笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

元Webディレクターが「わたし、定時で帰ります。」第4話みたよ。

【スポンサーリンク】

ええ、みました。

毎回ここをご覧になってる方はお気づきかと思いますが、

 

ええ、第3話の感想ブログをすっとばしてやりました(ドヤァ

いや、いずれ書きます。そのうち書きます。
GW中は他の文章書いてたのでドラマブログまで手が回らなかった・・・。

さて、今回の第4話は「働き方」で見るとエピソードが絞られていましたね。

「残業すな」「生産性を上げろ」と。

これを見たとき、とくにドラマの序盤で主人公の東山(吉高由里子)やそのまわりの上層部の対応が間違ってるよなぁと思いました。

結果的に問題を引き起こすことになる吾妻(柄本時生)だけど、これはその前のアプローチが間違っているから起きたことだよなと思うわけです。(まあそもそも脚本のあるドラマなんだけど)

ということで、今日はディレクターというよりマネージャー目線での私見をまき散らかすエントリです。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

ほぼ会社に寝泊まり状態のフロントエンドエンジニア

いるわー、いる。そういう人いるー!って思って見てました。でもどっちかっていうとそういうのってフロントエンドエンジニアよりディレクターじゃね?とおもって見てたけど。

「家に帰っても特にやることが無い」
「1人の方が作業が進む」

 

 

(泣)

 

 

仕事に対するポジティブな話と、プライベートのむなしさがたった2行で・・・。

 

もうおまい、そんな仕事やめちまえよヽ(`Д´)ノ

いますぐおうちに帰ってダラダラするんだ!

 

とは思ったけど、まあ(ドラマ内の)会社がそんなこと言うわけもなく。
会社は是正に走るわけですやね。

  • そんな働き方は困る
  • 上からも指導が入ってしまうし、結果として会社にも迷惑をかける
  • 定時で帰れるようにコントロールすべき

みたいなことを言うんですが、本人聞く耳持たず。また、(おそらく本来は)マネジメント担当である種田(向井理)も本人への指導を放り投げて東山に任せてしまう始末。

こりゃあかん
いや、東山に任せること自体はそれほど悪ではないんだけど(マネージャーとトレーナーが別でもそれはそれでいい)、東山自身も肝心なことがわかってない。そしてそれが物語後半で起きる事故の温床になっちゃう。

そこに、吾妻を変えるキャラクターが・・・。

 

"愛想の激安量販店"女子あらわる(しかも可愛い)

そう、ワタシは愛(想)のドン・キホーテ。

新規案件のヘルプとして、派遣デザイナーの桜宮(清水くるみ)がやって来たわけです。

もう、誰にも愛想ふりまく女性ですね。容姿もくっついてしまって、こういうタイプに一番初めに餌食になるのが異性に免疫のない人。

どうやら吾妻もそういう人種らしい。ガッツリ恋をしてしまい、しかし彼女は愛想量販店なので誰でも売ってしまう。やってまっせー愛想たくさん置いてまっせ―!その姿を見た吾妻は軽い嫉妬心を覚える。

で、彼女を振り向かせるために「出来るオレになろう」的な意識改革があったようで、めっちゃ仕事をがんばるようになる。そしてなんと、対等な立場の東山に対してこんなことまで言っちゃう。

 

「この前言ってた、定時で仕事を終わらせる方法、教えてほしい」

 

すごい。恋の力すごい。もう吾妻がんばっちゃう。超がんばっちゃう。進研ゼミだとだいたいこれでうまくいく。進研ゼミさえ入会しておけばもう人生はすべてうまくいく。サッカー部でゴールも量産しちゃう。

だが、仕事ではこれじゃダメ。

ダメなんよ。

 

恋愛を仕事の糧にしてはいけない

ダメ。絶対ダメ。
うそ、ちょっとは良いかもしれない。
でも、基本的にはダメ。やめるべき。

 

なぜか。
それは、関連性が著しく乏しいから。

仕事をがんばることと、恋愛が成就するかどうかはほとんど関係がない。もちろん、仕事をがんばってかっこいい姿を見せたり、収入が増えたりすれば相手は振り向いてくれるかもしれない。可能性は上がる。

しかし「愛される」なんてのはほとんど奇跡なんですよ。

だってそうでしょ。
みんな、「あの人は仕事バリバリできるし、お金も持ってる!」だけで必ず好きになる?ならないよね。容姿だったり、性格だったり、生活リズムなど好きになる理由は様々あり、もっと言うと本人にすら理由がはっきりしない

これは企業と顧客の関係性にも言えるけど、提供側ができるのは「嫌われる可能性をできるかぎり排除する」であり、その結果として「愛される奇跡を待つ」しかできないんですよ。「これをしたから絶対に愛される」なんてものは存在しない。そもそも、一人の人ですら常に全く同じ人を好きになるわけじゃないんだから。

せめて、すでに成就している相手(=恋人)とか、結婚している家族や子供のためなら良いかもしれない(それでも、子供が成人したらどうするんだ~という問題はつきまとう)。

もしくは、特定の相手ではなく「異性にモテるために仕事をがんばる」ならまだいい。確率はあがるだろうから。しかし、特定の相手を振り向かせるために仕事をがんばるのはやめた方が良い。関連性が低すぎて、ダメだった時のリカバリがほとんどきかないから。

 

最初のマネジメントアプローチが失敗している

結果、吾妻の恋は破れる。成就しない。
そして、やっぱり吾妻は途端にやる気を失う。
仕事をがんばったからって必ず振り向いてくれるわけでもないのに、そのために仕事をがんばろうとするからこうなってしまう。

じゃあどうしたらいいのか。

簡単よね。

 

「自分は何のために仕事をするのか」

 

これをちゃんと考えないといけない。

マネージャーは、まずここを紐解かなければいけないんですよ。

仕事でマネジメントをするような人はだいたい役職者で、ということは会社に認められてそのポジションを与えられている人。つまり、だいたいが仕事に対するモチベーションがそれなりに高い。そういう人は、すぐ勘違いをする。

 

仕事で成長して、収入も増えたら素晴らしいだろう。

 

こんばかちん!

みんながみんなオマイみたいな仕事バカじゃないんだよ!

仕事に対する向き合い方なんて人それぞれ。別に毎日毎日成長しなくてもいいし、時短勤務して子供と向き合う時間を増やしたって良い。その日暮らしだって悪いことじゃない。
仮に本人が「成長したい」と言っていたって、その度合いが人それぞれ違う。与えられた時間の中で少しずつ成長したい人もいれば、残業も厭わずとにかく学びたい人もいる。

なのに、吾妻に対するマネージャー層のアプローチはこうだったわけです。

 

  • そんな働き方は困る
  • 上からも指導が入ってしまうし、結果として会社にも迷惑をかける
  • 定時で帰れるようにコントロールすべき

 

そりゃうまくいかんわい!

 

じゃあどうすべきだったのか(僕が実際にやったこと)

まあ、結論から言うと1on1の個人面談なんですが。

でもね、同じマネージャーやってる人に「1on1やった方がいいよ」っていってもまるで通じない。というかできない。なんでかっていうと、1on1でマネージャーとして相手にアドバイスしようとするから。与えることしか考えてない。

僕は「夢を語る個人面談」と(脳内で)勝手に恥ずかしい名前をつけてこういうことをやってました。

  • 月に一回、みんなの話を聞く時間が欲しい
  • いままではマネジメント側から与えることばかり考えてた
  • みんながどうしたら毎日楽しく、未来にも希望を持って仕事ができるのか、そのためにはもっとみんなの話を聞かなければならないと思った
  • だから、月に一度15~30分でいい。話をしよう
  • 当日はこちらからネガティヴなことは一切言わないと約束する
  • 言ったとしても「こういうことができると、さらにこんな風なスーパーな人材になれるぜ」という将来に向かっての夢を話し合うような形でしか言わない
  • だから肩ひじ張らずに、構えずに、雑談するつもりで来てほしい
  • そのために、会社の会議室は使わない。近所のカフェでダラダラ話そう

なんでこんなことをするかというと、仕事との向き合い方なんてまず相手がどう考えているのかを聞かないと話にならないから。人それぞれ向き合い方があるんですよ。ということは、まず聞かないと話にならない。当たり前の話。

「成長したい」と言っても度合いがある。どれくらい努力したいのか、どれくらい仕事に時間を使いたいのか。それを聞かないといけないし、それをもとに次の話をしないといけない。

それは、必ずしも相手の言ってることが100%正しいということではなくて。

「スキルアップしたい」「キャリアアップしたい」と言ってる割に、本人にまったく危機感がなく毎日安穏と過ごしている人もいる。そういう人には危機感を与えないといけないけど、それは「ヤバイぞ」だけじゃなくて、むしろ

「キミのスキルやセンスがあれば、もっとこうなれる。この業界で言えば○○さんもそうだった。いろいろ話したことあるけど当時の彼と今のキミにそんな差があるとは思えない。キミはあそこまでいける可能性がある」

みたいな、未来の話をすることで「お、まじか、じゃあがんばる」と思ってもらわないといけない。

もちろんこれも、キャリアアップしたいと言いながら、実は本当はそこまで思ってない人もいる。そういう人はもう少し詳しく話を聞いて「そんな趣味があるなら、そこまでキャリアアップばかり見なくていいんじゃないの?」と、違う可能性の話をする必要がある。(こういう人はだいたい"仕事というのはキャリアアップに向けてがんばねばならない"という固定観念があるので)

他方で、そもそもそこまで仕事をバリバリやりたいと思ってない人もいる。そういう人はそれでいい。いや、あんまりやる気ないと困るんだけど、それは当人が悪いわけじゃない。当人の幸せは当人にしか決められないし、会社はそれにどう向き合うかでしかないんだから。

とある女性部下にはこんな話もしたことがある。

「そうか、料理教室な。いいね。じゃあそれがいけるようにこうしよう。定期的に定時で帰るべし。無理なときは僕に仕事を丸投げすべし」

 

吾妻だってはじめからそうしていればミスしなかったはず

吾妻は結果的に、当日にあげるべきテストアップを中途半端にあげて帰ってしまう。なんでそんなことしたかというと、意中のデザイナーが帰ってしまうから。食事に誘うために定時ダッシュをしたく、そのために中途半端に。

「仕事をバリバリやってモテる人に」だったらこんなことはしないはずなんだけど、仕事の糧にしているものが特定の個人(しかもまだ成就してない)に行ってしまったからこういう判断になってしまう。
※本当は特定の個人から好かれることを目標にしてもそんなことはしないはずなんだけどね・・・。

最終的に彼は東山との会話のなかで、自分がやりたいことを見つけてコーヒーショップに走る。だけど、本来は最初からこの話をしなきゃいけなかったんですよね。コーヒーショップは待ってくれるし、翌日もあるし。

仕事をがんばって、ちゃんと定時に終わらせれば早く帰れる。早く帰れれば趣味のコーヒーショップに寄る時間もできる。ここにはちゃんと相関関係がある。だから、そう簡単に折れない。
もちろん、当日しかない限定コーヒーが売り出されていてそれに間に合わない!ということもあるかもしれないけど、それとてお店に相談したり、前もって日程を確認することでタスクを前後にずらすことができる。少なくともまったく計算が立たない特定の異性を相手にするのとは違う。

だから「なんで仕事をがんばるのか(がんばらないのか)」に対してその先に設定するものはちゃんと仕事のがんばりとある程度の相関関係があるものでなければならない。
そしてそれは、ちゃんとそのひと自身の幸せや価値観に寄り添ってないと成立しない。

  • 本人の幸せとは何か
  • それと仕事はどう関係するか
  • では、仕事とどう向き合うべきか

マネージャーは、こういうことをちゃんと本人と向き合って紐解いて対応しないとダメで、自分の正義を振りかざしてちゃダメなんですよね。

働き方は人それぞれで、だからこそ自分はどうしたいのかをきちんと自分で選べなきゃダメ。と、これまでこのドラマ感想エントリで書いてきたけど、マネージャーはそれをアシストしてこそ、マネジメントなんだと思うわけです。

 

さー、第3話いつかくべか。