僕もまあ、そろそろ良いお歳なので、後輩やらなんやらができたりするわけです。
で、その時、いつも心がけていること。
「報告しろ」
「都度、報告しろ」
とは言わないようにしています。
だって、これ、何にも決まってないですから。
プロセスマネジメントの一つだと思うのですが、「いつ」「誰が」「何を」「どうやって」報告するのかをまず共有しない限り、良い報告なんてあがってこない。あがってくるのは部下の媚か、ご機嫌取りの言葉だけ。
例えば料理を作っていて、「報告しろ」とだけ言っても、それは「何に」ついて、「いつ」「どんな形式で」報告するのかが全く決まっていなければ、意味を成さないと思うわけです。
「いま、点火しました」
「野菜を切りました」
「ソースをつくります」
「ソースの材料はこれです」
全部、報告です。
でも、内容がぜんぜん違います。
一番肝心なものが抜けていますからね。
「その報告で何を知ろうとしているのか」がない。
つまり、スケジュールであり、もっと適切に言うならロードマップであり、それが標準化されたものであればワークフローであり・・・・ですね。
「現状把握のため」
ということを謳い文句にしている人を見かけるのですが、それは大雑把過ぎます。
というか、報告というもの自体、大概は現状把握のためでしょう。
結局、最終的に、音(声)か、文字か、ビジュアルか、その複合したものかの形で報告をするのだから、そこを共有しないと意味が無い。というより、その、「最終形」を上司と部下が共有してなきゃ、良い報告なんてできるわけがないと思います。当たり前ですよねぇ、最終形を明確に描けないということは、両者が「何のために報告をするのか」「何を伝えるためのアウトプットなのか」が明確になっていないということですから。
もっと言うと、そのタイミングをまず共有すべきだと思います。
「何を伝えるために報告をするのか」というのは各報告=各論としての話であり、そもそも報告自体が目的ではないはずです。プロジェクトをスムーズに進行するために、その都度状況を把握する必要がある。そのために報告をするわけですよね。そうしたら、プロジェクト全体で何をすべきなのかを明確にし、そのために進捗を把握するのなら、「進捗を把握する」とは「どのタイミングで」「何を知る」ことができれば良いのか。
「おいしいカレーライスをつくる」が大目的なら、どのタイミングで、何を見れば、ゴールまで問題なく進められるのか。それを共有しないで、いきなり親が「なんで報告しないの!」と怒っても、それは無理というものでしょう?スケジュールをまずは共有する。材料を確認して貰う。費用を確認して貰う。料理がはじまったら、器具の扱い方や片付け方の場所を明確にする、野菜を切って、煮込んで味見して貰う、ルーを入れてできばえを見て貰う・・・・、とまあいろいろとありますね。プロジェクトを始める前にそれを共有しない限り、感覚でしかない報告しかあがってこないし、もっと言うと調査資料なんて絶対挙がってこない。だって、調査していないのだから。その時にどんな調査資料が必要なのかということを逆算してまず初めに決めない限り、日々の調査業務を発生しないわけだし、そうしたら報告のタイミングで調査資料なんて出るわけが無い。
「スケジュール」「タスク」「アウトプット」「コスト」
これをまず共有しないと話にならない。
報告は「アウトプット」にあたりますね。
デザインと一緒なんですよね。(というより全ての行為がデザインだという方が適切ですが)
何のためにそれを行い、そのプロセスを共有する。
よくいるのが「報告をデザインするのがセンスだろ」というのですが、それはもう根本的な勘違いをしていて管理職はユーザではないということをまず認識すべきだと思います。ユーザではなく、プロジェクトメンバーの一人。部下が作業者なら、上司はマネージャーでしょう?マネジメントをするのに「お前のセンスで報告して来い」っていうのは、結局現状把握をするつもりがないということですから。ユーザは現状把握なんかしなくていいんですよ。プロジェクトによって達成される価値を受け取る人なんだから。しかし、管理職はお仕事ですから。プロジェクトをスムーズに進行する責任があるならば、現状把握は必須です。その現状把握を完全に部下任せにして、自分の気に入ったものがあがってこないと不満を漏らす、怒鳴り散らすというのは、それはもう管理職の自己満足のための報告になっていて、プロジェクトに害しか及ぼさないと思います。上司のために仕事をするのではないのですから。
指示する側は、相手のクオリティ管理をする義務がある。
ならば、プロセスを、ワークフローを、報告の内容と順番とタイミングをまず共有しないとそこにいる意味が無い。
何にも考えないで「報告しろ」という上司や先輩にだけはならないようにと、
日々自分を戒めている今日この頃です。