Webディレクターになりたての頃、今では日本有数のWeb制作企業として名を馳せているその会社も当時はまだ発展段階のフェーズにあり、かなりきつい労働環境でした。Web業界の右も左もわからず、ディレクションのイロハを叩き込まれている最中の僕は当然、かなりアップアップしていましたね。
しかし、そんな僕はまだ良いほうで、他の先輩ディレクターは抱えている案件の数が尋常ではなく、みんなかなりテンパってました。そして、どうしても右から左へ流す、うまくマネジメントすることに頭が行ってしまい、しっかりとプランニングすること、考えることということや、人間的な要素が薄まっていたように思います。
その時、ディレクターグループの一番偉い方が仰っていた言葉が、
今でもずっと僕の宝物です。
「ディレクターの財産は、何人味方がいてくれるかだ」
「どんなに安全にプロジェクトをまわそうと思っても、ピンチというのは必ずおきる。」
「なぜなら、相手は人間だから。それはクライアントも制作側も同じだよな」
「仮に、こちらに何の非がなくても、クライアントの都合でどうしても徹夜をしなきゃならなくなることもある」
「理論で言えばそんな仕事を蹴るべきだけど、そうはいかない事情というものもある」
「そんなとき、だ」
「何人の制作者や担当者がお前の頭下げ一つで『しかたねぇなぁ』と動いてくれるか」
「それがディレクターの財産」
「だから、いつだってどんな案件だって丁寧に対応しなきゃだめ」
「日ごろの丁寧な、思いやりをきちんと持った対応の繰り返しが、お前たちの味方をつくるんだ」
この後、大印刷会社や、日本のトップといわれるコンサル会社に籍を置いたこともあったけど、どこにいっても、この言葉以上の言葉なんて僕にはなかったです。
今でもずっと忘れていません。
僕の宝物です。