新年あけましておめでとうございます。
気づいたら前の投稿から3か月近く経ってしまっていて、何か書きましょうぞと、そういう話です。
これを読んで。(ブコメも残したけど大したこと書いてないのでスルー)
がんばってるなぁー、という思いと、もったいないなぁという思いと。
まあとりあえず情報は(強弱も含め)ちゃんと整理した方が良いと思う。
実はいっときだけ出版業界に身を置いていたこともあるので、書店や書店員さんの話は結構好きだったりする。
というのもあり、ではどうしたらいいのだろう?というのをWebマーケの人として書いてみようかなと。
そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。
見る方向は間違ってないと思う
「Amazonには絶対に負けないと思う」という非常に大きなフレーズから始まってるんだけど、方向性は間違ってないと思う。そしてやり方次第ではAmazonにも勝てるさ。
んなあほなっつう話だけどそもそも勝ち負けの定義が設定されてないのでいかようにもできる。
そりゃ1店舗が売り上げや冊数で勝つのは不可能だけど、たとえば「本探しを楽しむ体験」だったらじゅうぶん勝てる。(そしてたぶんtweetしてる書店員さんが言ってるのもそういうことだと思う)
どう考えたって在庫数でネット書店にはかなわない。
そうなると、すでに本を選び終えている人のニーズに対してアプローチしていくのは得策じゃない。つまり「この本が買いたい」という人をメインターゲットにしていくのはなかなか難しいと思うんよ。(もちろん完全に捨てる必要もないと思う)
一方で、Amazonをはじめとするネット書店はまだまだ「楽しみながら新しい本を探す」には向いてないと思う。ぜんぜんウキウキしない(ってのは言い過ぎだけど)。
やっぱり大量な書籍に囲まれながら、ポップなんかを眺めたりしてときには手に取ってパラパラとページをめくって・・・というリアル書店の体験は強い。そこはネット書店にまだまだ大きく差を出せてる部分。
では問題点は何か。
僕が思う問題は2点。
1.情報の設計や装飾が不適切
2.情報の中身が検討されていない
1.情報の設計や装飾が不適切*1
「デザイン」というのは装飾をすることだけじゃない。
装飾をしないこともまたデザインで、もっとフラットに言えば「何を装飾して何を装飾しないか」を決めるところもデザイン。
その辺については前回のエントリでも書いた。
デザイナー版と素人版を比較して、決して素人版がダメなわけではないし、必ずしもすべてのシーンでデザイナー版が優位になるとも限らないよ、と書いた。
でもこれは、どちらも「どこに」「何が書いてあるか」がわかるという前提をクリアしているから、同じ土俵で話ができるわけですよ。
その点が、件のtweetの棚(写真)はきついと思った(あくまで僕の感想)。
Amazonには絶対負けないと思ってるんだけどなぁ…もしかして、もうこういうの求められてないの?読んでみたいって、心を動かされないの…? pic.twitter.com/J2IKY6fnpP
— ほんまくらぶ.com (@honyanohomma) 2020年1月13日
とくに1枚目の写真なんだけど、様々なところが装飾され、さらに書籍自体の装丁(カバー)も書店で目立つようにデザインされてるから、どこに何が書いてあるのかがわからない。
誤解の無いように言うとこういうのが好きな人もいるんよ。
なんというか、盛りだくさんでわぁあああ、どれから見よう!みたいな。
しかし、それはよほどの本好きの話。
おもちゃで言えば誕生日プレゼントを、目をキラキラさせながら探している子供みたいなもの。本屋にそんなテンションで来る人はさすがに限られているかと。
推したい本がたくさんあるのは痛いほどよくわかるんだけど、あれもこれも推すというのは、もうそれは何も推してないのと同じ。すべてが無で何も推してないのは静寂(正確には秩序?)なんだけど、あれもこれも推しが乱立していて推しが定まらない状態を人は"カオス"と呼ぶ。
たとえばポスターをつくるとき。
僕は上司や先輩からこう言われてきた。
「情報の入口と出口をつくれ」
ポスターって一枚なのにこの人は何を言っとるん?と思った。
しかしそういうことじゃなかった。
たとえば電車内でたまに見かけるこのポスター
https://www.ipodwave.com/news/20181017.htmより
このアホっぽい感じが僕は好きなんだけどw、
趣旨としては、セブン銀行ATMでSuicaやPASMOなど様々な交通系電子マネーのチャージができるようになったことを言いたいんでしょう。
しかしこれを、「SuicaももちろんPASMOもICOCAもnimocaも、なんならEdyもチャージできるようになったよ」と全部をいきなり説明したって誰も読まない。
だから、まずATMのイラスト+「チャーーーーーーーージ!」っていうキャッチコピーで「ん?」と思わせて、それに注目した人にその周辺にある詳細情報を読ませる。興味を持たなかった人は読まなくていいし、興味を持ってくれた人ならそのまま読んでくれる。
つまりここには、情報の動線(設計)がある。
もっと字が多いポスターだとこんなのもある。
理屈は同じ。
↑の書店の棚についても全部を華美に装飾するんじゃなくて、たとえば一段のなかで一番左だけ装飾して、あとは簡単な同じデザインの紹介カードを置くだけでぜんぜん違うと思う。要は、何を最優先で見せるか、という話なんだけども。
僕はですね、あれだけの労力をかけられるってのはめちゃくちゃ素晴らしいことだと思うんよ。書店員さんにはそうであってほしい。好きな本を目いっぱいおススメしてほしい。そしてその熱い気持ちと労力を装飾することではなく、情報をアウトプットする方に向けてくれるだけでいいんじゃないかなと。
これだけ熱いものを持った書店員さんが、たくさんの書籍一つ一つにしっかりした紹介文を書いてくれたらそれだけでもワクワクするかもしれない。
2.情報の中身が検討されていない
実は、僕はこれのほうが問題だと思っている。
以前に書店の棚づくりやポップを調査しているときがあって。
誰もが知ってる大型書店に行ってみると、ポップが乱立してるだけでなくデカデカと書籍名を書いていて。
うん、ワシ、それ知ってる・・・。
っていうか本に書いてある・・・
何ならプロがデザインしたものがカバーに書いてあるよっていう。
その書籍を直接探している人には良いんですが、前述のとおりその人ばかりをターゲットにしていてもネット書店に勝てない・・・。
件のtweet写真にも「直木賞候補作!」というポップや棚があったんだけど、それほどに知名度もニュースバリューのあるものは放っておいても日本中に情報がまわるので、どっかにひとつコーナーがあればそれで事足りるはずで。
要するに単一書籍も直木賞候補作も同じなんだけど、Webでいえばそれは指名検索と同じで。そういう人を相手にするなとまでは思わないけど、そういう人は放っておいても店内を(その場で)ぐるっと見回すぐらいはしてくれるので、そのときにちゃんと見つかるようにしておけばいい。
ものすごく雑に行ってしまえばトイレとか非常口の案内看板と同じ扱いで良いぐらいで(本当に同じところに並べたらダメだけどw)
「何をポップにして伝えるべきか」
これをもっと検討した方が良いんじゃないかと、思うんよ。情報設計をやってる身としては。(Webマーケじゃなかったのか)
じゃあどうするのか。
ここから先は、書店業界に関する素人が「こういう風な書店あったら行ってみたいなぁ」っていう現場の問題を放り投げまくった思いつきなので、書店業界の皆様におかれましては、アホみたいなアイデアのネタぐらいに思ってくれるとありがたいです。
カテゴリごとの書店員おすすめランキング(定期)が見たい
いまでもおすすめランキングぐらいはあるんでしょうけども。
いや、あのね、ぼくサッカーファンなんですよ。
めっちゃ好き。ドーハのころから見てる。好き。
で、当然サッカー系の書籍も好き。
戦術系も、選手のエッセイ的なのも。
でも、いまって雑誌の広告とかネット上のバナーとか、あとは選手自身の告知とかそういうので書籍の存在を知るしかない。
それに大きな不満があるわけじゃないんだけど(まあ好きな選手なら情報追ってるし)、これだと自分が追っている以外の書籍の情報が入ってこない。
そういうとき、たとえばどっかの書店の書店員さんが選んだ、サッカー系の書籍だけの、さらに書店員さんの独断による「おすすめサッカー書籍ランキング」があったら見たい。その人がサッカーファンで、さらにそれが月とか週で変わるなら通ってしまうと思う。
たとえば、メルマガでもLINEでもTwitterでも良いんだけど、それが定期的に届くものならたぶん登録する。
で、その内容が「今月のおすすめサッカー書籍TOP10!」というもので、しかし「TOP3は当店の棚をぜひ見に来てください!」とかなら、行ってしまう。おい、気になるぞと。
で、さらに前述のように華美な装飾はいらなくて、TOP10すべてにその書店員の暑苦しいレビューがあったらうれしい。読んじゃう。そして買いたい。
いやー我ながらこれ、書店員さんに負担かける話だなーw
しかもこれ全カテゴリはぜったい無理な奴だw
まあそれは店舗の個性としてカテゴリを絞るなりすれば良いかなとは思う。でも、そうしたとしても書店員さんは大変で、これをやるにはマジで本が好きな人しかできない。が、それはそれで良いのかなと思うんよ。
もちろん書店員さんに全額自腹を切らせるような仕組みだと絶対アウトだけど「あそこの書店員になるとタダで(もしくは格安で)本が読み放題だぜー!」となれば、良いのかなぁとか。
もっと言うと、そのメルマガなりLINEなりからの来場率をQRコードなんぞや(謎)で取れるようにして、その書店員さんが自分のおすすめ棚をつくることが楽しくなると良いなぁと、ワタシ思うとります(誰)。
リアル店舗だからこそ地域と絡んでみてはどうだろう
「書店の地域コミュニティ化」とか、あるらしい。
イベントを開いたり、特定の趣味の人を集めたり。
それはそれでいいと思う。
ただ、ごめん、ワッシ人見知りなんで、書店で人と出会いたいわけではないんや・・・。
あくまで本と出会いたい。(とかいうほど読書家でもないんだけど)
えーと、前から思ってたんですよ。
「ショップ店員のおすすめとか、ここに並んでたらいいのになぁ」って。
それなりの規模の書店って、モールとか商業施設に入ってるじゃないですか。
ってことはそこにアパレルショップとかたくさんあるわけですよ。
そこの店員さんのおすすめファッション本コーナーとかあればいいのに、と思って。
ショップ側にも案内が出てて。
「当店ショップ店員の〇〇がおすすめ本を選びました!ぜひ△△書店さんに行ってご覧になってみてください!」
とか。
もちろん書店側にも「あのショップ店員さんが選びました!(顔写真付き)」と書いてあるので、相互にお客さんの行き来になるかなーって。
アパレルショップだけじゃなくて、ラーメン屋さんが選ぶレシピ本でもいいし、スポーツ用品店の店員さんが選ぶスポーツ書籍でもいいかもしれない。そして書店側には割引クーポンなんぞ置いてみたりして?
わかりやすいので商業施設って書いたけど、別に駅前の書店でも良くて。要するに同じ地域にある、同じ住民が行くであろうお店ならどことだってコラボできるんじゃね?と思ったり。
なんならこれで書店側はわずかでも広告費をとっても良いのでは?と思ったりもしているけど、それはまた別の話ということで。
まとめ
というわけで、かなり理想論っていうか僕が欲しい書店の話になりました。
どう考えてもデメリットもたくさんあるので、まあ、アイデアのネタというか、ガラクタばかりのおもちゃ箱の中を覘いたつもりで受け取ってもらえるとうれしいんでありますん。
ではでは。
*1:※「情報のデザイン」って言ってしまいたいけどそうすると「情報デザイン」になって範囲が広くなってしまうのでやめた