笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

”はじめてのおつかい”に学ぶ発注力。

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こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。

しょげないでよベイベー!なんつってな。

おとなはしょげるけどね!

今日は前回書いた記事「なぜあなたはデザイナーから嫌われるのか。 - 笑顔を創りたいWeb屋の日常」の続き。前回はどっちかっていうとデザイナー側の視点から書いたけど、今度は発注側から書いてみる。

なんでかっていうと、ガッキーがリングフィットアドベンチャーのCMに出ているから。最近、新しいバージョンまで出ちゃって。

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 

■目次

 



 

ガッキーがリングフィットアドベンチャーのCMに出てたんだわ

いやもうみんな知ってると思うけど。

知らない人はじゃあこれを見て。

リングフィット アドベンチャー | Nintendo Switch | 任天堂

おいびびった。

 

 

 

リングフィット アドベンチャー公式サイトのスクリーンショット

リングフィット アドベンチャー公式サイトより

 

えっ

 

 

これ新垣結衣さんの公式サイトでは?

ぜったいそうでしょ?

だってロゴより商品写真より新垣結衣さんのエリアが圧倒的に大きいよ?

ちがうの?

うそでしょ?

 

ちょっとまって?

いまワイ「あらがきゆお」って打ったよ?

びっくりしすぎてタイピングもまともにできなくなってるよ?

ん?

ん?

どゆこと?

何回見ても事務所公式サイトより魅力が発揮されてるんだが?
※どうでもいいが事務所公式サイトの「超奇跡的にうまく撮れた免許書写真」みたいな写真も悪くない。

 

 

じぇじぇーい!

やるな任天堂め!

とうとうガッキーまで自社キャラクターに取り込んだか!

スマブラにはいつ登場しますか?

必殺技は逃げ恥ダンスでも及第点ですが、ワテクシとしては「雪肌精による透明化」を強く推します。

 

 

ねー、こうやって話が逸れていくのー、それがわいのぶろぐなのー。

 

 

いや、ガッキーが出てるリングフィットアドベンチャーのCMみててね、おいおい、やりすぎだろおまえ、そもそもいま売ってねぇのにこんなにもっと買いたくなるCM出しやがってと。ありがとう任天堂と。

 

でも思ったわけ。

 

あれ?そもそも新垣結衣さん、筋トレ必要?って。なんならもう少しふっくらしてくれても世間とワイはついていくのに、すでにスレンダー美女な新垣結衣さんがこれ以上筋トレしてどうするの?って。

そういうのはむしろ太っちょのワイの方がやるべきでね。

でも太っちょディレクターはリングフィットアドベンチャー持ってないんす。いやーほんと、ワッシこそ買うべきなんだけど、もってない。

なんでか手に入らんのよ。いや、いま品薄だからね。そう簡単に手に入らないんだけど、それにしてもほんと手に入らない。買えそうな気配が全くない。

なんでかわかるー?

 

それはね、

 

買おうとしてないからだよ。

 

うん、そりゃ手に入らない。

むしろそれで手に入ってたら困る。誰よ、勝手に買った奴はと。

この通り、世間のあらゆる情報や物資というのは、本来渡るべき人のところに渡らず、もう不要な人のところに届いちゃったりする

ね、ガッキー、もう筋トレしなくていいと思う。いや、もしかしたら普段からジムに行ってる代わりにリングフィットアドベンチャーを使っているという、そういうテイなのかもしれないのだけど、とにかくどう考えてもガッキーよりワテクシが買うべき。CMにも出るべき。

だが肝心のワテクシが買おうとしてない。なんとアホなことか。というわけで今度買おうかなと思います。うん、まじでどうでもいい。

 

つまり、この前の記事「なぜあなたはデザイナーから嫌われるのか。 - 笑顔を創りたいWeb屋の日常」も、本来届くべき人に届いてない

まあ世の中そんなもんだけど、だから読んでほしい。発注する側、依頼する側、上司とか、みんな読むべき。ここまで脱線しておいてまずお前がちゃんとしろという、そういうのはもう、受ける。その通りだから。

というわけで、聞いてほしい。

 

発注力を学びたいおまいは「はじめてのおつかい」をみろ

ほんとマジで見て。

開始3秒くらいで泣くから。

なんで泣くのかっていうと、もちろんそれはおつかいをはじめてする子供ちゃんが一生懸命頑張って、勇気を振り絞ってド近所にひとりでおつかいに出る、その姿に涙するわけですやね。

で、だいたいこうなる。

  1. 子供ちゃん、店に着く
  2. だが、お買い物に来た子供自身が何を買えば良いかよくわからない
  3. 断片的には覚えてるんだけど、そもそも日本語がうまく使えない
  4. とても優秀なオバサン店員がサポートしてくれる
  5. 買いたいものが買えた!
  6. ナレーション「おばちゃん、ほんとは知ってるんだぁ。じつは毎日お母さんが買っていくものだから」
  7. ナレーション「でもそんなこと関係ない。だって、○○くんにはまちがいなく今日がはじめてのおつかいだから。○○くんすごいんだぞう!」
  8. 視聴者笑い泣く

ほんと、やーよねー
泣いちゃうじゃんこんなのー
だが、気づいてほしい。

 

このお子さん、間違いなく発注者なんよ。

 

お買い物をしに来て、欲しいものを言うわけだから、もう紛れもなく発注者。

その発注者が、何を欲しいのか言えない。

「はじめてのおつかい」は良い。かわいいから。もはやなにも買えなくてもいい。歩いてる途中で忘れて3回ぐらい往復しても良い。むしろ尺を稼いでくれてありがとうとプロデューサーは思っている(しらんけど)。

だがおっさんオバサンのおまいさんたちはそれではあかんのよ。

もうここでは20代以上を全員おっさんオバサンとするけど、そう、おっさんオバサンはそれではダメ

 

「はじめてのおつかい」をおじさんで想像してみて欲しい

控えめに言ってもぶっ飛ばしたくなるよね。

「何を買いに来たんですか?」って聞いても、ちゃんと答えられないわけ。

その割に、社会的地位があるもんだから偉そうなわけ

 

「そういう細かいことはさ、プロなんだからよしなにやってよ」

 

 

とか言うわけ。

似たようなこと、あと3回言ったら殺されるよ?だいじょうぶ?

っていうね。

"はじめてのおつかい"のお子さんはね、うぇーわかんないー、えーうーん、買いたいのはやさい!とか言うわけ。店員のオバサン困っちゃうけど、そっかーやさいかーウチやさいは売るほどあるからなーとかいってお茶の間の爆笑をかっさらうわけ。

でも"はじめてのおつかい"のおじさんはね、えー?わかんないだろそんなの、あーうーん、だから欲しいのはほら、そういうのだよ、とか言うわけ。いいからウチが儲かるようにやってよ、とかいうわけ。もうそんなのおまいさんの妻でもない限り付き合いきれんわっていうね(そしてたぶん熟年離婚)。

 

デキる店員のおばさんは高いのです

わかりましたか?

あ、ごめん言い直すね。

わかりまちたか?

テキトーな発注をするクライアント、曖昧な指示を出す上司、おまいちゃんたちはね?「はじめてのおつかい」のお子ちゃんたちと同じなんでちゅよ?わかりまちゅか?

ってちょっとバカにし過ぎたけど、ただそれはつまり「子供の相手をするには大人が必要」ということであるんよ。そして大人はだいたい金がかかる

 

子供は、発注力が低い。

発注力の低い人を相手するには、それだけ高い能力が必要になる。

高い能力を持った人は、単価も高い。

 

なんて当たり前のことなんだ、と思うかもしれないけど、実際に起きてるほとんどのことはこれで片付くはずで。

いやーもう言ってしまおう。
これを読んでる全国のWeb屋さんたちが頷くはず。

1ページのLPなんてぶっちゃけ1日でできる。

でも、どんなに短くても一週間ぐらいかかってるだろうし、一ヶ月かかることだってザラにある。それは何に時間がかかっているかと言うと確認と修正(正確には「変更」)ですよ。

「こうあるべきだ」という正しいものが、できあがってみないとわからないからそうなる。それはなぜそうなるかというと、「こうあるべきだ」が発注者側に見えてないから、そうなる

だから、それさえ見えきっていれば、すぐにできる。だって修正もなければデザイナーが考える時間も必要ないんだから。

 

とはいえ実際はむずかしい

「顧客が本当に必要だったもの」っていう有名なイラスト?があるけれども、基本的に素人である顧客が専門家に対して的確に要件を伝えるのは本当に難しい。

「はじめてのおつかい」は、多くの大人には簡単な内容でしょう。世の中にありふれまくっている物を、ありふれまくっている内容で買うだけだから大概の人にはできる。

しかしデザイン(物)、Webサイト、システムというのは本当に難しい。仮に理想的な仕様を伝えられたとしても、それでは費用が高すぎることもあったりして、本当はもっとチープなものでもなんとかなるものなのかもしれない。しかしそれを理解するには開発側の知識や、もっといえば開発会社側の事情や文脈まで理解しないと本当に適切な要求はできない。

なので、これはある程度仕方がないんだ。
しかし、だから横柄に対応して良いとか、都合の良い時だけ「素人」を出すのは間違いだし、そしてそれは絶対に防げるんよ

それは「はじめてのおつかい」をみていればわかる。自分と重ね合わせて見れば良い。発注者として、彼ら彼女ら(子供ちゃん達)がどれだけ優秀かわかるから。ちゃんと依頼ができなくても一生懸命、ふんぞり返らず、勇気を持って問題に立ち向かい、超優秀な「店員のおばちゃん」のサポートを適切に受けられる。

もし仮に、大人の自分があれにチャレンジしたら。

簡単でしょうね、あんな程度のお買い物は。優秀かつ愛に溢れた店員のおばちゃんなど不要で、きっちりと「豚肉と白菜をください」「豚肉はこま切れ600gください!白菜は1玉!」言えば良い。くわえて「今日は豚肉と白菜のミルフィーユ鍋つくるんです」と言えばさらに良い提案がもらえるかもしれない

つまり、しっかりと要素技術や相手の文脈を理解して発注できるというのはそれだけでスキルであり、それがあるだけでデザイナーやエンジニアは楽になったりするんよ。

 

でもね?
本当に大事なのはそういうことではないんよ。

 

「はじめてのおつかい」から本当に学ぶべきこと

あのね、発注者って素人だから。
そもそも素人だから「専門家」に依頼をするわけで。

僕はもともとWeb制作会社にいたWebディレクターなので、そりゃWebに関することはだいたいわかる。だから発注も細かくできる。これは僕のスキルだとは思うけど、それは僕の方が特殊なのであって、基本的にはわからないのが当たり前で。

 

なぜ、「はじめてのおつかい」の店員のおばちゃんは助けてくれるかっちゅう話なんよ。

 

そりゃ、「かわいい」からだよね。

じゃああんた、かわいいか?っていう話よ。

もちろんおっさんオバサンなおまいさんはまかり間違っても子供のような可愛さはないと思う。あるかもしれないが、ある人はそれでがんばればいい。でも大概の人はそんな可愛さはない。

でも「発注者としてのかわいさ」ってのは絶対にあるんよ。

そもそも「お客様から仕事を請け負って生きている人」というのは、少なからず「自分の力で誰かを助けたい」と思ってる。まちがいなく。お金じゃない。

いや、お金が基本なんだけどそれがすべてじゃない。デザインで、エンジニアリングで、誰かの役に立ちたいと思うからそういう仕事をしている。なぜなら「儲かるから」っていうだけの理由ならもっと他の、割の良い仕事してるはずだからw 自分の才能で誰かの役に立ちたいってのが根底にある、それがデザイナーやエンジニア。

いかに「この人の力になりたい」と思ってもらえるか、それが発注者の力なんよ。

僕はそれこそが「発注力」だと思ってる。

 

ゆえに「発注力」には単純な発注スキルだけじゃなく、「この人のこと助けたい」と思われるかどうかも含まれると思っていて。

 

そんな観点でいけば、「よしなにやっといて」「プロなんだからちゃんとフォローしてよ」とかいう奴がいかに発注力がないか、わかるでしょ?

 

 

諸悪の根源は「意思」の流れを考えてないひと

そう、実はこの人こそ害悪を撒き散らすひとなのだ。

だいたい「よしなにやっといて」とか「プロなんだから〜」とかいう人は、実はその人がそう思ってるんじゃなくて、上からそう言われてる故にそうなってたりする

実は、ずっと「はじめてのおつかい」の子供ちゃんを「発注者」としていたけど、正確には違うのですよ

 

いや、発注者なんだけど、本当の発注者はその裏にいる

 

そう、親御さんですね。

すべての発信元はこの親御さんなんよ。

「はじめてのおつかい」では、親御さんがきっちりちゃんと子供に「何を」「どれくらい」買ってきて欲しいかを伝えてるから問題がない。

が、世の中のダメ発注企業はだいたいここがうまくいってない。

そもそも担当者以前にその担当者(部下)に指示を出す上司自身がものすごいテキトーな指示を出してたりする。

 

「企画」というのは「意思を発する事」なんですよ。
その企画という意思に対して、実装や実践をする人や間に立って発注する人は「意思をつなげる事」をやってる。
そして、最終的にその企画によって生まれたものを体験する人が「意思を受け取る事」をやってる。

つまり整理するとこうなる。

  • 企画する人:意思を発する人
  • 実装する人や代理で発注する人:意思をつなげる人
  • 体験する人:意思を受け取る人

ということ。

これが何を意味するか。

意思を発する人がちゃんとそれをやらないと、すべてはうまくいかんのです。

最も肝心なそのひとが「よしなにやっといてよ」とか言ってたら、もうこのプロジェクトは破綻するんよ。だって他の誰もわからんのだから(エスパーかっていうかエスパーでもわからない)。

同様に「意思をつなげる人」が、その意思をきちんと確認しないでつないでたら、これもまた破綻する。当たり前なんよ、意思がつながってないんだから

前段で「ミルフィーユ鍋つくるんです」と書いたけど、これぞまさしく「意思をつなぐ」行為で。「どうしてそれが必要なのか」をちゃんと言えるかどうか。中間依頼者はこれが下手くそな人がほんと多い。*1

そして、「意思を発する人」に対して「意思をつなげる人」が「どういう意思があるの?詳しく教えてや?」というのを、システム開発の世界では「要件定義」というですよ。そりゃ金かかるわな、っていう。

だから、こういうことなんよね。

  • 最初の発信者である企画者はちゃんと明確に意思を発すべき
  • 意思の中継者である担当者や依頼者はちゃんと意思の背景や経緯を伝えるべき

こういうのが「はじめてのおつかい」をみてるとわかってくる。

いや、わからんけどw

あのかわいさによって成り立つ発注受注と、日頃の自分を見比べると良いと思うんだぜ、という話でした。

 

最後に、受注する側の人へ

これはつまり「いかに子供みたいな発注力の人でも、うまく受けられる力があるか」を問われてるわけですよ。

 

クライアントや上司を叩くのも楽しいけど、1つ上に行こうと思ったら、いかに「"はじめてのおつかい"の優秀なオバサン店員」になれるかどうか、だと思いますよ。

 

 

まあ、僕はずっと太っちょディレクターですけどね!

 

追記

これだけ書いといて「はじめてのおつかい」 のリンクがないのは失礼な気がしてきたのと、ガッキーの画像さすがに関係なさすぎるのでwリンク置いておきます(直近の4月24日の番組内容が表示されないのはなぜだろう)。

「はじめてのおつかい」公式サイトのスクリーンショット

「はじめてのおつかい」公式サイトより