笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

「機能」か「ベネフィット」か、なんて言ってる時点でUXなんてやめちまえ。

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いやいや、正しいんだけどね、その視点も。

これを読んでね。

uxmilk.jp

結局、結論は

「結局は、自分のマーケット、自分のプロダクト、自分が引き付けようとするユーザーを知っているのはあなたなのです。ですから、ベネフィットと機能、どのくらいの割合が一番うまくいくのかを知っているのもあなたのはずです。格言を忘れ、あなたの役に立つことをしましょう」

と言っていて、つまり「最終的には自分で考えないといけないよ」と。それはまったくもって正しい。ただ、そもそも機能かベネフィットか、そんな2択から始める時点でUXデザインなんぞやめた方が良い。と、僕は思うんよ。

 

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

機能が「ただの目立つ場所」になることもある

前述の記事では「ベネフィットだけでは信用に足りず、機能がその担保になる」と言っていて、機能も重要なことがあるよと言ってるんだけど、それはたしかに一例としては間違いではない。

けれども、機能が先に来ることもあってその典型例はイノベーターやアーリーアダプターというか、その業界の熟知者は機能を見て購入する。それはわざわざベネフィットに変換しなくても価値がわかるからなんだけど、熟知者じゃなくたって機能だけ見て買うことは頻繁にある。

たとえばここにひとつのスマートフォンがあるとする。ある。とにかくよくわからないスマホがある。

 

「連続稼働72時間」

 

という機能(スペック)がある場合、ベネフィット重視さんは

 

「2泊3日の旅行でも充電器いらず!」

 

なんて言ったりする。

これはまったくもって正しいアプローチ。

けれども、じゃあ「連続稼働72時間」に意味がないかというとそんなことはなくて、となりに68時間と50時間のスマホが並んでたら、スマホを熟知してない人でも「あ、これが一番長いしこれにしよ」となることはある。しかもたぶんかなり頻繁に。

 

「なんかよくわかんないけどこれが一番強いっぽいしこれでいいや」

 

っていうことは購入のシーンにおいてものすごくたくさんあって、そういうとき機能や数字はものすごく強い。

 

大事なのは、そのユーザーが何を考えているか(超当たり前)

ベネフィットにしても機能にしても、もっといえば価格やデザイン(見栄え)にしても、すべてはそのユーザーや消費者がどういう観点で、どういう状況で、何と比較してその商品で出会うのか、それがすべて。赤が目立つと言っても、周りが赤い看板だらけのところでは目立たない。

短絡的・・・というとちょっと失礼だけど、深く考えたくない消費者には体験の提案すら不要で「なんかこれが良いらしい」をパパっと伝えることが正義だったりするわけなのよ。そんな高尚なステキ体験の押し売りなんていらんのです。「この機能が1位!」これでいいのです。

デザインがかわいい、広い、このメーカーなら安心、なんだっていい。それぞれ選ぶ人がいるのだから。

でも、それぞれ人が違うんよ。

考えるのがめんどくさくてパパっと選びたい人もいれば、コスパ(というか安さ)だけを異常なほど重視する人もいるし、自分に本当に合っているのかとにかく相談しまくる人もいる。たとえば店員に相談する人が対象なら、実は大事なのは消費者向けのコピーやクリエイティブではなく、店員さんが気に入る(≒売りやすい)プロダクトや機能のアプローチが必要なわけですよ。

だから、それを考えるしかない。

というか、それがUXデザインだろ?

 

「常識を疑え」とか言ってる時点でUXデザインなんかやめちまえ

僕はね、この言葉が嫌いなんですよ。

「常識を疑え」と言ってるってことは「常識はだいたい正しい」と思っているからそういうフレーズが出てくる。

常識はただの多数意見でしかない。

常識なんてあやふやなものなんだけど、そういうことが言いたいわけじゃない。

そもそも個別最適を考える際に常識なんていらないんですよ。だって相手にするのは目の前の一人、特定の誰かなんだから。常識というのは相手のことがわからないときに参考にする仮説であって、そもそも相手のために何かをしようというならほとんどいらない。

そう、常識なんてのはただの参考に過ぎない。

相手のことがわからず、それでもどうしても相手にアプローチしなければならないときにだけ使うもので、いってみれば最後の手段と言っても良い。いや、実際(というか実態)は、相手のことをまだよく知らない→ファーストアプローチに使うことが多いので、最初に使うんだけども。

けれども、判断としては「致し方なく常識に頼る」ものであって、まずやるべきは「あの人はどういう人なんだろう?」と思いを巡らせ、調べることなんよ。

だってね、世の中には女王様にいためつけられて喜ぶ人だっているんですよ。つまり万人がどんなときも暴行を嫌がるとは限らない

僕はね、お礼を強要する人が嫌いなんですよ。

いや、僕自身が何かをしてもらったときはお礼を言いますよ。もちろん。うれしいし。けれども、僕から何かをした、何かをあげたときに必ずお礼が欲しいかというとそんなことはないんです。べつにいらない。だって、そんなの求めたって本音かどうかわかんないし、僕は相手が喜んで欲しいがためにやってるんであって、喜んでくれたならそれでいいのです。それが本当に達成されたかどうかは僕の欲求であって、求めている本質ではないわけで。

これを何も聞かずに理解しろとは言わない。
しかし、マナー厨の人は僕にいうわけです。

「あの人、toksatoさんにちゃんとお礼してなくてひどいね」

 

おい。

 

勝手に決めるな。

 

僕はお前のような器の小さい人間ではないのだ(ふんぞりかえるぜ)

 

こういう人間だっているんよ。それを話も聞かずに理解しろとは言わない。しかし、話も聞かずに判断をするな。

 

UXの根本って、これだと思うんよ。

相手がだれで、どんな価値観を持っていて、どういう考えで日々を生きているのか。自分の思い込みで判断せず、いつだって謙虚に、常識や定説を参考にしながらもゼロベースで考えてくみ上げていく

 

機能かベネフィットか、なんて言ってる時点でUXなんてやめた方がいいんよ。できないから。「いまは体験の時代だ!」とかいって(いわゆるベネフィット的な)体験にこだわってる時点でもうそれはUXデザインじゃない。あなたがUXっていう手法を実践したいだけだ。

 

UX系の人はとかくペルソナだ、カスタマージャーニーだ、インタビューだと費用対効果も考えず言いがちなのが、僕は気に入らないです。

ぜんぶ、手段に過ぎない。

 

 

すべては、ユーザーと成果のために。

 

それが僕の信条です。