笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

そんなんじゃお仕事なくなっちゃうよWeb屋さんたちぃ~!

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タイトルはパクリです。

違います。堂々とやっていて、尊敬している方のフレームワークを拝借して分かる人には分かるよね的なところを狙ったのでこれはオマー・・・いやそんな高尚なもんじゃないな。そうあれだ、パロディです。うん、パロディ。でもまあなんでもいいや(ヒドイ)

 

でまあ、くだんのあれですよ。



これです、これ。

クライアントよ、お前の依頼の大変さを思い知れ!これがデザイナーにとっての「デザイン修正」だ!

このブログをご覧になっている相当マニアックな方はこのエントリなんてとっくに見ているでしょうそうでしょう。

 

 

 

こわいわーこわいわー。

 

 

ほんとこういうのこわいわー。

超怖いですよねー

デザイナーさんって

 

 

 

 

 

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

 

 

まあ冗談ですけど。

でも、僕はこのイラスト(漫画?)の主張には基本的には反対です(部分的に賛成なところもあるんだけど)。

各所で絶賛されている感じがしてウヌヌ・・・って思ってたんですけど、割りと僕に近い方々は反対派だったので良かったです。寂しくて死んでしまうかと思いました。うそです。

 

まあとりあえずお客様の事をお前呼ばわりってのはやめた方がいいよねっていうことはいちいち言うまでもないのでこの一文で終わりにするとして。

 

■デザイナーじゃなくてオペレーターとか、納得するプロセスとかなんとか

こうならないための一つの解決策として「言いなりにやるだけだからそうなるんだ」っていう論調を結構いっぱい見ました。それそのもの自体にはさほど異論はありません。デザインって本来の言葉の意味は設計だし。誰が設計をやってるんだっていう意識の話、スキルの話は大事だし、それをちゃんとやることでグラグラじゃないデザインに持って行きやすいのも事実。

 

でも、僕はこれは話の筋が少し違うと思うんですよね。

ちゃんとヒアリングする、ちゃんと設計する、ちゃんと提案するというのは、確かに手戻りを、修正の嵐を防ぐ一つの方法ではありますが、それは結果的にそうなってるのであって、手戻りをなくすために設計をしているわけじゃないですよね。っていうか・・・どんな設計しようが覆るときは覆ると思う(笑)。要するに設計とかアートディレクションとかコミュニケーションとかいうものは、その向かう先が「良い物をつくるためのプロセス」と、その結果としての「合意」であり、もっと言えば「納得」のはずなんですけど、納得なんてものは、人間の一つの心持ちでしかなくて絶対的なものじゃない。

 

まあ、一言で言ってしまえば納得したって次の日には覆るかもよってことです(笑)

 

相手と向き合って御用聞きにならずに、きちんと目的に向かって問題を分解して定義し、解決策としてのデザインを作り上げていけば、納得してもらいやすいんですけど、してもらいやすいというだけでそれは絶対的なものじゃないし、納得したって事情によって覆ることはあるわけですよね。極端な話、社会情勢が一気に変わればビジネスが変わり、そうしたらWebサイトのデザインだって変わる可能性はあるわけで。それに付き合うか付き合わないかはWeb屋さん次第ですけど。

 

■御用聞きデザイナーにだって生きる権利はあるわけで

べつに悪いとは思わないんですよね。御用聞きだってお仕事になるだろうし、求めている人もいるだろうし。みんながみんな料理の鉄人みたいに「一生懸命こっちが考えた最高の料理出すから食えよな」っていう料理人ばかりじゃ疲れちゃうし。疲れるかどうかは関係ないですけどw でも、言われたままの料理を出すだけのお店だってべつに悪いわけじゃないんですよね。「オリジナルの組み合わせであなただけのクレープを!」みたいなお店だってあるだろうし(あるのか?)。

 

まあ、そんなに敷居を下げた話しでなくとも、例えばIAとかアートディレクターを自社内で抱えている企業なら、欲しいのは言われた通りのデザインをなんとなく綺麗にまとめるデザイナー(=オペレーター?)でも良いわけですし。そして、その人たちは手戻りが起きたりなんども修正に付き合わなきゃいけないっていうルールがあるわけでもないし

 

■問題は全然べつのところにあると思うのですよ

くだんのエントリは「クライアントよ、大変さを思い知れ!」って訴えてますけどもね。

じゃあ、この問題ってどこにあるんだろう?って考えればアートだとかデザインだとかオペレーター云々だとかそんな小難しい話ではないと思うんですね。

 

「思い知れ」って言ってるんですよね。

ってことは「思い知ってないこと」が問題ですよね。

それだけですよね

「じゃあ知ってもらえばいいじゃん」っていうだけだと思うんですよね。

 

うん。ほらやっぱり簡単じゃないですか。

思い知れ!→知らないことが問題→じゃあ知ってもらいましょう。

ただそんだけですよ。ほんと。

で、それをちゃんと伝えてるの?って思います。

そこからじゃないですか。それでも通じないクライアントもいますよ。もちろん。でもまず、こちらがプロなのだからそれを伝えなきゃわからないのは当然だと思うんですよね。

 

 

■べつにWebとかデザインとか特別じゃないっす

正直、こんなのべつにWeb制作とかデザインとか、関係ないと思います。どんなお仕事だって一緒だと思いますよ。変更には金がかかるっていうだけの話なので。だって、僕らファミレス行ったって一度オーダーしたものが出てきたらもう変更できないじゃないですか。ハンバーグを注文して、ご丁寧に「ご注文を繰り返させていただきます」とかいってもう一回確認までされてるのに、出てきたものが気に入らないからって「やっぱりミートソースにして」なんて言えないじゃないっすか。料理が出てくる前ならまだ間に合うかもしれないけど、それだって僕らはやっぱり恐る恐る「ま、ま、まだ間に合うでしょうか・・・」って聞くわけじゃないですか。当たり前ですよ当たり前

 

いやそりゃね、確かにWebって手に取れる成果物とかではないし、相手にわかってもらいづらいのはあるんですよね。料理とか服みたいに材料費がかかってないですからね。でも、じゃあ、材料費だけ渡せばもう一回料理作ってくれんのかって言ったらそれはおかしな話じゃないですか。料金には料理人の人件費が入ってるんですから。世の中、人件費が一番高いっていうし。

 

だってー、人件費なんかほとんどかかってないであろうプリクラとかスピード写真ですら、撮り直したり変更するのに時間制限や回数制限があるじゃないですか。「あと30秒だょ♪」とか機械にすら言われちゃうわけじゃないですか。人間様に制限がないわけないじゃないですか。

 

 

■ちゃんと説明してからでしょ、言えるのは

でも、突然プリクラの機械さまに「もう終わりだょ♪」とか言われたら、えええ?!って思うじゃないですか。挙句の果てにゃ「お前らの変更とか撮り直しの大変さを思い知れ!」とか言われたらプリクラ機さまといえど張り倒したくなるじゃないですか。そりゃ、ちゃんと前もって説明してよって思うでしょ。説明してくれりゃ、いい大人ならわかりますから。電気代だって場所代だってタダじゃないことぐらいねぇ、高校生だってわかるでしょ。

 

修正や変更には立派に人件費がかかり大変なんだよってことをちゃんと説明すればいいじゃないですか。

 

 

クライアントだってべつに僕らをいじめたいわけでもないだろうし、いつ僕らがお客さんになるかもわからない以上、いくらお金払ってる側とはいえ嫌われるのは得策ではないでしょうし。

もちろん、オーダーメイドである以上、やっぱり完成品を見てみないとわからない部分もあるわけで、修正や変更が入るのは致し方のないこと。でも、それならはじめから「デザインの修正は2回まで無料で対応します」とか「2日間はデザイナーを張り付かせるので、修正はその間にお願いします」とか、

 

・「修正はただじゃない」

・「対応はちゃんとする」

・「でも、だからこそ無限ではないのです」

 

ってことを伝えなきゃ、そもそもわかるわけないんですよね。

こんなのはべつにどんな世界のオーダーメイドでも当然のことだと思いますよ。

 

 

■お仕事なくなっちゃうよ・・・

もちろん、それでもこちらを下僕としか思わない、「お客様は何を言ってもいい」と思ってる理不尽なクライアントもいますけど、それとて、ちゃんと説明するからこそわかるわけじゃないですか。ちゃんと説明して、当たり前のことを当たり前に伝えているのに覆すような人はもうそれはしょうがない。そういう人とお仕事するかどうかを自分でよく考えれば良いと思う。

 

ただ、

 ・知らないだけで本当は説明すればわかってくれる人

 ・説明してもわかってくれない理不尽な王様な人

 

のどちらなのかもわからずに、もっと言えばプロとして当然の説明や対応もしてないんだったら、お客様に対して怒るのも、批判するのも違うと思うんですよ。そんなこと言ってたら、全てを理解しなくちゃお仕事が依頼できないなんてことになりかねなくて、うん、それ、たぶんお仕事なくなっちゃいますよ。理不尽で制作会社やデザイナーを下僕だとしか思ってないような人のところに、ちゃんとしたクリエイターが寄り付かなくなるのはともかくとして、そうじゃない人にまでそんな対応してたら、じゃあどこにお客様がいるんですかという・・・。

 

 

■お客様は誰でその人にどんなバリューを提供するのか

いや、まあ、べつにいいんですよ。

御用聞きとして何度もの修正を短納期で対応するのだって「思った通りに何度でも素早く対応してくれる」っていう価値を提供しているのだから、いいっちゃあいいんだと思います。本人(クリエイターやデザイナー)がそれでいいならOKでしょう。だってやりたくてやってるんだから。

だから、

 ・修正には限界があることを理解してくれる人とお仕事をする

 ・私には限界など無い!サービスしまっせ!という事を求めている人とお仕事をする

っていうことを、どちらなのか(いや、これだけじゃないけど)考えるべきでそれもなしにお客様を否定するのはいかがなもんかと思います。

 

 

僕自身にもいつでも問うべきですが、どんな人を相手にどんな価値を提供するのか、Web屋さんだって考えないとダメですよね。じゃないといつかお仕事なくなっちゃいますから。