笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

クライアントのビジネスを想像すること。

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超ほとぼりが冷めた頃にすっごい前の話をするというのが僕のスタンスです(嘘)

 

今はもうやめてしまわれましたが、以前twitter上で超エクセレントスーパーWebコンサル制作会社(言い過ぎ?w)のbeBitさんが主催していた「beBitQ」という、Webユーザビリティに関する○×や選択方式のクイズがありました。

 

僕、これ面白くて良く参加してたんですよねー。

確か、7割~8割は正解していたと思います。たぶん。

ハッシュタグつけてぶつぶつとつぶやいていたので、それがきっかけで僕をフォローしてくれた方もいたなぁと思います。はい。

 

で、その数ある素敵わんだほーなクイズの中でも、特に一番好きだった問題があるのですはい。解いててワクテカしてたというか、なんというか。その問題はそれ以外とは少し毛色が違うもので、beBitQはどちらかというと所謂狭義な意味でのユーザビリティというか使いやすさ、使い勝手に言及しているもの(サムネイルはどっちに置くべきかとか、ラベリングはどちらがいいかとか)が多かったのですがその問題はどちらかというともう少し上位の、広義なユーザビリティというか、UIよりはIA?IAよりはWeb戦略?に近いような問題でした。

 

で、その問題はこれです。(beBitさんまだとっておいてくれてありがとうです)

http://www.bebit.co.jp/bbq/2009/11/post_1.html

【○×】Q.カタログ通販のレモールさんはある意図をもってサイトリニューアルした結果、売上げがupした。その意図とは、カタログを見て買うと決めて訪問したユーザが商品を迷わず購入できるように、トップページの「カタログから探す・買う」導線を強化することである。○か×か?



正解は×です。

 

僕は正解しました。

っていうか、簡単じゃんって思ってました。(別に自慢じゃないですよ、ほんとに)

でも、かなりの数の人が不正解でした。(別に自慢じゃないですよ、ほん(ry)

 

とりあえず、『「カタログから探す・買う」動線はむしろ下げられてるじゃん』とそもそも思っていたのですが、まあ、それはその前の状態を見ないとわからないですからね。もっと見づらいところにあったかもしれないし。(実際、「そんなの前の状態を見なきゃわかるわけがない」っていうツッコミは結構見た気がします。そして僕は中の人を労った記憶がありますw)

 

結論から書きますが、僕はこの問題は全てのWeb屋が外してはならない問題だと思います

 

そして、ある一つの観点からすれば物凄く簡単なクイズで、割とほぼ誰でもが正解できると思います。

狭義な意味でのユーザビリティ、UI設計における「使いやすさ」というのは、それなりに王道はあるもののやはりユーザの利用シーンによって真逆の結果になることもあり、一概に「こっち!」とは言えないと思います。(故に、beBitさんのようにユーザテストをきちんと、頻繁にする制作会社さんは成果が出るのですよね。素晴らしい。好きです付き合ってくd(ry。)

 

でも、この問題の質はそういうものではないと思います。

ある程度「そりゃこっちだろう!」で思考すべき問題だと思うのですね。

もう極論ですが、サイト見なくても答えられちゃうんじゃないのかなと思いますw

出題事例のサイトは、答えの確認のために見る程度でもOKな気がします。(この問題は、ですよ)

要するに、問題文の時点で既に「違うな」と思うわけです。

 

"カタログを見て買うと決めて訪問したユーザが商品を迷わず購入できるように、トップページの「カタログから探す・買う」導線を強化"して、売上がUPするってことはそもそも無いだろうと思うんですよ。

 

まあ、だいたい「カタログを見て買うと決めたユーザ」なのだから、通販全体の売上はそう変わらないはずなんですよね。ハガキで買うか、ネットで買うかの違いなのですから(利便性、アクセシビリティの向上によって多少売上に貢献することはあるとは思いますが)。仮にネットからの売上が飛躍的に伸びたのなら、たぶんハガキでの売上は下がってると思うんですよね。で、それをそもそも大成功というのか?という話もあったりするわけで。

で、こういう思考は当然にあったのですが、僕が一番初めに違和感を感じ「うーん、それはないんじゃないかなー」と思ったのは、その思考のもっと土台になるたった一点の考えです。

 

「リニューアルしてカタログユーザへの動線を強化するってことは無いだろう」

 

と思うわけです。

それをするということは、今までそうしてなかったということじゃないですか?

でも、どう考えてもカタログ通販の企業が、今までにカタログユーザ向けの動線を無視してくるはずはないと思うんですよね。仮に全くWebサイトが無いところから新規に立ち上げるとすればそれは、まず一番初めにやることは「カタログの商品をネットでも注文できるようにしよう」となるのが自然だと思うんです。っていうか、そこを無視してサイトを創るってのも本来おかしな話ですからね。自社に一番近い顧客を無視して、潜在顧客に先にアプローチするってのはビジネスの展開としてはまずありえないと思いますから。(仮に僕がカタログ通販が好きで楽しみにしてたら「カタログの商品は注文できません」なんてサイト創られたらムカつくしw)

 

だから、リニューアルしてカタログユーザへの動線を強化するってのは基本的には無いと思うんですね。それ以前に既に着手して無いとおかしいから。もし仮にそんなことがあるとしたら、それはそれ以前のサイトでユーザビリティなのか機能なのかで大失敗してスタートラインに戻った状態か何かだと思うので、それで「売上UP」とは言わないはずだと思うし。

 

前述の「ある一つの観点からすれば物凄く簡単なクイズで」の「ある一つの観点」というのは、つまり「クライアントのビジネス視点」です。全くそれです。カタログ通販企業のサイトが立ち上がり、リニューアルするというステップを踏んだとして、そのビジネスとしてのステップは当然のように「カタログ」を中心に形成されているはずであって、そこからどう発展していくのかという形になるはずです。契約している顧客、顕在顧客、潜在顧客とサービスを展開していくわけで、自社に近いところから足固めしていくのは基本的なことだと思います。そして、成熟のフェーズとしては、核となるカタログ通販のビジネスを足場に、そこから次の顧客、潜在顧客や潜在ニーズ・・・なんて固いこと言わずとも、「カタログだけじゃなく、他の場所からでも気付きを持ってもらって、新規の購入を増やす」となるのは、大概の企業のストーリーだと思います。

で、そういう目線で見ると、もうバッチリとTOPページはそうなっているんですよね。

 

なんだか僕がスゴイ!と自慢しているみたいになってしまってますが・・・。

いやいや、そうではなくて、僕なんかマーケティングもかじってる程度だし所詮は弱小ITベンチャーの弱小Webディレクターなんで、大したことないんです。スーパーエクセレント制作会社(何処)に行けばこんな輩は掃いて捨てるほどいるのですよはい。でも、大したこと無くても、このぐらいの意識というか、こっち側(ビジネス側)から見る意識は、僕は営業さんだろうがデザイナーさんだろうがマークアップエンジニアさんだろうが、Web屋なら全員が持っているべきだと思うんです。

 

物凄いビジネスロジックを持てということではないんです。

僕らWeb屋はいったい何のためにWebサイト創ってんのかってことなんです。

売上UPに貢献することであるし、お問い合わせを増やすことでもあるし、直接的にお金に貢献しなくとも、エンドユーザの問題解決を促進してブランドという経営価値を増大させることのはずです。それならば、相手のビジネス無しに創れるはずないですよね。グラフィックデザインをしてるわけでも、システムのみをつくってるわけでもなく、ビジネス戦略の下にぶら下がるWeb戦略の実践する場所を創っているわけで。

 

カタログ通販企業のビジネスを少しでも想像し「どんな経営、どんなサービスしてんだろ?」と考えていれば、(相当特異なケースでない限りは)「カタログユーザへの動線は一番初めに確保してきたはずでは?」となるはずだと思うんですよね。

 

自分達は何を創っているのか。

いつでも、意識すべきことと思っています。(制作に没頭するとうっかり忘れがちなので・・・)