笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

仕事に根性や気合いを定義付けるのは危険。【リソースとプロセスの管理】

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GWはゴロゴロしたり、趣味のテキスト書いてみたり、友人と遊んだりしてました。

リフレッシュリフレッシュ。

営業さんに特に多いですが、根性とか気合いとかやる気とか、そういうもので仕事のプロセスを固めるのは大変危険だと思います。

「気合いが足りないからアポが取れないんだ」

「根性で取って来い」

こういうのは、すごく危険で属人的な組織になるよな~と感じます。

個人差は確かにあるでしょうが、基本的にお仕事ですから。

みんな、やる気もってやってるでしょ

仕事中の態度が怠慢で・・・というなら問題ですが、一生懸命やってるなら、ねぇ?

もし、成果が出ないなら、

 ・それはなぜなのか

 ・どうして成果が出ないのか

 ・問題は何か

ということを、きちんと分析して全員が把握しなきゃいけないし、

それがなきゃ改善なんかできるわけがない。

気合いだ根性だと言ってしまう経営者や管理職の人は、

そういう次のステップへ進めるはずの機会をみすみす逃していることになる。

企業としての成長もないし、成果も出ないし、社員の満足度もあがらない。

そもそも、成果が出ないことに対して「成果が出ない!」と怒ることは猿でもできますから。

■プロセスマネジメント

ゴールに対するプロセスをきちんとマネジメントしなければ企業としての成長もないし、社員の満足度も上がらないってことです。ゴールがダメ、ゴールができないということは、プロセスに問題があるわけです。だったらそのプロセスを見直さなければいけない。それを、部下(当人)任せにしておいて、怒鳴り散らすだけならそもそもアナタはいりません(笑)

営業さんが売っているのも誰かしら(クライアント)の問題解決なら、営業さんが自社へ貢献しなければならないのも問題解決。デザインと同じことですよね。問題がどこにあり、それはどうやったら解決できるのか。その仮説と実証のプロセスを管理職と部下が共有しないで、成果が出るわけが無い。ソフトブレインの栄さんも言ってますが、この辺が日本の「成果主義」の誤った価値観なんですよね。アポや契約だけが営業の成果じゃない。むしろそこだけしか見ていないとすると、企業の成長は無いんじゃないかと思います。だって、アポが取れたのは商品が良かったからかもしれないし、時期、時代が良かっただけなのかもしれない。単純に「営業力」だけじゃないかもしれないってことです。

そういう部分をきちんと分析し、問題を共有し、プロセスを共有し、PDCAサイクルをまわす管理職じゃなきゃ、そこにいる意味は無いと思います。社員が学生みたいに子供で、ケツたたかなきゃやらないならまだしも、社員は生活がかかっているのだから、がんばっていないわけではないのだから。

■リソースマネジメント

IT企業にも、その他の業種にもこの意識が無いところがあることにびっくりします。

ものすごく簡単な話で、時間は有限だということなのですが。

ここでも似たようなことを言う人がいて、

「忙しいなんてのはいい訳だ」

「やる気があればなんだってできる」

みたいな精神論を説く人がいたりします。

個人の心情としてそういうスタンスで仕事をするのは大変すばらしいことだと思いますが、それを組織の定理として持ち込むのはあまりにもナンセンスというか、危険すぎると思います。だって、出来ないものは出来ないもの(笑)。42.195kmを1時間で走れる人はいないし、大概の人はもっともっと時間がかかる。これはもう、ゆるぎない事実です。仕事だって同じで、確かに仕事術や段取り力によってすばやく片付けられることはありますが、それにだって限界があります。だって、1日に100件のディレクションはできないでしょう?当たり前ですよねぇ。これは大げさな話ですが、これを大げさな話としてしか見ていないから危険なんですよ。

そもそも、会社には人件費というものがあって、いくら当人がやる気を持っていたって働けばその分だけ金がかかる。

裁量労働制で残業代がつかないと言っても、一日は24時間しかないわけで、睡眠を含めて24時間全てに予定を入れたら他にできることはおのずと減ってくる。それに、人件費がタダでも深夜まで仕事をすれば維持費はかかるし。

だったら、何をしなければいけないかというと

「その仕事は価格に見合っているのか?」

ということを常に意識してなければいけない。

では、それはどうやって比較するのか。

人件費がコストとして計上されるなら、当然時間に対する費用対効果を出さなきゃだめですよねぇ。

すると「この仕事には何時間かけるべきなのか」ということをまず決めなければいけない。

仕事を、タスクを定量化するということですが。

これをせずして、共有せずして「お前は暇だ」とか「あいつは忙しい」というのは、

甚だ感覚論過ぎる話だと思います。結局、当人の汗かきぶりを見て判断してるだけでしょ?ってことになりますから。

だいたい、この予定/実働管理をしてないところって、残業代を出さないところだったりするんですよね(笑)経営者にしてみれば「何時まで働かせたって人件費は同じ」という感覚だから、時間に対する費用対効果なんて考えもしない。その悪しき習慣がブラック企業、制作のドロ沼状態を生み出しているんですが。残業代を払っていれば、そこに敏感になるはずなんです。残業代をできるだけ抑えて成果を出したほうが良いに決まってるんだから。

「人によってかける時間が違うんだからそんなの無理だ」

なんて言う人がいるんですが、それこそ愚の骨頂だと僕は思います。

それは、裁量を与えているようで、リソースを管理することを放棄しているだけですから。

同じ仕事なのに、人によってかける時間が違ってもいいなんてのは、

「その仕事をなんのためにやるのか」ということを共有していない何よりの証拠でしょう。

1時間で終わるべき仕事を4時間もかけるというのは、オーバースペックか、極端に取り組み方に問題があるかどちらかです。しかし、その定義づけ、「何に」「どれくらいの時間を割くべきか」ということを設定し共有しない以上、この問題にすら気づけません。そして、その人が本当に忙しいのか、実は暇なのかも話すことができません。定義されていないのだから、共通のものさしがないわけで、そりゃ無理でしょう。

「1時間でつくる資料を10分で作り終えて良い」

というのは、

1.成果物のクオリティを見ていない

2.取り組み方に問題を抱えている人を見つけようとしていない

のどちらかになります。

1.は企業としてアウトプットするもののクオリティのバラつきを生みます。

2.は企業として問題を解決するメソッドを持とうとしないため、成長しません。

これは実は、ディレクションもまったく同じなのですが、プロセスやリソースの管理をしないディレクション、プロデューサーなんて(しかもその上怒鳴り散らすしか出来ないなんて)いるだけ邪魔だと思います。

合理の上に、心理をのせて人を動かさないと、ディレクションとは言えないと思います。