今日はアシスタントで入っている授業でNE比による分析。
前回の授業で(といっても昨年末ですが・・・)プロトコル分析を行うための
「記録」を行い、本日が「分析」の日ということ。
これによって出てきた問題点を改善すれば、より良いインターフェースが
出来上がるのでは?という仮説です。
NEとはNovice(初心者)とExpert(熟達者)の頭文字をとったもの。
すなわちNE比とは初心者と熟達者の比率、ということですね。
熟達者とは、そのシステムを熟知しているもの=開発者となります。
具体的には、プロトコル分析の各操作ステップにおいて、そのステップ達成にかかった時間を比較対象とする。その時間を熟達者を「1」とした時に、「初心者」がいくつなのか(何倍なのか)を比較するものです。これによって、開発者の思い描く「こう動いて欲しいな」というモデルと、実際にユーザがそのインターフェースを目の前にして起こす行動のモデルとのギャップを知ることができます。
NE比=初心者/熟達者
「いかにユーザが画面の前で起こす行動の通りに設計するか」が情報デザインの目的ですから、結論から言えばこのギャップを埋めることこそが、直接的な「ユーザ中心設計」になるのかと思います。
ここで大事なことは「実時間の長さ(もしくはNE差)」ではないということです。
A.熟達者が5秒でできるものを、初心者は25秒かかったとします。
この場合、実時間差は「20秒」ですね。
B.熟達者が2秒でできたものを、初心者は16秒かかったとします。
この場合、実時間差は「14秒」です。
一見、前者の方が大きな問題がありそうですが、これはあくまで「実際の時間差」なので、必ずしも欠陥に直結しません。なぜなら、その操作ステップそのものが時間を要するものかもしれないので、ということだそうです。確かに、アンケートで「はい」「いいえ」を選ぶのと、予約フォームに情報を入力するものではかかる時間が違います。かかる時間が長ければ、当然初心者と熟達者の「実時間差」は広がる一方でしょう。そのものの分母が大きいのですから。
となると、大事なことは「比率」なんですね。
比率で言えば、上記A.はNE比=5、B.はNE比=8です。
Aは5倍ですが、Bはなんと初心者は熟達者の8倍かかっているんですね。
「比率」をもとに分析をすれば、「本来そこまで時間がかかるはずの無い所で迷っている」=「インターフェースの問題」という結論が出てきます。それを改善すれば、良いインターフェースができる。おお、それは確かに良いものができそうだ。
しかし、ことWEBサイトについて言えば、ハード上の問題という制限はそんなに大きくないものだと思います。結局、情報を与えるツールですから。機器の性質上「どうしてもそこのボタンは移動できない」ということは、ほぼ無いに等しいんじゃないでしょうか?
ということは、プロトコル分析で出た結果の中で「初心者も熟達者も時間がかかった所」も、ある程度、検証し修正をする範囲内になるのかなぁという気もします。そこが改善できれば、劇的に操作性が向上するのは間違いないですし。ただ、だからこそ難しい課題ではありますが。
「ここ、両者とも時間かかってるなぁ。なんで?」
という意識そのものは、クリエイターは常に持ち続けなければいけない、と思いますね。