笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

デザインを複数パターン出すのってちょっと違う気がする。

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Web屋の本来成すべきことって、恋愛コンサルティングに似てると思います。

別に、コンサルティングであれば恋愛コンサルでなくてもいいんですが(笑)

しかし、ブランディング=ファンの獲得という意味で捉えれば、似たような性質なのは間違いないと思います。

相談者である男の子の性格、個性、環境、長所、短所を把握し、できること、できないことを整理し、強みを最も伸ばす手法を、行動から言動、髪型、服装、体型にいたるまで全てのスタイルを提供する。というのが、「異性にモテる」という満足体験を与える恋愛コンサルタントの役目ですよね(そんな職種が存在するのか謎ですがw)

ただ単に流行のファッションを追いかけてもしょうがないし、流行のカラーだからとその色でコーディネートすればよいわけでもない。短髪が人気だから誰も彼も短髪にするのもおかしいし、必ずアクセサリをつけさせるというのもちょっと違う。

全てが間違っているということではなくて、上記のものはあくまで手法であり「彼を異性からモテモテにするため」という最もあるべきスタンスがないと意味が無い。そもそも、どんな男性でもあらゆる女性からモテモテにする・・・・なんてことは不可能だと思います。それこそ、個性もあるしものすごく失礼な話をすればやっぱり顔が良い人の方がモテるに決まってる。しかし、恋愛コンサルがすべきことってそういうことじゃなくて「現状の相談者」から「彼にあったベストなスタイル」を提供することで「本来、彼の魅力を求めている人にモテるようにする」ということだと思うんですよ。

短髪が似合うならそうすべきだし、体型を隠すようなファッションが良いならそうした方がいい。

けれど、彼の性格や生活スタイルを考えると体型を隠さない方が実はモテるのかもしれない。

大事なことは手法ありきになるのではなく

 ・彼の個性、強みは?

 ・彼の弱みは?

 ・ターゲットとするべき女性はどんな女性?

 ・その女性はどんなものに魅力を感じる?

 ・それにどういう手法で応える?

ということを、経験や知識をもって問題解決をしてあげなければいけないと思います。

だから、そういう風に考えると、例えば

「僕は週に5日は部屋にこもっていて1日だけ彼女に電話して、月に一回だけ彼女と部屋で会うだけの生活がいいんだ」「でも、丸の内OLのような人にモテたいんだ」

と言われたら、それを鵜呑みにするのではなく「その意識では丸の内OLは振り向いてくれない」ときちんと伝えるべきだと思うし、「常にガンダムを持っていたいんだ」という人に対しては、「あなたの求める人はガンヲタですか?」と問わなければいけない。なぜなら、恋愛コンサルは服やアクセサリ、流行のヘアスタイルを提供しているのではなく、それらの手法を駆使して「女性にモテること」を提供しているのですから。

相談者の意思が入り込まないわけではありません。

結局、本人が納得しなければ満足しませんから。

しかし、本人の満足とは本人が望む手法の提供ではなく

「(女性に提供できる)どんな魅力を持った男性になりたいか」という

理想の男性像、人間像の抽出です(コンサルはそれを明確化する)。

その仮定でターゲットとする女性を変えるべきかもしれませんし、自身が変化すれば良い事かも知れません。それこそコンサルであり、「今の相談者」からどうやってベストな形まで持っていくのかということを提案することが必要ではないかと。つまり、「どんな女性にモテたいか」ということも「今の相談者の資質」によるものが当然大きいわけで、あまりにかけ離れていたらそれは無理だと思いますし、無理なものは無理と伝えるのもコンサルの仕事だと思います。

僕は恋愛コンサルタントでも目指しているんでしょうかw

いえいえ。

Web屋だって同じだと思うんです。

Webの技術や小手先のビジュアルを提供しているわけじゃない。

クライアントのビジネスを踏まえ、長所、短所を洗い出し、ユーザにどんな価値が提供できるのかを明確にし、それに基づいてWebですべきこと、Web以外ですべきことの整理をした上で、Web戦術の手法を提供する。それにより顧客満足を獲得し、ブランディングとして成果を残し、クライアントのビジネスに貢献する。それがWeb屋のやるべきことであって、クライアントが求めるクライアントの好みでしかないビジュアルや技術を提供するというのは全く持って違うというか、自身が何を創っているのかわかっていないんじゃないかと思います。

で、ここからがちょっと恋愛コンサルとの違いなのですが、恋愛コンサルの場合、例えばファッションや髪型において「自身の満足のみの選択」というのはありだと思います。「おれはモヒカンにしたいんだ!」って言う人は、すればいい。なぜならモテるためだけに生きているわけではないから。コンサルとしては「それではあなたが求める女性にはモテませんよ」と伝えればよいだけのこと。それでモテることをあきらめるならそれもまた人生じゃないでしょうか。

しかし、企業やビジネスは違う。

お客様にサービスをし、対価をいただくことで成り立っており、それが「目的そのもの」ですよね。

「我が社はお客様に向けたサービスじゃないこともやっていいんだ」というなら、それは「誰のためにもならない仕事をしています」と社員が言うのと全く同じで、少なくともビジネス、仕事、業務ということにおいてそれはありえない。そう、だから、ビジネスとして使う以上、Webサイトに「社長の意向なので写真を載せる」なんて思想はありえないし、あってはならないはずなんです。恋愛コンサル的に言えば「モテるために活動している」のだから。

だから、僕は「クライアントの好き嫌いなんてどうでもいい」と言ってしまったりするわけです。

好き嫌いというのはビジュアルデザインとか技術の話です。ビジネスとして好き嫌いは必要だと思いますから。

ということは、我々はユーザアプローチのプロでなければならないと思うんです。

そのプロが、クライアントに向かって「デザインを3パターン作成しました。どれがいいですか?」なんて、何を言っちゃってるんですか?という話だと思うんです。クライアントのビジネスを整理し、ともに議論を重ね、ユーザニーズの把握、ユーザシナリオによるユーザ視点の設計を経てWebですべきこと、ユーザに与えるべき価値を導き出したにもかかわらず、そこからデザインを選んでくださいなんていうのは、一番やらなきゃいけない仕事をクライアントに投げているようなもんだと思います。

恋愛コンサルの話と一緒です。

「モテるようにする」って言ってんのに、

「5パターンのファッションを提案しました。選んでください」って、

相手にしてみりゃ「え?どれが一番モテるのかを選んでくれるんじゃないの?」っていう話じゃないですか。(上記のとおりファッションの場合、本人の直接的な満足も考慮すべきなのでありだとは思いますが)

デザインには機能がある。

ユーザが決まっていれば、必要な機能は自ずと導き出される。

つまり、デザインも導き出されるはずなんです。

ユーザの求めるものが決まっているのですから。

複数案出すのが間違いというわけではないです。

たとえばプレゼンのための捨て案として用意するのは、クライアントが比較しやすくなるので良いと思います。また、ユーザが決まっていても細かい部分のパターンはあると思いますので、そういう意味で複数案出すのはありだと思いますが、それも派生でしかなく、たぶん1案でもそんなに変わらないはずです。それを、全くテイストの違うパターンを複数持っていくというのが、僕は大間違いだと思うのです。

「A案には○○な長所と、××な短所があります」

「B案には○○な長所と、××な短所があります」

「C案には○○な長所と、××な短所があります」

クライアントのことを分析して、その取捨選択するのがクリエイターの役目じゃないの?

と、思うわけです。

クライアントがWeb戦略に対して明確なビジョンを持っているなら話は別ですが。

でも、それなら情報デザインもユーザ視点もいりませんけどね。

技術を提供すれば良いだけだから。

しかし、それはクリエイターではないと思います。