笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

ワークフローは情報デザイン以前の問題。

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おかげさまで、多業種多職場でお仕事をさせていただいたことで、たぶん同年代より、いや、一社にずっと勤めている人よりいくらかいろんなものが見えたような気がします。(長く働いたら働いたで見えてくるものもあるので、どちらが良いというものではないと思いますけどね)

で、どこでも必要で、そして組織としてできているかどうかで生産性が変わってくるものの一つが「ワークフロー」なんだと、僕は感じています。僕が所属していた組織でも千差万別でした。全くできていないところ、きちんとできているところ、できているどころかそれが売りのようなガッチガチのところ、誰もワークフローなんて意識していないんだけど、長い長い歴史で組織の体に染み付いた「工程管理」で誰もがワークフローどおりに動けているところ。

ワークフローがきちんとしていることは大事ですが、どちらかというとそれより「ワークフローを常に意識して仕事をする」ということを考えている組織の方が、すごく仕事ができる組織だったなぁと思います。「体に染み付いたワークフロー」というのは確かに強いのですが、「ワークフロー」そのものを意識しているわけではないので、応用が利かないんですよ。他のことがまったくできない。

よく、「スケジュールが大事だ」という人がいますね。

いや、僕も大変同感ですよw

スケジュールを共有し、全員がそれを守ることが一番大事です。

でも、何にもないところからスケジュールをつくるのは不可能だと思います。

スケジュールの指針となるのがワークフローですから。

たとえば、旅行に行くときに仲間をいくつかの駅で拾っていくとして。

いきなり「何時にどこ?」っていうのは無謀だと思います。

時間を決める前に、まず決めなきゃいけないことがある。

「どういうルートで向かうのか」

どこの駅にどういう順序で向かうのか。

これを全員が統一しないと、時間の設定なんて無理だと思うんです。

まず、手順を決めるってことですね。そして、その手順の詳細な日時を決める。

ワークフローをスケジュールに落としこむということですが。

ワークフローを共有するというのは社内でもそうですが、最も大事なのはクライアントだと思っています。得てして、社内のメンバーというのはある程度手順を理解していますから。クライアントはその道の素人なわけで、先が見えない。次、何が起こるのかすらわからない。この状態で「手戻りが多い」と嘆くのは制作側の怠慢ですよ。大きなプロットから小さなプロットまで、この先どうやって進み、いつ、何を、誰が、決めるのか。その手順をまずは共有しないと。

よく、情報デザインや「ペルソナ・シナリオ法」が手戻りを減らすと言われているんですが、それも僕はどうなのかなぁと思います。「鶴の一声」がなくなるのは確かにそうですが、しかし重要事項決定の場にその鶴(意思決定者)がいなかったら、ペルソナ作ったってひっくり返るもんはひっくり返るでしょう?(笑)

ペルソナはユーザ像のブレをなくし、全員でいかに同じ方向を向くかということにこそ力を発揮すると思うんです。それも手戻りを減らす一つの手立てではあるけど、副作用でしかない。それより、プロジェクトメンバー全員がプロジェクト終了までの道程を明確に共有することの方が、手戻り対策には重要だと思います。

「デザインが覆る」

なんて、それはきちんとした手順を踏んでいないからです。

それはユーザ像が曖昧だからではありません。

物事を進める手順が曖昧だからです。

「何度も出し戻ししてたたいてたたいて進めるのがモノづくり」

というのは間違いではないと思いますが、それだけしか頭にない人はクリエイティブでも、プロデューサーでもないと思います。そもそも、その低いハードルの意識が手戻りの原因ですから。

モノづくりをビジネスとするなら、ワークフローを、手順を共有することがまず一番大事だと思います。

もし、それを共有してもひっくり返すようなクライアントなら、それは仕事になりません。

クリエイターとしての費用対効果が守れませんから。

そういう人とは仕事をしないという選択肢を持つべきだと思います。