笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

発注側が学べば見積もりは安くなる。

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前の記事(「【Webディレクターの転職術:その1】2ヶ月で40社以上からスカウトメールをもらう方法とその後の進め方。」)で「次はポートフォリオのテンプレートを公開する」とかいって違う記事書いちゃう、そんなお茶目なWebディレクターです、こんにちはすみません(謎)

 

tomoyukiarasuna.com

これ読んでね、思ったことがあって。(ちなみにブログ著者の荒砂さんは一緒にお仕事したこともあるお友達です。とても優秀なデザイナーさんで尊敬しておりんす)

「あ、これ違うやん。"提案書に使えるやーつ"て思ってたけど、そこじゃないやん」と思ったわけですね。

 

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そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

 こんなことをツイートしたんですけども。

どんなにデザイナーさんが素敵デザインを出してきたとしても、発注してる側がそれを理解できずに「もっと色とりどりにしてよ」とか言い出したら結局イケテナイデザインになってしまうわけですよね。

もちろん、優秀なデザイナーさんならそこで抗うし、「いかにそのデザインがダメで元のデザインが良いか」を説明するわけですけど、それってそのまま工数とかスケジュールに影響するわけですよ

修正が1個や2個ならともかく、これがプロジェクト終盤で何十個も来たらもう反論(説明)をあきらめる人や会社もかなり出てくると思います。それはもうクリエイターの矜持がどうだこうだといったところで、商売ですから。赤字になってたら意味がない。
それでも良いものにしようとするデザイナーさんやデザイン会社さんはいるんですけど、そのぶんだけスキルと工数が必要になるので、おのずと価格は高くなりますね。(これは間にディレクターが入っていても同じ)

自分が事業会社の「なかのひと」になったからこそ誤解を恐れずに言いますが、世に出回るデザインの足を引っ張ってるのはおそらく大半は発注側の無理解だと思っています

というのも、上記エントリを読んでいて「ハッ・・・」としたんです。彼ら受託のデザイナーさんに修正指示を出すのは僕ら「なかのひと」なわけで、そもそも僕らがそれを理解していないとスムーズに進まないし、譲らなければ結果的に自分のセンスの無さでクオリティの低いデザインを世に送り出してしまうではないかと。

さらにいえば「あの人はデザインの細かいところも理解できるし、先進的なものにも意欲がある」と思われれば、デザイナーさんはチャレンジングなデザインを出そうと思うだろうし、やり取りがスムーズになるので価格を安くしてくれることもあります。

つまり、これはたぶんどこの業界もそうだけど、こちらに知識があれば、やはり発注する価格を下げられるんですよね。そのぶん相手が楽になるから。

きちんと理論に基づいてデザインを創れない(説明してひっぱっていけない)会社は単価が安いんですけど、それは裏を返せば発注側にそのスキルがあって指示が明確になっていれば問題ないわけです。これは単価の高いデザイン会社にも言えて、コミュニケーションコストが下がればそのぶんだけ見積もりから値引きをしてもらうことも可能だし、値引きはしなくともその余った工数を他に反映してもらうことだってできる。(なんでもいいから創ってくれりゃいいよ、よほど問題がなければなんでもOK出すよって任せるのでもほぼ同じだけどw)

発注側になると忘れがちだけど、発注を受ける会社にだって選ぶ権利があるということを忘れてはならないですよね。

一方で、これは実は受託側にも如実に影響が出てくる話で。
「なかのひと」になってよくわかるのは、拙いディレクションや設計、デザインは非常に不安になります。
受託側の人だってWebをつくることに本気で取り組んでいただいているとは思っていますが(そもそも自分だってついこの前までそっち側だったんだし)、受託というのは基本的にモノを納品したらお金がもらえるわけです。
そこの壁というのは大変大きくて、ぼくら「なかのひと」はWebサイトをつくることは手段にすぎません。それで成果が出なければ社内で立場が悪くなるのはこちらだし、逆に成果が出れば(それをきちんと評価できる会社なら)ほぼダイレクトに査定や給与に反映されます。

やっぱりそこは、受託にいた人間だからこそ思うけど、本気度や危機感が違いますね。
どんなに理屈として正しくても「これで本当に申し込みが増えるか?」というところで、恐怖感すら感じながら仕事をしています

そうなると、安心させてくれるパートナーならそこに頼みたくなるんですよ。

成果が出るのが一番良いんだけど、それに限らないです。
放っておいても自発的にプロジェクトをリードしてくれて、適切にリマインドをしてくれるディレクションでもいいし、ざっくりした説明でも良いデザインをあげてくる会社でもいいし、自社内を巻き込んだワークショップを実践してくれるところでもいいし、そして安くてもいい。

そのすべてに共通したキーワードがあるとしたら「あそこに頼んどきゃ大丈夫」なんですよね。どんなに進行が拙くても最終的に成果が出るならそこに頼むだろうし、成果はまちまちでも大規模プロジェクトをしっかりまわしてくれる、先手先手でリスクを回避してくれる会社なら、成果に対する部分はこちらが考えればいい(つまりそこに集中できる)。

「なにをバリューとしてこの単価で受注ができるのか」
というのは、受託側の人はいつだって考えておかないと厳しいと思います。
とくに大企業と伍してやりたいという人や会社は、だいたい(その大企業が)一社だけに発注することの方が稀で、常に、それこそ毎日に限りなく近いレベルで比較されていると思うぐらいでちょうどいいと思います。いや、実際そうなんですけども。
※大企業とやるだけがWebの仕事じゃないんで、それだって選択の自由があるんですけどね。どっちが良い悪いというものでもないし。

ついこの前まで受託にいて、そこから事業会社に移った人間として、「お互い頑張って、良いもの創りたいよね」っていうそういう超ありきたりな結論で締めたいと思いますw