笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

Webディレクションにおいて”現場”に行く3つのメリット。

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現場に行きましょうという写真(謎)

 

 

僕はもともと印刷会社からWeb業界に入りましたが、新卒の時はDTPオペレーターでしたね。だから、仕事中に外に出るなんてことは(昼休み以外は)一切無く、基本的にPCの前で1日ガリガリ組版ソフトと戦っていました。

 

で、そのあとWebディレクターになりーの、進行管理やりーの、ときにはデザインやりーの、コーディングやりーの、サイト設計やりーの、サイト企画やりーの、アクセスログ解析やりーの、マーケティングっぽいことやりーの、トツギーノなわけですが。(嫁いでません)

 

受託制作にせよ、自社メディアにせよ、おそらく一人ではできないと思います。エンジニアやデザイナーがいるのは当然として、決裁をする人がいるだろうし、協力する人が他にいることもありますよね。受託制作の場合はもちろんクライアントがいます。そういう状況において僕はWebディレクターとかデザイナーとか、考えたりつくったりする人は、できる限り現場に行ったほうが良いと思うんですよね。

 

要するに、創るサイトの対象となるビジネスの現場に行くということです。

ゴルフ場経営ならゴルフ場、出版社なら書店やネット書店、ヘアサロンならそのサロン、飲食店なら言わずもがなそのお店ですね。これには、僕は3つの利点があると思います。

 



 

【1】現実を知る

どういうビジネスをしているのか、どういうサービスをしているのか、その現実を生の目で見ることができます。これがないと、そもそもビジネスのためにWebサイトをつくるのに、その企画や設計ができるわけがないんですよね。PCの前でウンウンうなってPowerPointをいじることに腐心しているWebディレクターはまずダメだと僕は思います。だって、そりゃあもちろん、パソコンの向こうや手前でビジネスやサービスが展開されているわけではないのだから。「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!!!」ですね。

現場に行けば、そのお店やサービスを受けに来るお客さんの顔を見ることもできます。どんな顔をして、どんな楽しみを持ってくるのか、車で来るのか電車で来るのか、どんな荷物を持ってくるのか、どんなクーポンを提示しているのか。それと、店員さんの動きも見えます。飲食店やヘアサロンなどの場合、だいたいの場合発注者はオーナーや複数の店舗を束ねる事業戦略室や広報室だったりします。その担当者に認めてもらうことはもちろん大事なのですが、結局Webサイトというのはネット上でサービスのほとんどを完結するようなビジネス(ECサイトとか)でない限りは、リアルの店舗やサービスとの連動なしには語れません。現場で働く店員さんの協力無しには成功しないんですよね。どんなに良いWebサイトをつくっても、それで店員さんの負担が増えてしまったり、増えたとしてもそこにモチベーションを見いだせないような仕組みでは成功しません。そういう、ビジネスやサービスの現実を見ることは凄く大事だと思います。

 

【2】脳みそを活性化する

「辛い時は部屋にこもってないで外へ出かけろ」というのは、あれは本当だと思います。日々の業務に鬱々としているWebディレクターは忙しい時こそ気分転換にカフェでも行きましょう。なんだそれ。全然関係ないw

いや、無関係ではないんですけどね。

企画や提案、設計をするということは、つまり頭を使うということですよ(当り前か)。誰しも「ぬおー」「うーん」「へろふぇろぬーん」とか頭がこんがらがってきて、もうなんか「ばびょーん」って言いたくなる時があると思います(謎)。そういう時は外に出ろってことなんですが、そうだろうとそうじゃなかろうと、現場へ出かければ「現実を見る」だけでなく、さまざまな情報に触れることで脳みそが活性化します。

また、脳の働きというのは身体性と深く関係しています(・・・らしいです)。たとえばカードソートなどは手を動かしながら考えることで脳みそが活性化して発言も多くなるという意図がありますし、議論をするときは立ってした方が活発になるという話もあります。また、何かを記憶する時に手の動作や体の部位と一緒に覚えると記憶力が向上するという話も割りと有名だと思います。ここからは僕の推測につぐ推測ですが、企画者やアーティストがお風呂やトイレ、運転中など何か他の作業をしているときにアイディアが生まれやすいのはこの脳みそと身体性の関係じゃないかなと思っています。

というわけで、現場にいけば、現場だけでなくその行き帰りの道にも情報は転がり、自分は体を動かすわけですから、頭をつかうべきWebディレクターやデザイナーは、だからこそ身体を動かして現場に行くべきだと思います。

 

【3】 クライアント、上司、メンバーへの説得力

たぶん、これが一番わかり易い目に見える効果だと思います。

僕は何かを企画したり設計したりする時に「この前、どこどこのあのなんとかというお店に実際に見てきました」と敢えて伝えるようにしています。そうすることで「あ、現場を見てきた意見なんだ」「ちゃんと考えてるんだな」というイメージを持ってもらえます。ときには、写真をとってくることもあります(当り前ですけど公開したり納品するような資料には使いませんよ)。

そして、何よりも大事なのは「PCやスマホにうつってクリックしたら動くかっこいい画面をつくろうとしているわけじゃないよ」ということを伝えることだと思います。往々にして、ヤル気があるクライアント、決裁者であればあるほど、いろいろとWebのことを調べてきて、機能的な要望、ビジュアル的な要望に走りがちです。でも、本来それらはビジネスとして利用するものであって、1にも2にもまずビジネスがどういう状態なのか、リーディングカンパニーなのか、それにつぐシェアを持っているのか、ニッチな部分を担っているのかでも違ってきますし、リアルとの橋渡しをどこでどうやるのか、そもそも利益はどこのチャネルで出すのかによってもWebサイトの役割はずいぶんと変わってきます。そのためには、どう考えてもそのビジネスを本気でやっている人の意見や視点が必要なわけで、つまりクライアントや決裁者の知識が必要ですよね。そういう方々に目をさましてもらうためにも、Webディレクターが現場に行き、その話をするのは効果テキメンだと思います(少なくとも実体験としてはそうですね)。

 

「あ、そうかそうか。まず我々のビジネスのことが大事なわけだ」

「この人はWeb制作者のくせに本気でビジネスを考えようとしてるのか」

と、思ってもらうことが大事で、そのためには現場に行き、自分の目で見たことを伝えるべきだと思いますね。

 

 

 

【番外編】気をつけるべき落とし穴

以上が3つのメリットなわけですが、Webディレクター・・・というか企画とか設計をする人間として絶対に忘れてはならないことがあると思っています。これを見落とすと、本当に痛い目にあう・・・・。

それは

 

 自分はユーザーではない

 

ということです。

Webサイトをつくる、提案することになり、そのサービスが行われている現場に行くのは良いのですが、そのときはだいたいお客様として訪問するので、相手も他のお客様と別け隔てなく普通に対応してくれますが、そうすると勘違いしちゃうんですよね。「いまの対応、不快だなぁ。だめだ」みたいなことを思ってしまいがちです(もちろんポジティブな評価もありますよ)。

でも、僕らは基本的にはそのお店のターゲットではないんですよね。大概は。いや、もちろん、いままで知らなかっただけで、体験してみたら良くてそのままリピーターになるということはありますし、そうなれば立派なターゲットになるのでしょうけど、ただ出会いの場からしてイレギュラーな出会い方をしているわけで、基本的には自分はターゲットユーザーではないと思ったほうが良いと思います。

 

たとえば、僕は神奈川に住んでいますが、そうすると埼玉のヘアサロンや飲食店には行かないわけですよ。まず間違いなく行かない。「埼玉県民になったつもりで」と思うことはできますが、それにも限界があります。そりゃまあ、その地域に住んでいるわけではないのですから。その地域にはその地域のコミュニティというか文化があり、競合店の形も違えば、置かれている環境の違いから受け取る印象もまた他県の人とは違う住民の方々がいるわけですよね。たとえ価格が高かったとしても、地域ぐるみで付き合いのあるところなら、そこには世間話をする時間も含まれているのかもしれません。

 

一回行ったぐらいで全てのことがわかるわけではないですし、ちょっと一回行ってみたぐらいの僕らの情報量なんて、住んでいる人の情報量に比べれば微々たるものです。あくまでも、「疑似体験をしにいく」「自分はターゲットユーザーではない」ということを頭に常において行くべきかなと思います。

まあそもそも、本当にただ単にサービスを受けに行くだけじゃ普通のお客さんと同じなのでダメなんですけどね。ちゃんとじっくり観察しないと、企画にも設計にも使えませんから。

 

企画設計する人は、できる限り現場に行って体験した方がいいと思います。