笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

「UI/UX」表記をやめろと言いたいわけじゃなくて。

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僕はすっげー前だと思ったらほんの3か月前に書いていた「UI/UXという表記がだんだん嫌いになってくる。」というエントリがありまして。例によってグダグダとどうでもいいこと(!)を書いていたわけでございますが。

 

あらまぁ、なんということでしょう。あのえふしんさんに拾われているではアーリマセンカ。

UI/UXでいいじゃん F's Garage@fshin2000

 

ひえー、なんてことでしょう。

というわけで、UI/UX表記のおはなしおはなし。

 

そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいディレクターのおじかんです。

 



 

といいつつ、えーと、僕のブログが拾われてる部分ってUI/UX表記の話とは実は直接的にはあまり関係がないwとはいえ、タイトルがそもそも反論になっているし、そのあとにこう書かれているので、まあそうなんでしょう(なにが)。

 

ネットでは誤解されるの嫌なのであんまり言わないけど、UI/UX上等だと思っていて、UIデザイナーに限らずUXのことを意識するのは不可欠だと思います。それぞれのパートがたとえ部分集合の話だったとしても、どれもこれもUXを実現するための重要なパートだということを意識することは必要でしょう。

 

とりあえずまず大前提から覆してみる

「UI/UX言うな論」と言う風に語られていて、でも少なくとも僕は「言うな」とは思ってないのです。言いたい人はまあ、言えばいいじゃないですか。僕は「言うな(やめろ)」と言ってるのではなくて「嫌いだ」と言ってるんですね。好き嫌いの話です。もっと言えば「そういう人はあんまり信用しない」。

 

あの、所詮は「言葉」に過ぎないわけで、発する人と受け取る人が同じ認識を持っていれば問題ないわけで、そして僕は別にWeb業界をリードするナニガシでもない影響力の乏しい人なので、割とどうでもいい話だったりします。

 

つまり、ものすごーく厳密には「UI/UX」表記が嫌いなのではなく(そう書いたけどw)、「UI/UX表記をする人」があんまり好きになれんのです。

 

わざわざそう書く理由がわからんのです

以前のエントリにも書いたけどUIはUIであってUXではないんですよ。まあ、そらそうだって話ですけど。UIがUXの重要な一部を担っているのは(往々にして)事実なんですけど、なんでUIだけ特別視するのかがわからんのです。だったらじゃあHTML/UXでも、システム開発/UXでもいいじゃんかと。もはやブラウザテスト/UXでもいい。HTMLのマークアップだってCSSの設計だってUXをふまえてやるのは当たり前で、わざわざUIだけなんでそう書くのかがわからないのです。

 

そう、だから、この表記そのものじゃないんです。

「わざわざくっつけて書かなくても良いものを、わざわざくっつけて書いている人」の考えが理解できないというだけです。したがって、「UI/UX」と書いて「スマホアプリではUXデザインにおいてUIがすっごい大事だからそう書いてるだけ」っていうなら、そんなに嫌いじゃないです(好きでもないけどw)。その人、たぶんちゃんとわかってるから。

 

 

わかってない人がいっぱいいるんじゃないかという懸念

実は、以前にもえふしんさんがUI/UX表記について書いているのを読んでいて、そのときに「ああ、ここの感覚が違うんだろうなぁ」と思ったんですよね。実は(謎)。

UI/UX言うな話と、スタートアップのCTO事情

しかしながら、ちょっと内輪ネタっぽい言い回しだけどbigIA,SmallIAの時にも同じこと思ったんですが、そうやって矮小化してUIとUXがセットだって信じこんでる人っているんですか!?そこのペルソナが見えてないので、そういう仮想敵と戦ってないですか!?という印象は否めない。

 

ここ、ここ。

 

「UIとUXがセットだって信じこんでる人っているんですか!?そういう仮想敵と戦ってないですか!?」

 

います、いますよぅ(´Д⊂ヽ

 

いや、僕の周りにたまたま多いだけかもしれません。でも、少なくとも受託Web制作のディレクターとして活動している僕には、それこそ地方の軽ワンボックスかというぐらいそこかしこで見かけるわけです。

 

例えばUIデザインのまとめなんかすぐにはてブとかでチヤホヤされますが、

 

「選択肢はできる限り少なく、3つに絞ろう」

 

みたいなことを割とよくいうわけです。シンプルに!みたいな。でも、そりゃそんな簡単にできたら苦労はねーよっていう話で、えーと、こういうことです。

 

・Web制作の人 「選択肢はできる限り少なく、3つに絞りましょう!」

 

・クライアント 「お、おう・・・」

 

・Web制作の人 「では、貴店のメニューから3つ、選びましょう!」

 

・クライアント 「お、おう・・・?3つ?どうやって?」

 

・Web制作の人 「それは・・・やはり人気のメニューを3つでしょう!」

 

・クライアント 「人気かぁ、人気ねぇ。定食から丼、ラーメン・蕎麦までウチは幅広いからねぇ。50種類はあるよ」

 

・Web制作の人 「なるほど。では"定食"、"丼"、"麺類"の3つの入り口と、それぞれの人気メニューを出しましょう」

 

・クライアント 「人気ねぇ。から揚げ定食、かき揚げ丼、あんかけラーメンかな。いや待てよ・・・確かに売れているが、夜の客層だけに絞るとそうじゃないかもしれん・・・」

 

とかまあそんな話が出てくるわけですね。

これは当然一例で、カレーライス専門店なら、メニューカテゴリーは「ビーフ」「ポーク」「チキン」になるでしょうし、もしかするとおすすめメニューではなく「当店のカレーの特徴は1.すべてオーナー独自に選んだ香辛料 2.~・・・」とかいう三つの特徴かもしれません。さらに↑の例で言うなら、実はこのお店の最大の売りはメニューの数で「言われればなんでもつくります。この地で学生を相手に60年たちました。」というお店かもしれませんね。

 

 

でね、

 

えーと、

 

 

 

あれ、いままでUIの話でてきた?

 

 

 

っていう話なのです。

 

 

何を置くのか、どこに置くのか・・・

・何を置くのか

・どこに置くのか

・どうやって見(魅)せるのか

 

これらは、基本的には別の話だと思うんですよ。

もちろん、それぞれが完全に独立することはないです。

ただ、少なくとも全部いっぺんに考える話ではないと思うのですよ

 

前述のWeb制作の人とクライアントのやり取りで言えば、そのほとんどは「何を置くのか」と言う話であり、これはまずもってUI設計以前の話ですよね。たとえばBacklogのTOPページにある3つの特徴なんてのは画面がどうこうじゃなくて、「Backlogというツールがユーザーに提供する価値は何か」という話の方が先で、もはやそのツールそのものの機能であったり、もっといけば事業戦略にすら絡んでくる話なのですよね。

 

UIの話だけで解決できるわけがないんですよ。

にもかかわらず、「選択肢はできる限り少なく!3つまでがいい!」とかいう記事に称賛が集まるというのは、「UIでUXの問題全てが解決できる」と思ってる証左ではないかと思うのです。

 

これは「選択肢を絞る」という話だけではないですね。

たとえば、あれやこれやスマホアプリだのWebサービスを展開している某企業さんのブログとか見るとですね、

 

1.Webサービスのリニューアルをするのです

2.ユーザーにアンケートしました

3.現行サイトのユーザビリティテストをやってみました

4.問題が発見できました

5.原因を特定しました

6.ペーパープロトをつくってみました

 

 

とかいう記事があがってたりするわけです。

HCDやってます的な記事で

 

ユーザビリティテストもアンケートもとっても素敵な施策ではあるのですが、問題なのはこの流れで「Webサイトの根本的な問題が解決してユーザーが満足体験できるサイトにリニューアルできる」と思っている節があるんですよね。いやいやいや、これで改善できるのはユーザビリティ(使い勝手)だけですよね?っていう。

 

被験者を連れて来て画面の前に座らせるとわかることはいっぱいあるのは事実ですが、それは「現在のサイトの使い勝手」であって、よしんばそこで新しいニーズが出てきたとしても、それは「現行サイトを土台とした改善」程度でしかない。ユーザーニーズを調査することと、ユーザービリティを評価することを混同してはならんわけですが、これは「画面の改善=Webサイトの改善だ」と思っていることそのものだと僕は思うわけです

 

 

表記そのものより、なんかこの「UI/UX(キリッ」っていう感じ

「私、UI/UXデザイナーです(キリッ ただUI考えてるだけじゃないです(キリッ」みたいな感じを受けるんですよねぇ。言い過ぎだけどw

 

なんだろうな、Goodpatchさんぐらい振り切ってたら、もはやUI/UXとか言っててもあちらにとっては(結果的に)似たようなもんだろうし、いいんじゃないのかと思うんですが、しかし採用情報とかみたら言ってないな…言ってない…言ってないのか…orz。

 

(とくに)僕ら受託Web制作屋というのは、結局のところ誰にでもわかりやすいのは「画面つくってんだよね」っていう話なんですが、これがもうクライアントさんとかにはまったくそのままにしか見えてないことがとっても多いわけですよ。「わかりやすくシンプルな画面にね!」とかまるっと渡されて、まあ、努力はするわけですけども、そもそもサービスそのものが物凄くわかりにくいと限界があるわけですよ。っていうかもうそれはサービスラインナップの方をどうにかした方がいいんじゃないでしょうかという話になるわけでありまして、携帯電話のプランとかいったいあれはどうなってんのかという。

 

クライアントはそれでもいいわけです(良くはないか)。

でも、プロである僕らまですべてをUIで解決しようとする「自分たち画面つくってます」みたいな人があまりにも多い気がしていて、それが「UI/UX」という表記に如実に表れてるような気がするんですよね。

 

だから、まあ、いいんです。

そう書いたってわかってる人はわかってるでしょうし。

でも、やっぱり「わざわざ一緒に表記する意味が分からない」ので、それを何の意識もなく一緒に書いちゃう人は、僕には「あーん、この人わかってないんじゃないかな・・・?」と思って敬遠しちゃうというお話です。

 

だから、たぶんしばらくは僕はこのまま「UI/UXという表記が嫌い」と言い続けると思います。UI/UXが、「UIやUX」という意味で浸透してきたら、いらぬ好き嫌いになるんでしょうけどね。

 

・・・いや、それもまた一緒に語る必要ないじゃんっていう話なんですけどw