、要素の兄・姉・弟・妹。

それはほかに、前・今・後。

それぞれの関係性をきちんと捉えることであり、定義することであり。

たとえば、ラーメンは麺類であり(発祥としては)中華料理に属するわけだけども、「麺類」と「中華料理」というのはどちらもラーメンを説明する一つでありながら、たとえばカテゴリーとして両方が並ぶのはおかしいわけですよ。

「ラーメン」にとって「麺類」は親要素になり、同じ「麺類」にはうどんやパスタも入る。しかしたとえば「麺類」の横に「イタリアン」がカテゴリーとして並ぶのはおかしいわけです。それはラーメンの親要素として並ぶ、つまり親要素における兄弟関係がわかってない。「麺類」の横に並ぶべきは「ご飯類」とか「パン類」であって、「イタリアン」のような国籍ジャンルが並ぶのはおかしい。

他にも例えば、物事には順序というものがある。

「順序」 は往々にして「親子」がベースにあったりするわけだけれども、つまり要素の「親子」が わかってないと、順序も捉えられなくなる。

ここにとある男女がいたとして。「今日は何を食べよっか?」というときに、いきなりバーミヤンのメニューを見せるのはおかしい。まず「バーミヤンに行くのか」という問いが先にあるべきであり、なお正確に言うならば「どこに食べに行くのか」もしくは「どんな料理を食べたいか」が先にあるべきで。
そこで中華となるか、ダイレクトにバーミヤンとなるかがあるはずで。そのあとにやっとバーミヤンのメニューの出番。

だが、仕事になるとこれがわからなくなる人がいる。わりとたくさん。

 

デザインの「構造」とは

ワテクシはですね、以前にこんなスライドを出しているわけですが。

www.slideshare.net

このスライドで、このように書いております。

  1. 何を置くのか
  2. どこに置くのか
  3. どのように見(魅)せるのか

どんなデザイン*1にせよ、それがバナーであろうがWebページであろうがチラシであろうが、この構造と順序は絶対に覆らない

たとえば、とあるイタリアンレストランのチラシをつくるときに、ドリアを魅力として構成した場合。それはそれは、とても美味しそうなうえにリーズナブルな価格のミラノ風ドリアを中心に据えた素晴らしいチラシができたとして。

実は、そのイタリアンレストランの推しはボンゴレ・ビアンコだったりするわけですよ。

はい、ね、よくある。

で、チラシはつくりなおしになるわけですね。

そうして、発注したオーナーはこんなことを言う。

「あのデザイナーと制作会社は、ウチのことが全然わかってない」

ね、ほんと。

おもうよね。

 

 

バーカ、お前が先に伝えてねえからだよ。

 

 

ってね。

ひどいね、言い過ぎだね。

「1.何を置くのか」というのは、これはそっくりそのまま「何を伝えるのか」になる。つまりドリアなのか、ボンゴレ・ビアンコなのか

それはどうやって決まるかと言うと、その店の強みは何なのかであり、何がお客さんに受け入れられ(てい)るのかであり。

これは、チラシのデザインなんか関係ないんですよ。

「お客さんが手にとって来店を検討する」というフェーズで出てくるチラシ以前の話で、「この店をどうするか」という、チラシにとどまらない、店全体の話なわけです。

チラシデザインなんかまるで関係ない話だからこれ。

つまり、オーナーであるおまいさんが考えることなんだよ。

 

どこの何を発注しているのか、をきちんと考えないからこうなる

「デザインは素人だから」となぜか自信満々に語り、「デザインお願いしてるんだから、プロのあなたがまるっとやってくれるんでしょ」という失礼極まりない態度で臨み、「相手が何をしてくれるのか」を考えようとしないから、こうなるのです。

つまり、思考の放棄ですよ。

  1. 何を置くのか
  2. どこに置くのか
  3. どのように見(魅)せるのか

のうち、デザイナーが優れているのは3であり、もう一歩踏み出して2なんですよ。デザイナーさんは、ビジュアライズに超絶優れている人で、素材が持っている強みを、いかに的確かつ魅力的に表現する力がある人であって、本来はそれ以上でもそれ以下でもない。

にも関わらず、「1.何を置くのか」からぜんぶ丸投げして、あろうことか「プロなんだからわかるでしょ」というスタンスでいるから、

「デザイナーを魔法使いと勘違いしている」

と影で言われてしまう。

だって、おまえさんのその商品が何に優れているかなんて、デザイナーにとっては「知ったこっちゃないがな」という話なのに、それをちゃんと定義せずに丸投げしてるんだから。そりゃもう魔法使いですよ。もしくはエスパーですな。エスパーはもう、魔法使い(違うけど)。

これはね、「自分が何を発注しているのか」ということがわかってないんだけど、それはそもそも「店の経営のなかで、どの部分を依頼しているのか」ということが構造化できてないからそうなるのですよ。店の経営があり、強みの整理があり、プロモーションがあり、そのなかでチラシが何を担うのか。そういうことが考えられない。

 

チラシだけではないし、そもそもデザインだけではない

これは、実は(もちろん?)チラシだけではないですやね。

バナーだってそうだし、Webページの構成だってそう。

たとえば、著名人のインタビュー記事をつくるとき。

おそらく、ビジュアルデザインとしてはある程度(テイストや見出しと本文デザインなどは)固まっていたとして、しかしそもそもページの構成、つまり

  1. 何を置くのか
  2. どこに置くのか
  3. どのように見(魅)せるのか

の「2.どこに置くのか」が変わってくる。

「どこに置くのか」を「レイアウト」と捉えるか「優先順位設定」と捉えるかによるんだけど、前者ならデザイナー、後者ならディレクター(というより画面構成設計者)寄りになるんだけども、その後者の話。

 

たとえば、インタビュー相手が「明石家さんまさん」だった場合。

この場合、もうさんまさんの名前を出しておけばいいんですよ。それが何よりも強い引力(訴求力)を持つものになる。きっと、バナーもさんまさんの写真になるだろうし、ページの一番上にくるタイトルにもさんまさんの名前が入ることでしょう。また、大事なのはインタビューで掘り下げられるかどうかであり、中見出しなどもそれほど考えなくても大丈夫。読者はさんまさんが語る時点で興味を持つから。

 

たとえば、インタビュー相手が「鳥嶋和彦さん」だった場合。

鳥嶋和彦さんとは、あの週刊少年ジャンプの伝説的編集長。ドラゴンボールの鳥山明先生を見出したり、ドラゴンクエストが誕生するきっかけをつくった人だったり。ものすごくネームバリューのある人だけど、おそらく「鳥嶋和彦」という名前だけでそれがわかるほど認知されているかというと、その辺はさんまさんと比較するとさすがに厳しい。そうなると、おそらくタイトルには「週刊少年ジャンプの伝説的編集長」とか「ドラゴンボール」が入ることでしょう。

 

たとえば、インタビュー相手が「特定業界の偉人」だった場合。

たとえばそれが航空業界だったり、金融業界だったり。
たぶん、名前を出すだけでは世間の人には通じないでしょうね。
そうなると、たとえば「日本で初めて旅客航空業をはじめた人」とかいうタイトルになるんでしょう。さらに、中見出しも「実は重要だった銀座の料亭」など、内容の中から特徴的な部分をピックアップする形になる。なぜなら、さんまさんや鳥嶋さと違って、彼らの話というだけで興味を持たれるわけではないから。

 

同じ、インタビュー記事ページでもこれだけタイトルが変わり、構成も変わるんですよ。これはページデザインは当然として見出しなど"構成"以前の問題なんですよ。

だって「このインタビューは、誰の、何に響くものなのか」であり「その人の魅力は、誰に対して、どんな表現をすれば伝わるのか」なんだから。

そもそものインタビューの"企画時点"で詰めていなきゃおかしい話なんですよ。

それを「こういうインタビューやる予定なので、良さげなページ構成とデザインよろしく」じゃダメなのは、もはや当たり前。

「何を引力と定義して訴求部分に置くのか」

は、デザイン以前の問題なのです。ドリアなのかボンゴレ・ビアンコなのか、の話だから。

 

そう、だからこの記事タイトルの「それは、デザイン以前の問題だ」は2つの意味を込めてつけています。

 

一つは「"何を相手に伝えるか"はデザイン以前の問題だ」

一つは「デザイナーを魔法使い扱いする人が抱えているのは、デザイン以前の問題だ」

 

なぜあなたがデザイナーから好かれないのか、さらにいえばなぜあなたの仕事はうまくいかないのか。

それは、あなたが物事の構造化をしてないからであり、思考の放棄をしているからだと、僕は思います。

これ、デザインの発注に限らず、仕事の全てにおいて大事なことだと思うんですけどね。

 

おまけ

ちなみに「何を相手に伝えるべきか」を「デザイナーに整理させるな」という意味ではないです。

だが、もし整理させたいならちゃんと明確にそれを発注し、相応の金を払え、ということです。

 

 

*1:ここでいう"デザイン"はあくまでビジュアルデザインのことをさしていて、日本語訳である「設計」と言う意味の広義な"デザイン"ではありません。