笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

悪い行いは神様が見てるかはわかんないけどWebディレクターは見てるんだぜ。

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真夏のある日、夏期休暇中の誰もいない会社に一本の電話がかかってきました。相手は、自身のことを「リスティング広告の代理店の者だ」と名乗りました。

 

はてなブログアプリをインストールしたままあまりつかってなかった筆者です。

そして「あれ、割と便利やん」と、気づいて投稿を増やしているそんな筆者です。こんばんちわ。

 

元受託のWebディレクター、今年から事業会社のWebマーケティング担当になって気づくことがたくさんなのですけど、今日は気づいたことというより「変わらなかったこと」です。

 

具体的には、とあるリスティング広告の代理店のお話です。

 

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

冒頭に書いた話。

あの電話を受けたのは僕です。

受けた場所は前の会社、つまりWeb制作会社ですね。

 

本来はお盆休みだったのだけど、直後に大きなコンペ案件を抱えていた僕は、ひとり誰もいない事務所に出勤していました(ちなみにそのあとにちゃんとおやすみ取ってます)。各クライアントには夏期休暇の旨を伝えてあるので、そう頻繁に電話が鳴ることはないのですが、何本か受けたうちの1つが、そのリスティング会社からの電話でした。

 

電話口で、彼はこう言いました。

 

「弊社はリスティング広告代理店です。制作の部隊は持っておらず、クライアントから制作を頼まれたときに、案件を相談できるパートナーを探していて、よければ御社のように実績のある会社さんに依頼したいと思っています」

 

こういう場合、(当時の)普段は僕は出ません。他の人にまわします。

職種が違ったんですね。このような「新規のお仕事のご相談」はプロデューサーという営業さんに近しいポジションの人が担当で、ディレクターだった僕は受注前後に出て行く人だったので。

ただ、割と社内で偉い人だったのもあり、職能としてそっち(プロデューサー)もある程度はもち合わせていたので、プロデューサーが不在の時は僕が受けていたパターンもたくさんありました。

電話を受けた僕はそういうことなら、ということでそのお話を受け、とりあえずは自分が窓口担当として話を進めました。

 

「対面でいろいろとお話したい」

 

ということなので、一度挨拶も兼ねてミーティングを開きました。

 

その後、一週間後、一ヵ月後、二ヵ月後、彼は定期的に僕宛に電話をしてきました。内容はいつも決まって同じです。

 

「最近どうですか?何かリスティング広告でお手伝いできることあれば、と思いまして(^^)」

 

勘の良い人はもうおわかりでしょうね。

彼の会社から制作やプランニングの案件を受注することは一度もないどころか、そういう相談すら一度もありませんでした。あるのは「リスティング広告の案件ありませんか?」だけ。

そう、「制作の案件を相談したい」というのは嘘っぱちの相談で、真実は自社のリスティング広告案件が欲しいがためにもぐりこむ為の手口だったんですね。つまりただの営業ですね。

 

ちなみに、実はこれまでに書いたエピソードは一部を伏せていました。

まず、最初にかかってきた電話の内容ですが、正確にはこうです。

 「弊社はリスティング広告代理店です。制作の部隊は持っておらず、クライアントから制作を頼まれたときに、案件を相談できるパートナーを探していて、よければ御社のように実績のある会社さんに依頼したいと思っています。

また御社のほうでも、Web広告まわりでお困りのクライアント様がいらっしゃれば弊社でサポートさせていただけますので、こちらからご相談もありますし両社の情報共有など含め一度お会いしませんか?

 この話を電話口で聞いた瞬間に「あー、営業っぽいな」と思いました。

そう思ったので、僕は断りやすくするためにこう返しました。

「そうなんですね。ありがとうございます。ただ、大変失礼ながら弊社はWeb受託業界でも高い単価のほうでして、さらにリスティングの受け皿となるLPを乱発したりフットワーク軽く調整するというのはコストパフォーマンス的にあまり向いていないと思います」

こう伝えたのですが、あまり意味がありませんでしたね。

「なるほど。弊社のクライアントはそこを出し渋るお客様ではなく、むしろ御社のように高くても優秀な会社さんを求めていらっしゃいますので、問題ないと思います」

うっそーん。コーポレートサイトとか大型サイトを得意とする弊社に~?と思いましたが、まあそこまでいわれたら断れないなと思ってミーティングを入れたのですが、前述のとおり初対面からその後数ヶ月、一度もそんな話はありませんでした。

いま考えれば、高い単価でやっていけてるということはそれだけ大きなクライアントや大きな案件があるわけで、むしろ相手にはカッコウの営業対象に見えたでしょうね。

 

あのー、正直に言いますね。

 

 

こいつバカじゃねーのかと思いました。

 

 

 

このコンテンツマーケティングとかネイティブアドとか叫ばれているインターネット業界において、「とりあえず担当とつながりさえすればなんとかなる」みたいなアプローチが通用すると思ってるのは、頭がどうかしてるんじゃないかと思いますよねぇ。

何より、人をだますようなアプローチをする会社に、僕の大切なクライアントを紹介して、そのうえ彼らの大切なお金を渡して仕事を任せるなんてするわけないじゃないですか。

 

どんだけアホなんだろうと思うわけです。

当時、そんな会社に僕はもう金輪際、発注なんかするもんかと思いました。

非常に恐ろしいことに、それは今でも続いています。

事業会社は程度の差こそあれ何がしかの広告は出すでしょうし、TVCMに比べれば圧倒的に敷居の低いWeb広告は多くの企業が利用しています。

そのなかでもいまいる会社は、(たぶん)比較してもかなりの金額を利用しています。前職で扱っていた広告費や制作費などとはまったく桁が違う金額です(まあ、月に20とか30万どころか数百万円程度の世界でもありません)。

その金額ゆえに、リスティングを含めた広告を運用してくれるWeb広告代理店はいつでも探していて、僕はその経歴上、探す側、選定するタスクを持つ人間ですが、ご覧のとおり、このエピソードに出てきたリスティング広告代理店には絶対に発注しない、候補にもあげないと思います。

 

たった一つの人を欺くような仕事のおかげで、当時狙っていた仕事(=toksatoの前職の案件)とは比較にならないほどのスケールの仕事を受けられるチャンス、気づくこともできずに失うわけですね。

 

「仕事の褒美は次の仕事」

とはよく言いますが、「大半の人は生きるために仕事をもらわなければならない」という現実をみれば、とても正しい話だと思います。そのためには、「今の仕事」こそ大事にしなければならないですよね。

 

まるで御伽噺のような、まるで僕が上から偉そうに相手を踏みにじったような書き方になってしまいましたが、ここで言いたいのはそういうことではないです(そう見えてしまうのはしょうがないけど)。

 

僕が、なぜ「これは営業だろうな」と思ったのにそのまま話を受けたのか。

 

それは、その(うさんくさい)話が真実だろうが嘘だろうが「あの会社は、しっかり話も聞かないで断るWebの会社だ」と思われるのを恐れたからです。

実際、SEO会社さんやSEM会社さんから同じような話を受けて、本当にプランニングや制作のご相談がある場合もたくさんあるんです。また、仮にそうではなくてやっぱり相手を欺いて窓口を開きたいだけだったとしても、そのクソみたいな担当者だって(自分のことは棚に上げて)、こちらの対応を見て「あのWeb制作会社は、無碍に断る会社だ」と思うことはあるわけですよね。

いつ、どこで、だれがお客様になるかわかりません。
とくにWebサイトを作る仕事の場合、事務所が入っているビルの掃除のおばちゃんだってないがしろにはできません。その人が所属する会社だけでなく、そのおばちゃんの旦那さんや息子、娘さんが所属する会社がコーポレートサイト制作のパートナーを探しているかもしれません。そのとき、そのおばちゃんの「あの会社には頼まないほうがいいよ」の一言でチャンスを失うかもしれない。

そう思えば、当時の僕にはもうわかっていても断るすべはなかったんです。「お仕事の相談をしたい」といわれている以上、それ以上の深い話を聞かない限り断ることはできないし、直接の発注者でないかぎり電話でそんな深い話を聞くこともできないから。

 

それでも、僕はそういうスタンスでお仕事をもらってきたし、転職をしていろんな企業に受け入れてもらってきました。

 

やっぱり、いつだって悪い行い、人を欺くような仕事はしちゃいけないんだと思います。

 

たぶんね、そうしないほうが短期的には儲かるんだと思います。

 

でも、それをしたら、未来は無いと、僕は思っています。

 

できるならば、みんなが人を欺かずに仕事をできるといいなと思います。

 

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