笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

グローバルナビを統合統一するのは手段でしかない。

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知り合いというか後輩がウンウン唸っていたのでどうしたのか聞いてみました。

「グローバルナビが決まらないんですよ」

「めちゃくちゃ数が増えちゃう」

んなアホなと思って聞いてみると、理由が判明しました。

そりゃユーザの混在ですよ。

これ割と多いんですが、ビジネスのターゲットユーザ(の中でWebを使う人)がいて、当然その企業や法人のWebサイトを立ち上げるならばそれらの人がターゲットユーザになるわけで、その人達に向けてWebサイトをつくらなきゃいけない。だから、そのターゲットユーザ達が満足するためのIAやUIを設計する。で、問題にぶつかる。

「これナビゲーションが増える」

これは設計の段階である程度防げる問題だと思います。

それが防げないということはたぶんWebサイトの目的を整理できていないのと、そして「Webサイトそのものも手段に過ぎない」という大前提を見失っているんだと思います。「同じ企業(法人)だから、同じサイトで」っていうのが思考停止なんですよね。グローバルナビがあまりに増えて煩雑になるっていうのは、それはたぶんユーザが違うんですよ。混在しているからそうなる。というか、これはあるべきフローとしては逆で、まず初めにユーザの設定とユーザニーズの把握があり、ユーザシナリオを描いた結果として「これは違うサイトになる」という話になるべきで、Webサイトありきで考えるからグローバルナビという各論の話になってしまう。

ユーザ設定の後、複数のユーザをターゲットにして一つのサイトを創ることはあります(よね?)。むしろそれが普通。でも、それはそれぞれのユーザが似たような性質、もっとはっきり言うと近しいニーズやユーザシナリオだからできるだけの話で、ユーザシナリオが全く違うなら、それは解決する問題が極端に違うということ。そうしたら、同じサイトで展開するなんて不可能に近いこともある。これ別にWebサイトに限った話じゃなくて、商品開発なんかでは当たり前だと思うんですけどね。全く目的の違う人向けに一つの商品で対応するなんて無理(正確には離れ業)だと思うんですが。

よくある話でコーポレートサイトとブランドサイト(商品PRサイト)を混同する人がいます。

「ウチで扱ってる商品なんだからウチのサイトで大々的に展開して当たり前ジャン」

なんて仰るんですが、それはサイトの目的を履き違えているというか、完全に企業目線になってると思います。

コーポレートサイトで主に問題を解決しに来る人は「その会社(法人)に興味がある人」ですよ。その人は「この会社はどんな商品を扱っているんだろう」という目線で情報を取りに来るのであって、「商品を買いたい!魅力や機能を知りたい!」と言う人とは別。会社に興味があるのだから、扱っている商品の概要を知りたいわけで深くまで知るためにコンテンツが煩雑になるぐらいならいらないし、比較ができないと意味がない。これとは逆に(こっちの方が問題)商品の情報を求めてくる「商品に興味がある人」はそこまで強く会社の情報を求めているわけじゃないはずです。PS3買う人がいちいちSONYの沿革とかトップメッセージなんて見ないでしょう。そして、ゲーム機を求めている人に掃除機が混ざりこんだナビゲーションなんて邪魔以外の何者でもないと思います。ゲーム機、PS3の情報を求めている人はPS3PSPに関するナビゲーションを提供してあげて、その中でグルグル回って見れるのがあるべき姿かと。実際そうなってますね

企業と商品だとある程度わかりやすいですが、これがたとえば学校とか塾とかになるともっとそれを見失いやすくなる。大学にとっては高校生(受験生)も在校生も企業の人も近隣住民も情報を提供しサービスをするターゲットユーザです。しかし、それらの人は実はサイトに来て解決する問題が全く違う。受験生と保護者や在校生なんて、見るところはかなり違うはずです。そんなものはユーザシナリオやペルソナを創ればわかるはず。というか、在校生向けのコンテンツはたぶんイントラサイトでやるべきですし、実はサービスとしてはこっちを充実させる方が先なんですけどね。

ちなみにこれらは大学に限らず専門学校、高校なども同じだと思います。高校になると受験生と保護者ですらニーズはかなり違うでしょうね。中学生が学費は教育理念をじっくり吟味するとは思えないし、保護者が部活動などのイベントを何より大事にするとも思えませんし。たぶん、受験生向けと保護者向けのサイトを別にするというよりは、同じデザインだとしてもTOPページで振り分けるべきだと思います。(=保護者用、受験生用のUIを持った一つのコンテンツグループができる)

で、これは実はUIから考えることじゃなくてサイト構造の時点でそれを狙ってなきゃいけないんですよね。

サイト構造がユーザの利用シーンに基づいたコンテンツグループできちんとわかれてなくて、バラバラの塊がたくさんできて、結果としてグローバルナビの数が大変なことになってしまう。サイト構造を俯瞰した時点で、「このコンテンツグループとこのグループは一つにまとめて親にカテゴリを持つべきじゃないか?」と気づかないとUIだけでは解決できないと思います。

「同じ企業なんだから同じサイト」というのは完全に思考停止していて、何のために、誰のためにそのWebサイトを創るのか、ビジネスとして捉えた時に、Webサイトは手段でしかないということを把握しておくべきだと思います。