笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

CSS Nite LP40「体制作りからクライアントを巻き込むディレクション術」に行ってきた。

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久しぶりにCSS Nite がディレクションについて取り上げるということで、最近WebSigぐらいしかいってねーなじゃあ行ってみるかというよくわからん動機から参加してきました。

 

CSS Nite LP40「体制作りからクライアントを巻き込むディレクション術」

 

今日はその感想的なおはなしおはなし。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいディレクターのおじかんです。

 



 

全部を説明しているとスゲー長くなる&それはお金払った人に失礼になるのでしないでおきます。あと、それじゃ僕がここで書く意味が無いしw 各セッション3行程度の箇条書きにしちゃいます。

※以下、登壇者の方は敬称略です。

※セッション内容すっとばして感想読むってひとはここクリック

 

仲間がいることがプロジェクトの制約を超えていく!チームビルディングが一番大切なその理由とは?

【登壇者:重松 佑(株式会社ロフトワーク)】

・共有ではなく共感ごとを増やす(合意でもない)

・つくってから考える。成果物を決めない

・全体的に「理屈」ではなく「感情」を大事にプロジェクトをまわしていく、みたいなお話。

 

短時間勤務のママさんディレクター直伝「時間」をクリエイティブに操るコツ

【登壇者:中村 朋子(株式会社コンセント )】

・子育てや介護で時短勤務せざるを得なくなり、それが自分だけじゃなくチーム内にもいた

・だからコミュニケーションなどの無駄をいかに減らすかが大事

・そこでバージョン管理システムを入れたり、俯瞰でパッと見れるようにスプレッドシート使ったりして、とにかく工夫した。

 

ハートに近づくWebをつくるために、Web以外のこと「も」考えるようになった

【登壇者:西本 泰司(株式会社ロフトワーク)】

・UX大事で、そのためにはPCの前に座ってたらだめ

・インタビューとかしたり共創とその仕組みを定義することが大事

・「上司の目が共創の阻害要因のひとつ」という風に実際にインタビューなどしてわかることがある

 

LT枠(一人10分程度?)はまとめちゃいます

以下、LT枠は1行でいきますw(すみません)

「ディレクションスキル 本来の領域について」【登壇者:中村健太(日本ディレクション協会 会長)】

・ディレクションの勉強だよねいっぱいあってね&ディレクション協会の紹介

 

「中小企業を活かすポジショニングとブランディングの作り方」【登壇者:高田 信宏(NPO法人クリエイター育成協会)】

・ランチェスター戦略に基づいたWeb戦略のお話

 

「ディレクションのわかることわからないこと」【登壇者:岸良 征彦(一般社団法人日本Webソリューションデザイン協会)】

・「Webディレクション検定®」の紹介&クイズ

 

「クライアントのモチベーションを上げるディレクション術〜お客様インタビューのススメ〜」【登壇者:井水 大輔(株式会社S-FACTORY)】

・クライアントは意外に自分の本当の強みを知らない。それは直接ユーザー(お客様)にヒアリングすべし!それでモチベーションも上がる

 

大型メディア構築・運用における、プロジェクトマネジメント

【登壇者:大隅 直樹(株式会社インフォバーン)】

・オウンドメディアつくってるけど、スモールスタートが基本(クライアントもそれを求める)

・PMの下にWebディレクターとコンテンツディレクター←個人的にこれは勉強になった

・仕様なんてFixしない

・なんでオウンドメディアにこんな大金つぎ込んでるんだ、と上層部に言われても良いように、ちゃんと目的を設定している

 

クロージングトーク:プロジェクトチームとセレンディピティ

【登壇者:諏訪 光洋(株式会社ロフトワーク)】

・イノベーションが求められる昨今、「プロジェクト」の先にある何か

・いま大事なのはコミュニティデザイン

・開発者を巻き込んだ「B to D (Business to Developer)」が流れとして出て生きている

 

 

…という感じだったんですはい。

やっとここから感想。

まあ、いつもながらにCSS nite LPはぼりゅーみーだね!ってのはあるとして。

べつにいいんだけどそれは。(ありがたいっちゃありがたいですし)

全体のセッションを見てると半分くらい、いや6:4ぐらいの割合でUX関連の話が多かったなぁという印象。

僕はWebディレクターという職種の中でも、割とそっちというかUXとかIAとか言う方の側の人間なんでそれなりに楽しめたから良いとして、それで良かったんだろうかってのはモヤモヤしますね。

 

 

とりあえず、夢物語じゃ意味ないと思うんだよね

ロフトワークさんがひたすら「共創だぜ」的な話をされていたり、インフォバーン大隅さんが「仕様なんてFixしない」「考えさせる/教育/チーム意識」っておっしゃってたりして、どれもその通りだとは思うんですけど、これそのまま鵜呑みにしてもなぁ、という想いがぬぐえなくて。(ちなみに個人的にはインフォバーン大隅さんのセッションが一番響きました。マジ共感俺まじストマジ(謎)。この人と飲み行きたいとか思ったマジで)

 

とくにUXDというかHCDの手法をチームビルディングやクリエイティブに取り込む形を説明されているセッションが多かった気がしてるのですけども、それって予算とか見積りの話とセットじゃないと意味が無いと思うんですよね

 

いや、あのー、無駄じゃないですよ。ぜんぜん無駄じゃない。でも、結局それって時間とお金もかかるんですよね。ロフトワークさんのどなたかだったかが「打ち合わせはしない」「ワークショップにする」と言ってたんですが、それだって費用が掛かるわけで、いちばん楽チンなのは打ち合わせすらしない=ぜんぶ一人で決める、なんですよね。打ち合わせもワークショップも手段に過ぎなくて、結局「一人では正解がわからんからみんなで考える」というためのものであって、ブレストなんかせんでもわかるんだったらさっさと決めちゃった方が早いわけです。はい。

 

これはどっちかっていうとセッション内容よりもそれを聞いた人の問題になっちゃうわけですが、鵜呑みにしたってダメだし、「ほとんどのことは手段に過ぎない」という意識を持たないと、ユーザーの声を聴くべきだ!グループインタビューしましょう!ストーリーボードつくりましょう!リアルタイムドキュメンテーションわーい!って持ち帰っても、まあ、たぶん現場は嫌がるでしょうしょうね。ほとんどの人は現状から何かを変えることを嫌うし(このセミナーに来なかった時点でそういう人である可能性が高い)、作業工数が増える提案など嫌でしかない。

 

変えたいなら、経営層や見積もり作ってる人にアプローチすべきだし、それでもたぶんとても難しい。経営層にその気がありゃさっさとやってるよって話なので。「クライアントと共創する」なんて今に始まった話じゃなくて、それこそ数年前にワンパクの阿部さんだっておっしゃってたことで。

 

 

一番大事なのはパッションじゃないかなぁ

だから、僕は個人的には、セミナーで伝えるのってデフォルメ化した手法(=詳細なやり方じゃない)と、「それがなぜ必要なのか」という熱意じゃないかなぁと思うんですよね。いや、だって、セミナーで数時間見聞きしたぐらいで手法なんて身につかないじゃないですか。何かが得られるとしたらその登壇者の熱意というか。「この手法イケてるんだぜ!なぜなら、いまこういう問題が多いからな!おまえらもやるといい!」ぐらいでちょうどいいんじゃないかなーと(口調はともかくw)。

 

そういう意味で言えばコンセント中村さんのセッションは、一つ一つはディレクションの基礎的(=普遍的なことだから実は実践は難しいんだけど)なことが多かったけど、それらはやっぱり手段に過ぎず、根底に「時短で働く人もそうでない人もみんながハッピーになれるように考えたい」っていう熱意みたいなものがあって、良いなぁと思いました。

 

こういうところに来ている以上、まあ、みんな勉強熱心だとは思うんですよ。でもその人たちに手法そのものを伝えても、結局実践できなくて終わるというか、手法なんて極端な話をすれば本見れば載ってることがほとんどで、それ見てやればいいんですよね。でも、まあ、だいたいできない。社内で反発くらったり、現場が疲弊して終わるだけだからw

 

具体論的にいえば「もっていき方」があるといいなーと

「リッツカールトンは素晴らしい!」「ディズニーランドのホスピタリティのここがすごい!」とか言ってもあんまり意味なくて、そりゃだってリッツカールトンはそれだけの料金を取っているし、ディズニーランドのブランド力たるや凄まじいものがあって、どちらもそれありきで成り立っているものに対して、その手法だけ取り入れても意味が無いというか、まあ、できないんですよね。聞いてる人はリッツカールトンの人じゃないから

 

でも、リッツカールトンの手法から何かを感じ取って自社のサービスのどっかにエッセンスを盛り込むぐらいのことはできると思うんですよ(無論、それが必要である前提ですけど)。

そのときに、どうやったら社内の反発を防げるか、どういうアウトプットがあればクライアントが「巻き込まれることに共感」してくれるのか、その辺とセットじゃないとあんまり意味が無いんじゃないかなーと。まあ「現実的にできる部分が盛り込まれているか」っていうだけなんですけど。

 

その観点からするとインフォバーン大隅さんの話のほとんどは「やろうと思えば明日からでもできる」ってことが多くて、勉強になりました。それはコンセント中村さんの話も同じで、Backlogはともかく(金かかるから)、スプレッドシートでの管理とか、そこで案件コードをちゃんと持たせて判別できるようにするとか、日々のコミュニケーションをちゃんとする(これは大隅さんも中村さんも共通だった)とか、日々の意識からできることだったので、良いなぁと思いました。(って、書いてて思ったんだけどw)。そうそう、井水さんの「意外とクライアント嫌がらないから”お客さんにインタビューしましょう”って言ってみるといいよ!」ってのもそうですね。

 

 

いや、けっしてUXまわりの話が意味が無かったとは思わないんですけどね(笑)

でも、僕はやっぱり手法ってのは基本的に手段の一つでしかないと思っていて、大事なのは目的の設定とそれを忘れないこととw、そのために適切に手法を選んでいくことだと思うし、多くの人にはその「考え方」こそ、手法より大事なんじゃないかなーと思います。(=なぜこの手法がいま必要なのかって話と、どう取り込むかって話と)

 

ああそうそう、その流れで言えばディレ協:中村さんが言ってた「今日の内容はアウトプットしなきゃ何の意味もない」という、その意識や考え方こそが最も大事な気がしました。

 

はい、例によって長くなりました。

実はもう一つ「リスクは誰が持つのか問題」について書きたかったんですけど、それはまた今度。