笑顔を創りたいWeb屋の日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。情報デザインやWebの勉強をしています。

「そんなんじゃクチコミしないよ」って河野さんが9年前に言ってたよ。

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これを読んだんですね。

diamond.jp

 

冒頭のリード文にこう書いてありまして、ワテクシ大変驚いたのですね。

ソーシャルメディアの黎明期、マーケティング担当者たちは「インフルエンサー」と呼ばれる人たちにいち早く着目した。

~中略~

しかし、その試みは思ったほどうまくはいかなかった。その理由を、「マスメディアとソーシャルメディアには大きな違いがあったからだ」と電通総研所長の丸岡吉人氏は説明する。

 

「マスメディアとソーシャルメディアには大きな違いがあった」っていうのは、そりゃそうだよね、という思いしかなくて。マスをメインとする広告代理店の人と、僕のようにWebを主戦場とする人ではその辺の意識が違うんだろうなという話ではあるんですけども。

にしても、うーん、なんというかその、インターネットというものの根本がそもそも発注者側に理解されてないのかもしれないな、と思います。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。

 



 

件の対談記事の1~2ページ目にもこんなことが書いてあって。

丸岡 でも、マスメディアとソーシャルメディアには大きな違いがありました。マスメディアは強制的に目に触れさせる・耳に入れる、ということがある程度できます。テレビとラジオに関して言うと、CMに切り替わった途端にスイッチを切る人はほとんどいませんから、半強制的に広告に触れてもらうことができるでしょう。

武田 テレビCMってよくできた装置ですよね。インターネット広告が登場した今、改めてそう思います。自宅などのリラックスした場所で、消費者を15~30秒ロックして自社の商品・サービスについて伝えられる。こんなシチュエーション、ほかにないですよ。

 

おう。おっしゃる通りだと思うぜ。

そこの違いはとても大きく、そしてそこにはTVやラジオとインターネットの違いが顕著に表れていると思うんだぜ。

 

そして、そんなことは河野さんが9年前にすでに指摘していたんだぜ。

 

この本の中でこう書かれています。

これまで述べてきたとおり、そもそもメディアとしてのリーチ(到達性)やリッチネス(表現量)が異なるので比較が難しいのですが、単純にテレビCMとネット広告を比較しても、前者が画面を占有しているのに対して、後者は画面のほんの一部に表示されているだけです。スクロールしないと見られないことも少なくありません。(ジャックと呼ばれる)占有するタイプのネット広告もありますが、利用者には歓迎されていません。

 

えるしっているか これ2008年3月の本なんだぜ

 

正直に言うと、この本はとても良い本だと思うけど、この部分に関しては僕自身も当時から常に思っていたことで、特段目新しいという感覚は無かったです。

 

いや、あのね、これインターネットの基本構造だから。当たり前だから、これ。

 

 

インターネットの基本的な考え方は「リンク」

だからみんなハイラルを守るべきですうそです。

インターネットというか「Web」の方が意味としては適切ですかね。ハイパーリンク。ハイパーなあいつがハイラルを守る他のハイパーなあいつとハイパーにつながるそれがインターネットなんだぜ、と。何を言ってるかよくわからなくなった。

インターネットというのはブラウザからの閲覧だろうがスマホアプリだろうが、基本的には「ユーザーが選んでリンクを押して、コンテンツを受け取っていく」ものですよね。

ということは、ユーザーはある種の期待を持って行動し、そして「自身で選択する」というコストを支払っているわけです。だから、ユーザーは自分が興味のあるものしか読もうとしない。

1クリックなんてたかがしれたコストだ、と思う人もいるかもしれない。けれども、一説には人間が最もストレスを感じるのは「判断すること」だと言われています。行動とは判断の連続で、大した労力でもないのに面倒くさいのは、その都度「判断をしている」からなんですよね。逆にいえば「迷うことがない」というのは人間にはとても楽チンで、これは仕事にも表れてますね。

 

だから、ユーザーを騙すような対応はインターネットではことさらに嫌われる。

 

ユーザーが自ら選択して情報を受け取っていくというスタイルのインターネットにおいて「画面を占有する」なんてのは理屈からしてありえないわけですよね。選択が前提のメディアで選択肢を奪うのだから、そんなものが受け入れられるはずがない。

 

 

欲しい情報を欲しいタイミングで、欲しい形で

インターネットの基本理念というのは僕はこれだと思っていて、そういう意味では

 

ソーシャルな世界では
お仕着せの情報はウケない 

 

とあるけど、ソーシャルメディアに限らずそもそもインターネットというものが元からそうだったよね!と思うわけですよ。

 

だって「検索連動型広告」なんて、まさしくその理念に沿って生まれたものじゃないですか。それまでは広告といえば不特定多数の人にドーン!でバーン!(なんだそれ)だったのが、「そのキーワードで検索している人=それを求めている人だけに広告を出す」ことができるようになったわけですね。これはまさしく「欲しい情報を欲しいタイミングで、欲しい形で」じゃないですか。

 

それが広告だろうがそうじゃなかろうが、求めてない人には見向きもされないしされるべきでもない、というのがインターネットの仕組みや考え方であって、どこまでいったってユーザーのニーズに寄り添う以外にはないはずなんですよね。

 

インターネットの苦手なこと

他方で、インターネットが万能でないという根拠もここにあって、「求める人しかクリックしない」ということは、「不特定多数にドカッと見てもらう」というのはインターネットにはとても苦手なことなんですよね。理屈だけ考えれば。

 

「そんなんじゃクチコミしないよ」にも、「インターネットの影響力なんてたかが知れているよ」と書いてあるんですが9年経ったいま、そのバランスが多少は変わったものの、依然としてマスメディアの影響力には遠く及ばない。

もちろん「インターネット発」はたくさんあるんだけど、それは今も2008年も変わらず、インターネットで話題になったものが"テレビに取り上げられたから伝播された"というのがほとんどで、なかなかインターネットだけで、というのは難しい。

 

たとえば、このブログをご覧の人の多くは「いらすとや」といえばどこのだれの話をしているかわかる人が大半だと思いますが、世の中の人の多くは知らないです。ためしにいまの会社(人材サービス企業)の同僚に聞いてみましたが知らない人だらけでした。調べてみないとわからないけど、日本全体でいっても6割ぐらいは知らないんじゃないでしょうか。

 

やっぱり、インターネットは「広く浅く認知させる」というのがとても苦手なんです。興味ない人は全く見てくれないから。逆に、「興味を持ってくれた人にもっとたくさんの熱い想いを伝える」ことは大変に得意な領域で、基本的にはこここそがインターネットが担うべき最適な場所だと思います。

 

インターネットにおいて「重い」と「軽い」の境界線はどこにあるのか

我ながら突然に話が変わるな(笑)

いや、ちゃんと繋がってるのでご安心いただければ。

 

さて、「ギガが減る」なんて言葉が最近ネット上をにぎわしていましたが、果たして何ギガのコンテンツからは重くて、何メガのコンテンツからは軽いんでしょうね。

 

ええ、こんなこと考えるだけ時間の無駄ですね。

 

たとえば、僕は元日本代表10番の名波浩さん(現:ジュビロ磐田監督)の大ファンなのですが、彼のインタビュー動画ならば何ギガだってみます。もう何がなんでも、どうにかしてみると思います。でも、おそらく決意表明の場とするのがふさわしいであろう舞台で「私、結婚します」という表明が出る謎の選挙特番動画があったとしても、1kbだってみませんね。

 

要するに、これもそういうことですよね。重いとか軽いとかそういうことじゃない。ユーザーが支払うコストに対して、それに見合うコンテンツなのかということが大事で、すべては「ユーザーに選ばれる」ということが土台にあるわけですよね。

 

ユーザーを騙すのはやめようよ

どれ、とは言わないし言えないけど、件の記事はどうも「ユーザーをコントロールしたい」という思想があるように思えてならないんですよね。

 

僕は、その思想が死ぬほど嫌いです。

 

どうして、そもそも人に受け入れられないコンテンツでアプローチするのだろう。

 

いや、僕とて広告主側の人であり、すべてがユーザーに嫌われないアプローチをしているかと言われれば、自信ないです。

莫大な予算を投下して広告を出し、ストーカー広告と揶揄されるリターゲティング広告も使ってます。追いかけてごめんなさい。

 

でも、その根底にあるのはいつでも同じです。

 

「みんな、ウチに来て仲間になってくれたら幸せになれるのに」

 

本気でそう思ってます。

日本にいる多くの人が、ウチで働いてくれたらみんなハッピーになれるのに。気持ち悪いですかね。気持ち悪いですよね。でも、僕は本気でそう思っています。

 

だから、ウチのバナーや広告をクリックしてくれたらとても嬉しいし、せっかくサイトに来てくれたのにすぐに離脱したら、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。バナーまでは期待に応えられていたのに、ランディングページで間違っていた。本当に申し訳ない。

 

僕の根底にあるのは「みんなウチに来たら良い!楽しいよ!」であり、それを伝えたいだけなんです。そして、広告はそのためのツールだと思っています。良いものがあるから、みんな見てよ!すごいんだよ!というためのツールであって、基本的には「繋げる」でしかない。

ゆえに、ユーザーのことが、バナーや広告を見るみんなのことが知りたくて知りたくてしょうがないです。僕が出す広告やWebサイトに対して、どうして応募をしたいと思わなかったのか。なにがいけなかったのか。みんなは、なにを求めていて、どうすれば仲間になってくれるのか。いつも知りたいのは、みんなが喜んでくれるためのなにかです。だましたいなんて1ミクロも思ってない。

だから、ユーザーやクチコミをコントロールする、という思想が嫌いです。

もちろんビジネスである以上、数字や予測は大事です。経営者以外は予測の立てられないビジネスはやるべきではないと思います。

 でもそれがそのまま「相手をコントロールする」となるのは僕は違うと思っていて、あくまでただの予測であり、数字を出すならばそれは「僕らがどれくらい受け入れられるか」という予測であるべきだと思います。

インフルエンサー、いや、「有名な人」にお金を払ったらクチコミをさせられる、なんて、その思想そのものが間違いだと思います。そんなんだから、広告は嫌われちゃうんだよ。いらないものを売ろうとして、クリックさせるなんて、そりゃ嫌われて当然だよね。

 

有名な人に伝搬してもらう、という施策そのものは否定しません。僕だってあやかりたい。でもだからこそ、そのためにはその人がクチコミしたくなるようなことを僕らは考えるべきで、つまらないものを広めるべきじゃない。そんなのはゴミ以外の何物でもないじゃないですか。

 

それがつまらないなら、そのとき考えることは広告じゃない。

そもそも、つまらないものを世の中に出すべきではないもの。

つまらないなら、それを面白くすることを考えるべき。

 

広告は、その次の話だよね。

 

人を欺く広告を出す人なんて、みんなくたばればいいのに。

 

追記

ご本人自ら無料電子版をシェアされていたので、貼りつけておきます。

「そんなんじゃクチコミしないよ」って河野さんが9年前に言ってたよ。 - 笑顔を創りたいWeb屋の日常

著者ですっ。『そんなんじゃクチコミしないよ。』と最後に句点が入ります。あと6年くらい前から無料で公開してますー。→ http://p.booklog.jp/book/32691

2017/06/30 10:48

むむ。URLにリンクが貼られない。

以下に電子書籍版のリンクをはりつけるよ。

p.booklog.jp

2008年なので話題がブログ中心だけど、いまのSNSに置き換えてもじゅうぶんに通じる内容だと思う。ぜひみんな読むといい。まじで。

それと、自分で感想を書いたのをいま思い出した。

toksato.hatenablog.com

 

この本を読んでみんなが手法に踊らされたり相手を騙そうとするアプローチをやめれば、世界はもっと良くなるんじゃないか。

 

そんなことを思ったり思ったり思ったり。

思わないことは無い。

思ったり。