笑顔を創りたいWebディレクターの日常

某事業会社勤務のWebディレクター。つまり「なかのひと」やってます。Web業界からひょんなことで専門学校の先生に。そしてまたWeb現場に戻ったWebディレクターのブログ。

あらたにすの評価。

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昨日紹介したあらたにすですが、賛否両論。

と、言うより、かなり叩かれていますね。

http://d.hatena.ne.jp/anti-monos/20080131/p1

http://e0166.blog89.fc2.com/blog-entry-381.html

http://d.hatena.ne.jp/en3/20080131

http://mottoi.blog32.fc2.com/blog-entry-327.html

批判の根拠はだいたい同じ。

「相変わらずの上から目線の押し付け体質」

「ニュースサイトのくせにRSS配信がない」

「検索機能が無い」

うーん、と僕は思います。

Webの論理からすれば、言ってることはその通りなんだけど、それを持って「あらたにすは最低だ」「全然わかってない」「遅れている」とするのは、尚早だと思うんだけどなぁ。

新聞の「押し付け」が嫌いなだけでは?と思います。

考え方の問題で、「押し付け」とは雑誌や専門誌全てに言える事。

「CanCamとViviとJJが共同で比較サイトを公開しました」っていうだけでは?

■ターゲットユーザ意思のみが、サイトの良し悪しを決める基準

根本的な話ですが、そのサイトが言いか悪いか、という判断を下すのは「ターゲットユーザ」であって、ターゲットでないユーザが見れば、無用なものに映ることもそれはあると思います。特定の誰かのために創るわけですから。ですから、基本的にはターゲットユーザというものは制作者、提供元しか知らないわけで、それを聞かずしてサイトの良し悪しを判断するのは、推測の域を出ないんですよね。(その行為が間違っているということではないですよ)

■「あらたにす」のターゲットユーザ

「あらたにす」のターゲットユーザって誰なんでしょう。

あくまでも僕の仮説ですが「新聞好きのネットユーザ」や「信頼性のあるニュース、著名人、ブランドのある情報を好むユーザ」だと思うんですよ。年齢的に言うと初老~老人の方でしょうか。毎日新聞を読んで働いてきた世代。

「相変わらずの押し付け記事」というけれど、新聞というものはそもそもそういうものでしょう。

それ自体に価値がないとは僕は思いません。世間的に名の通ったその道のプロが、その知識を持って情報を選ぶというのは、何も間違ったことではないでしょう。単にそれが好きか嫌いかだけのはず。

ネットの最大の特徴が「自らが情報を選択できる」ということは確かです。

けれども、それならば「著名人が選択した情報を、選択できる」というのもそこに含まれてしかるべきではないでしょうか。

■押し付けこそ、プロだからできるビジネスでは?

新聞社というものを「マスゴミの権化」と捉えて毛嫌いするから、話がややこしくなるんだと思います。要するに新聞というのは「ニュースの専門誌」というだけのことで、それ自体は悪でもなんでもない。それに胡坐をかいてユーザをバカにするような詐称生地を書くことが、マスゴミのゴミたる由縁であって、新聞の存在そのものが悪というわけではないでしょう。

言ってしまえば、例えばサッカー雑誌やファッション雑誌だって、あれは「押し付け」でしょう。

その道の見識者が情報を選んで配信しているわけですから。

「うるせぇ!何が正しいかなんて自分で調べるわボケ!」っていう人は、その道のブログなりソーシャルネットなりで情報を探せばいいだけで、別に専門誌が間違っているというわけではないはずです。サッカーの知識に長けたアルファブロガーにはアルファーブロガーの、サッカーの専門家には専門家の良さがある。ただそれだけのことだと思います。

wikipediaがあれば、広辞苑なんていらねぇんだよ!」

「ネット上に広辞苑のサービスなんて、バカげてるし遅れてる」

と言ってるようなもんで、別にネット上で「選別された情報」を見たい人もいるでしょう。

■「あらたにす」のユーザエクスペリエンス

で、「あらたにす」のサイトのユーザエクスペリエンスは「新聞を読む」ことではなくて、「新聞を比較する」ことなんですよ。ということは「毎日新聞を購読している人はわざわざネットでこんなもの読まない」という人がいましたが、ターゲットはそこじゃないと思います。「毎日購読している新聞だけで満足している人」はターゲットじゃなくて「他の新聞はどんなことを書いているのか知りたいが、二つも三つも購読するわけにはいかない」というニーズを持った人がターゲットでしょう。

だから「あらたにす」は速報ニュースのためのサイトじゃないんだと思います。

ではなくて、あくまでも紙面である新聞がベースであり、その情報をネット上でも見れて、比較できる、ということが目的。だから、もしかしたらRSSも狙いがあって配信していないのかな?とも思います。「情報」を与えたいのではなくて「比較すること」という経験を与えたいのだから、RSSのようなものは不適切なんですよね。(とかいってRSSを配信するかもしれませんがw)

■新聞社が速報サイトを運営するべきではないのでは?

新聞の速報性というのは、もうとっくにネットに負けていますから。

「あらたにす」が速報サイトを目指すなら、そもそもそんなものはもう存在するわけで、いまさらそれを追随しても新聞社に未来はないと思います。余計に新聞離れが進むだけ。同じことやるんだったら、別にGoogleニュースでいい。「プロ」という肩書きを持つ新聞社がネットで何をできるか。そういうことを考えた末の試みでは?と思います。そういう意味では、今までWebを毛嫌いしていた紙の世界としては、とても良い試みだと思います。本来、紙とWebというのは敵ではないはずですから。

■まだまだこれから

別に、現状が完璧だとは思いません。

比較と言って並べているだけだし。

別に押し付けでも構わないから、押し付けなら押し付けらしく、もっともっと自分達の手で比較の場を作ってほしい。今は並べているだけだし。それと、確かにちょっといくらなんでもWeb1.0過ぎるとは思います。どうせなら、各記事にコメント機能やTB機能をつけて、「新聞好きな人同士の意見、価値観がわかる」ようなサイトこそ、Webの利点だと思うんですけどね。

新聞社を「マスゴミの権化」という目で見過ぎているから、ややこしくなるんだと思います。

発想を変えてみればいい。

例えば、僕はサッカーが好きです。

「この度、サッカーマガジンサッカーダイジェストの共同開発による、

両誌の記事比較サイトを公開いたしました」

いいなぁ、魅力的だ。