笑顔を創りたいWeb屋の日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。情報デザインやWebの勉強をしています。

【感想】「インバウンド・マーケティング」 著:ブライアン・ハリガン、ダーメッシュ・シャア

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インバウンド・マーケティング
ブライアン・ハリガン ダーメッシュ・シャア
すばる舎
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遅ればせながら、読みました。

最近声高に?叫ばれているというかとっても話題になっている名前なので、まあ、多くの方は概要ぐらいはご存知だと思います。っていう僕も、まあ、概要ぐらいは知っている状態で読んだわけですが。(=まだどういうことなのか正確にはよくわかってない)



内容を今北産業的にまとめると(謎)

 ・もう押し付けのマーケティングの時代じゃない

 ・相手から見つけてもらえるような突き抜けたコンテンツをつくって向こうから来てもらうべき

 ・そのためにはブログ(手軽に発信)、ソーシャルメディア(リーチと伝搬)が有効

 ・見つけてきてくれた訪問客を質の高い見込み客にするにもコンテンツ(とメール)が有効

あ、4行・・・。

 

まあでもこんなところだと思います。

基本的には、

 ・突き抜けたコンテンツをつくる

   ↓

 ・ソーシャルメディア、検索エンジン、リスティング広告で見つけてもらう

   ↓

 ・コンテンツで惹きつける

   ↓

 ・ワンランク上のコンテンツを特典にメールアドレス登録

   ↓

 ・メールとコンテンツでさらにコミュニケーションをとって購買に繋げる

みたいな話でした。

 

言ってみれば、一つ一つはさほど新しいものではなく、良質なコンテンツ+CMS+SEO+SEM+LPO+EFO+SMO+メルマガというような(アルファベットはだんだん面白くなってあえてつなげてみた)これまで単体で使われてきたものを一気通貫というか一つの道筋にそって繋げたものに名前をつけた、という感じがします。あくまで僕の捉え方ですが。

 

■マス・マーケティングは死んだ

って言ってます。

言い過ぎだと思います(笑)

いや、もちろん、以前に比べればその力は確かに減退していて、全員がお茶の間にいてみーんな同じ物を見る時代ではないわけですが、ただ、依然としてTVは莫大な力を持っていると思うし、雑誌を含む紙媒体にも、看板広告にも力がないとは思いません。どちらかというと、企業と消費者の関係で言えば今までが異常だったのであって(企業が言ったままそれが伝わる)、インターネットの出現で両者の立場がどんどんと対等に近づいているだけの話だと思います。バランスが変わってきている、これからもそれが進むことに異論はないですが、TVCMが全く意味を成さない、死んでいるというのはやっぱり違うかなぁと。だって、友達と話していても、TVの話多いもん・・・。やっぱり、一度に不特定多数に一気に認知してもらう時にはTVCMってすごいと思うし。まあ、一部のおっきな企業しか使えない方法ではありますが。結局、インバウンド・マーケティングと呼ばれているものがそうであるように、「適したタイミングで適した表現を適したチャネルでやる」ということであって、べつにネットだけ見て「ネット万歳」ってことも無いと思います。TVだってチラシだってポケットティッシュだってフリーペーパーだって手段の一つとして考える余地はあると思う。・・・まあ、新しい手法や考え方を広めるときには、とくに書籍なんかだと「○○は死んだ」っていうとウケやすいので、それを狙っただけなんでしょうけど。たぶん。きっと。

 

■一番の疑問。

僕はこの本を読む前からずーっと疑問で、結局読んでからも疑問なんですけど、突き抜けたコンテンツって誰がつくれるんですか?っていう疑問が拭えません。ライターさんなのだろうか。いや、絶対につくれないと言いたいわけではなく、それには当然のスキルも経験も時間もかかるよね、っていうことは自社のリソースも予算だと捉えれば金かかるよねと思うわけです。

 

この本のなかでさかんに「突き抜けたコンテンツをつくるべきだ」っと書かれているんですけど、「いやー兄さん、それはそれで超大変ですよ兄さん」って思います。僕もこうしてブログを書いている身としては。ある意味、お金払って広告枠買うほうが楽と言えば楽。

 

だから、なんか夢物語、万能マーケティングみたいな流れを感じるんですけど、これはこれでものすごく実践する企業を選ぶよなと思います。経営なんてある意味ではギャンブルなわけですが、少なくともインバウンド・マーケティングをやる!ということは夢を見ていてはいけないわけで、突き抜けたコンテンツを生み出し続けるために、人も、時間も投資するという勇気や覚悟、判断が必要なのは間違いないと思います。そして、どうもそこがすっぽ抜けている話が多いような気が・・・。

 

今のところHubSpotというツールが売りだされているみたいで、僕は詳しいことは良くわかってないのですが、基本的にはインバウンド・マーケティング専用のCMSツールというところなんでしょうか。ただ、いずれにせよツールでしかないわけで、結局コンテンツを考えて生み出すのは人間なわけですよね(いまあなたがアップすべきはこのコンテンツです、クリックしてアップロードしますか?とか言われたりして・・・)。車の免許を持っているからタクシードライバーになれるわけでもないし、Wordが使えるから小説家になれるわけでもないわけで、どうしたって人間そのものの力が必要になるはずです。その問題を、運営していくということの大変さをどうクリアしていくのか、その仕組みを考えないと(もしくは無理だと判断するか)しないと、安易に取り入れるものでは無いのかなと思います。そこをアシストするお仕事はできるのかもしれませんが、いずれにせよ、その部分を無視して勧めても、導入しても良いことはないと思います。

 

 

■なんでも良いわけじゃ・・・ないよね?

これは推測ですが、著者のブライアンとダーメッシュがコンテンツを生み出すことそのものにそれほど言及をしていないのは「何がしかのビジネスでそれなりに生き延びている人や会社には、すでに人々が求める情報やコンテンツがある」という前提なのだと思います。まあ、商売してお金もらってるんだから、その人が持つ情報は有益に違いないってことで、確かにそうだとは思うのですが・・・。

 

ただ、これは裏を返せば「突き抜けたコンテンツ」とはそもそも「我々は何で勝負をしているのか」「どんなコンピタンスで戦っているのか」ということが明確になっている前提だと思うんですよね。ええ、ということは、当然ながらビジネスとしての戦略の、少なくともコアな部分は固まってないとできないんですよね。「自社の強みは?」「顧客に何を提供している?」ということに答えられないのであれば、インバウンド・マーケティングなんかはじめる前にまずそっちから整理しないといけないはずで、それなしに始めちゃったら元も子もないというか、そもそもどんなコンテンツを発信すれば良いかわからないと思います。

 

いくら「見つけてきてもらう」と言っても、自動車売ってるのに高校生がいっぱい見に来てもしょうがないし、マンション売ってるのにアルバイトの人を見つけてもしょうがないし・・・(まあ、ながーーーーいブランディングとしてはアリなのかもしれないけど)。ソーシャルメディアで伝搬されたってそれが可愛い女の子の写真じゃほとんどの会社には意味が無いと思うし、チェーン店でもない飲食店が全国のネットユーザーに見られても、サーバーの負荷でしかないです。どうせほとんどの人は来店しないわけですから。

 

だからやっぱり、当たり前なんですけど、ビジネスの整理、土台となる戦略ありきの話で、それなしに飛びついても何も良いことはないと思います。インバウンド・マーケティングの考え方自体はすごくまっとうだと思うし、やれるところはやればいいと思いますが、よく考えて、自社のサービスと合致するのかどうかを検討してから導入すべきだと思います。・・・ってああ、ものすごく当たり前の結論になってしまった・・・orz こんなのは保険一つとっても同じだ(笑)

 

うーん、個人的な感覚では、自社ビジネスとお客様の事を一生懸命考えて、その結果やった施策をあとでみたら「あれ、これインバウンド・マーケティングじゃね?」ってのが、多いいんじゃないかなーと思います。