笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

「全ての決定をユーザのために」=「全てユーザに聞け」ではない。

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「全ての決定をユーザのために」ということを最近ここに書き記していますが、

そうすると誤解されがちなのが「なんでもかんでもユーザに聞けばいいのかい?」という価値観。

それは、違いますよねぇ。

ユーザに聞けばなんでも解決するなら、それほど楽なことはない(笑)

でも、それってクリエイティブじゃないですよね。

だって、単なる御用聞きだもの。

ユーザニーズは当然把握しなければならないし、それを無視したものづくりなんてありえない。

でも、ものづくりの根本をユーザニーズに委ねるというのは、もっとありえない。

要するに「創りたいものありき」ということだと思います。

ただ、勘違いしてはならないのは「自由気ままに作ってよい」とか「好きなものを創ればよい」ということではないと思います。クリエイターが思う「良いもの」を創るべきということですが、それはつまりもっと噛み砕いて言うと「ユーザにとってこんなものがあったらすばらしいはずだ!」っていう信念というか哲学を持つべきだと思います。そのものを自分が好きなのは大前提。その上で、「ユーザの満足体験を獲得できるもの」を考えるべきだと思います。

と、いうと、クリエイターだとかデザインだとかなんとなく横文字イパーイ!みたいな感じである種の堅苦しさというか胡散臭さがでてきますがw、そんなに難しい話じゃないんですよね。ラーメン屋の親父が自分のラーメンに自信がなくてどうする!っていう話です。ラーメン屋の親父は当然、お客様が美味しいと感じるラーメンを創らなくてはいけない。しかし、それをいちいちお客様に「どんな具を入れたらいいですか?」「どんな麺がいいですか」「どんな出汁がいいですか?」と全てを聞いてそのとおり作ってたんじゃ美味いものはできない。だったら、材料や時間の制約を除けばお客様が自宅でつくればいいんだし。お客様は、自宅では創れないラーメン、出せない味を求めているわけでしょ。それがお客様の中で明確になっている必要はないし、出会う前から明確になっているようなラーメンはたいした驚きも与えられないですよね。

だから、お客様に向かって「おいしいラーメンてなんですか?」なんて聞いてんじゃねぇよ。

それはお前が観察して分析して、技術を駆使して提案することでしょうよ。

っていうことなんですよね。

こういうのは、お笑いも一緒ですね。

お笑いなんかもっと顕著かも。

視聴者は次に出るフレーズやギャグを予想してはいないし、予想されてはいけないし。

ただ、だからといって、「俺は醤油にバナナとココナッツとマヨネーズが入ったラーメンが好き」という明らかに売れないものというか、お客様の味覚に向いてないもんを創ってもダメなわけで。つまり、クリエイターたるもの「こんなものが世間(ユーザ)には必要だ!」というビジョンがあり、尚且つそれを創る際には「全ての決定をユーザのために」する必要があると思います。

ですから、「クライアントの社長がFlashを多用したサイトを創りたいから、それを採用した」というWeb屋はダメなんですよね。その裏に、企業としてのサービス理念がそうなってないと。というより、お客様に届ける体験がそうなってないと、意味が無い。我々Web屋がものづくりなら、一緒にWebサイトを創っていくクライアントだってものづくり。そして、クライアントが一番作らなければいけないのはWebサイトではなく、その土台となる「サービス」。それが、お客様のためになっていて、その個性があってはじめてWebサイトで同じ信念を持ったサービスを展開できる。

「一般のお客様の多くに嫌われようと、驚きと新鮮味のあるサービスを」という企業ブランドならFlashを多用するべきだと思います。

「たくさんのお客様に良いサービスを安い価格で」という企業ブランドなら、それをきちんと伝えるWebサイトじゃないといけない。そのお客様はインパクトだとか動きのあるサイトを求めていますか?という話で。

企業全体のサービス理念、体験の哲学を打ち出すのは企業の仕事。

Webサービスの理念を打ち出し、技術を駆使してサービスを提案するのはWeb屋の仕事。

だからこそ、その道中で、顧客サービスやユーザの満足体験を無視したクライアントの発言や要望は正す必要がWeb屋にはあると思うんですけどね。