笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

【ディレクション】見積りをちゃんとつくってきちんと説明する。

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Twitterで一部の人でちょっとだけ話題になっていたニュース。

 

原子力安全庁のサイト作成に1億4000万円 細野原発担当相に「水増し」指摘

「細野大臣がこれから所管をする原子力安全庁。三次補正の発足準備経費の中にホームページの作成費も入っている。1.4億円。政府からもらった数字なので、間違いない。1億4000万円をかけて、どんなホームページを作るのか」

 

で、それに対して、

「1.4億円とかどんなサイトなんだよwww」

「高すぎるだろwww」

っていう反応が異常に多いので、僕がこんなツイートをしました。

http://twitter.com/#!/toksato/statuses/134164025788481536

1.4億円サイト構築の件、話題だなぁ。どんなサイトつくるのかもわからなければ、原子力安全庁というところがどれくらいの規模なのかもわかんないのに、高いも安いも無いと思うけど。 http://goo.gl/QAQlV

 

http://twitter.com/#!/toksato/statuses/134165070610575360

http://goo.gl/TWzgR 自分たちの相場で言い過ぎじゃね?って思う。1億2億のWebサイト制作だって普通にあるよ。大事なのは機能に対する単価と、全体に対するWebの予算規模でしょ。

 



 

そうしたら、某Web担として尊敬しているフジイさんが光の速さでブログに取り上げてくれました。

1.4億円のWebサイトって、あり得ないのか?

 

ソウデスソウデス(;´Д`)イロンナシ

 

まあ、ぼくはぜんぜんWebディレクターのスーパースターじゃないですけど。

怠け者なのでスーパーサブがいいです。ウソです。(怠け者はほんと。)

 

「1.4億円かかるサイトだってあるし、中身も見ないで言うべきじゃないでしょ」

っていうのは、もうフジイさんが発注者側から的確に書いてくれているので、超満足です(謎)。

そんで最後に「よろしく(謎)」って書いてあるので、超遅ればせながらよろしくやってみます。なんだそれ。

 

 

・・・っていうところまでを11月09日までに書いて放置プレーをしてました。

寝かせたので俄然、奥行きが出てきたのではないかと思います。

すみませんウソですそんなことは絶対にありません。

 

というわけで続きを書くわけですね、はい。

 

1.4億円が「ありえない高すぎワロスwww」っていう反応もあれば、

逆に「数十万円じゃできないよ何いってんのワロスwww」っていう反応もあるんですよね。

 

で、実際やろうと思えば数十万円でもWebサイトはできるんですよね。

発注者が自分でビジネス調査から情報設計まで全部やって、デザインとコーディングだけ依頼すれば。もしくは、設計なんかどうでもいいからとりあえずクリックして動くWebサイトもできます。フリーランスのイラストレーターとかグラフィックデザイナーとか、片手間でWeb制作しているような人に頼めば相当安く済むし(そのかわり・・・っていうリスクがそこかしこにありますけどね)。

 

1億2億のWebサイト構築プロジェクトもあれば、数十万円のホームページ制作もあるわけですよ。仮にページ数が同じでもこれぐらいの価格差は有りうるわけですよ(ページ数が同じ場合はさすがにもうちょっと価格差は縮まると思いますが)。それはもう、同じWeb制作の話でもやる中身がぜんぜん違うので価格が違うのも当り前です。それが混在しているわけですね、Web制作っていう業界は。でもそれが、一般の人にはわからないわけですよ。だから、おいそれと原子力安全庁とかいう規模や権限の大きそうな組織のサイトを「数十万円で出来る」とか言っちゃうわけですよね。ちゃんとお仕事してちゃんとお金をもらっているWeb屋さんからすれば「おいおいそんなことを軽々しく言うんじゃないよ」っていう話しになりますわね。

 

でも、そもそもお客さんにちゃんと説明してんのかっていう話が先にあるべきで。

 

1億と数十万円のプロジェクトの違いがわからないというのは、そもそもちゃんと説明してないんじゃないの?と思うんですよね。いやぁ、だからもう、サクっと結論から書いちゃいますけど「『一式』とかいう単位はなんなんですかアナタ」っていうそういうことです。これ、実は多いのが数千万とか1億の大きな案件をやっているところじゃなくて、それ以下の小さな制作会社やフリーランスのWeb屋さんに多かったりするんですよねぇ。(んなことしてるから単価が安いままなんでしょと思うわけですが)

 

自分たちのサービスを明確にして、なにに、どれくらいの金額がかかり、どれくらいの手間がかかるのかをちゃんと説明しないと、相手がわかるわけがないんですよね。それをちゃんとしたって理解してくれない人はしてくれないわけですけど、説明しなきゃ理解してくれる人は一人もいなくなっちゃう。

 

「一式」って出すのは楽なんでしょうけど、それはその見積りを読むお客様に対して理解しづらいものを出しているわけで、失礼だと思うんですよね。少なくとも親切ではない。だいたいが、「一式」ってなんなんだと。どこからどこまでが一式なのかと。

 

 ・どんなものを

 ・どのくらいの種類で

 ・どのくらいの量を

 

が明確になってなかったら、相手はわからない。

わからないから、追加や変更がどんどん増える

というか、そもそも「これくらいで」って決めてないんだから、追加でもなんでもないんですけどね。相手にしてみれば「一式ってこれぐらいでしょ?」って思ってるんですから。

発注する側にも問題があって、未だに「とりあえず価格は後で」みたいなことを平気で言う商習慣が残っているお客さんもいますが、だからこそちゃんと見積りを出し、何に、いくらかかるのか。どうしてそれぐらいかかるのか、どの作業が含まれていないのかをちゃんと説明しないと、結局あとで認識違いができて(説明してないんだから認識もなにもないんですけども)追加作業が発生したり、「こんなはずじゃなかった」みたいなことを言われたりもするわけですよね。

 

見積りを詳細につくらない人っていうのは、多分に価格が安い制作者が多い気がするんですけど(個人的な感覚です)、それっていうのはやっぱり価格を晒したり、項目を細かくすることで手の内を晒したくないみたいなものがあるような気がします。その気持ちもわからなくはないのですが、それって結局お客さんを騙してるだけですよ。むしろ、価格が安いからこそ見積りを丁寧につくるべきだと思います。細かく項目にしてやることやらないことを提示するから、自分たちがなぜ安い単価で引き受けられるのか、なぜ他が高いのかをわかってもらえるわけで、それを有耶無耶にして出しちゃうと、大手と同じレベルの対応を求められたりして、相手は騙されたと思ってしまう(いや、実際ちゃんと説明してないんだから騙してるんですけど)。

 

ぶっちゃけて日本の企業のほとんどは、ビジネス調査や設計をきちんと依頼するほどの規模ではないわけですよ。ガッツリユーザー調査やテストを導入したり、大まじめにペルソナ入れてWebサイトつくることができる企業なんてほとんどないわけで、そういう方々に「なぜ大手は高いのか」「なぜ自分たちは安いのか」「あなた方には何をしてもらわなければならないのか」をちゃんと説明しないと、数十万と1億の違いなんてわかってもらえないのは当たり前だと思います。

 

手戻りや修正の嵐をなくす、一番はじめのステップは、見積りをきちんとつくってちゃんと説明することだと思います。